【PHI】 ランク外から躍進する男たち
どうもフィリーズ担当のペンでございます。
今回は、フィリーズのルーキー3人 Bailey Falter, Luke Williams, Matt Vierlingについて書こうと思います。
それでは、前書きを飛ばして早速今回のnoteスタートです。
プロフィール紹介
さて、まずはルーキー3人の簡単なプロフィールです。
Bailey Falter
2015年5位指名。24歳の先発左腕。
マイナーではずっと先発として登板しており各クラスで安定した成績を残してきましたが能力が平均的ということでプロスペクトとしての評価は低かった投手です。
Luke Williams
2015年3位指名。24歳のユーティリティ。
運動能力が高く内外野どこでも守れるのが強みだが、マイナー通算.241 OPS.656と常に打撃に苦しんでおりプロスペクトとしての評価は高くありませんでした。
Matt Vierling
2018年5位指名。24歳の外野手。
全体的にまとまった能力を持っているが、センターを守るには運動能力が足りなく、コーナーを守るには打力が足りないとの厳しい評価をされていました。
ずっとランク外だった男たち
タイトルとプロフィールでなんとなくお察しかと思いますが、このルーキー3人今までMLB.comのフィリーズのプロスペクトTop30にランクインすることがなかったプロスペクトたちなんです。(Luke Williamsだけ今年Spencer Howardがプロスペクトを卒業したタイミングでランクイン)
しかし、3人とも今年ルーキーとしてフィリーズの戦力になろうとしています。
トッププロスペクトやドラ1に伸び悩みが多い今のフィリーズにとって彼ら3人のようなプロスペクトが覚醒し戦力となるのはとても大きいことです。
それでは、次に彼ら3人の今年の躍進についてまとめたいと思います。
Bailey Falterの場合
今年のBailey FalterはAAAが開幕すると7試合(6先発)で防御率1.82、29.2IPを投げ42奪三振と支配的な投球を披露しました。
奪三振率がマイナー通算の8.19から12.74へと飛躍的に伸びていますが、これは2019年の肘の故障から復帰以来ファストボールの平均球速が2mphほど向上したのが要因です。
それでも、ファストボールの平均球速は92mphほどですがメジャーリーグでも最もホームに近い位置でボールをリリースするという特徴的なデリバリーと与四球率通算1.77の抜群のコマンドを有しているのでこの球速でも十分な武器になっています。(Falterの92mphは平均的なリリースポイントの投手の95-96mphくらいになるそうです)
下の奪三振のまとめ動画を見ても、高めのファストボールの制球が素晴らしいのが分かります。
6/14にフィリーズに再昇格(マイナーの開幕前に4/25のロッキーズ戦でメジャーデビュー、1試合のみ登板済み)すると2番手のロングリリーフ要員として2試合に登板。どちらの試合でも好投を記録しています。
今はロングリリーフ要員ですが、このまま好投が続けばフィリーズで先発する機会も得られるでしょう。
将来的には今のZach Eflinくらいの投手になれば大成功でしょう。
ちなみにネタバレですが、実はFangraphsでは評価が高く今年のfangraphsのフィリーズプロスペクトランキングでは12位に選出されており、執筆者のEric Longenhagen氏はFalterのブレークの可能性を指摘しています。fangraphs流石ですね。(このnoteもLongenhagen氏のスカウティングレポートにかなり影響されています)
Luke Williamsの場合
プロフィールでも書いた通りLuke Williamsの課題は打撃でした。
この課題を克服するためAA Readingの打撃コーチ Tyler Hensonと打撃改造に取り組み、現在のバットを低い位置に構えるバッティングフォームにすることで安定したスイングを手に入れることに成功しました。
この新しいバッティングフォームで望んだ今シーズンは開幕から好調でAAAで打率.356 OPS.904と順調な滑り出しに成功。
また、東京オリンピック予選のアメリカ代表にも選出され、こちらでもリードオフとしてチームトップの打撃成績を残しました。
この勢いのまま6/8にフィリーズに初昇格を果たすと、メジャー初打席ではセーフティバントを成功させてキャリア初ヒットを記録。
そして、初スタメンとなった翌日の試合で9回に値千金のサヨナラホームランを記録しました。
現時点(現地6/19)でも好調をキープしており、少ない打席ながらも打率.407を記録しています。
どのポジションでも平均以上に守れる守備力とシーズン30盗塁以上を期待できる脚力を持っているのでこのまま打撃も安定するとスーパーユーティリティポジションとしてチームに高い貢献をもたらしてくれることでしょう。
将来的な最高値としてはロイヤルズのWhit MerrifieldとレッドソックスのKike Hernandezの中間くらいの選手といったところでしょうか。
個人的にメジャー初打席でセーフティを成功させるセンスが素晴らしく一気にお気に入りの選手になっています。
Matt Vierlingの場合
セントルイス出身で5巡目指名(フィリーズのレジェンドRyan Howardと一致する経歴)のMatt Vierlingはドラフト指名年の2018年はこそ下位リーグで活躍しましたが、2019年A+ではOPS.656の結果しか残せず大きく評価を下げていました。
他の2人のように改善点は分からなかった(リサーチ力が無くてすみません)のですが、今年の春季トレーニングではBryce Harperが最も印象的だったプロスペクトとして名前を挙げ、Dave Dombrowski球団社長もVierlingを評価するコメントを残していました。
AAでマイナーの開幕を迎えると24試合で.365 6HR OPS1.065と大活躍し6/15にはAAAに昇格。
AAAでも3試合で12打数5安打と好調な滑り出しを切ったタイミングの本日6/19にフィリーズに昇格。たった3日でAAAから巣立つことになりました。(多分また戻って来るでしょうけど)
本日のジャイアンツ戦で代打でメジャーデビュー。左腕のJarlin Garicia相手に見事に初打席で初ヒットを記録しました。
体格やバッティングフォームはホワイトソックスやパドレスで活躍したCarlos Quentinやブレーブスで活躍したEvan Gattisを思い出させます。
監督のJoe Girardiは当面Vierlingを左投手相手に使う旨のコメントを出しており、明日のジャイアンツ戦は先発左腕のSammy Long相手に初スタメンでの起用が濃厚です。
今年はまず層が薄い右の代打兼控え外野手としてメジャーでの地位を確立し、来年Andew McCutchenが抜けた後のレフトのレギュラーを狙うというのがVierlingのベストなステップアップの形ではないでしょうか。
守備力は一応センターを守れるレベルなので、さらに打撃でここ数年のCutch以上の成績を残せるならばフィリーズにとっては最高の存在になります。
最後に
今回のnoteでは2021年飛躍的な活躍を見せ早々にメジャーの切符を掴んだ3人のルーキーを特集しました。
評価の低かった彼らの下剋上どこまで続くか期待して見守っていきましょう。