【CIN】 シンガーとインディアのトレード雑感
11/23にレッズとロイヤルズの間でブレイディ・シンガーとジョナサン・インディア+ジョーイ・ウィーマーのトレードが合意したことが発表された。
レッズ担当としてのnote第一弾はこの「シンガー・インディアトレードに関する雑感」を書いていく。
ちなみに今回はあまりデータを見ずに本当に感想という感じで発信する。
・レッズの視点で語ろう
このトレードの噂が出てきた時、個人的には「レッズって先発補強したいんだ」という意外な印象を持った。
レッズはハンター・グリーン、アンドリュー・アボット、ニック・ロドロ、ニック・マルティネスと良質な先発が揃っているし、レット・ラウダーという先発のトッププロスペクトも抱えている。また、グラハム・アシュクラフトのように結果は残せていない先発で試したい若手も複数いる状況である。正直先発は足りているというのが感想だった。
その反面、近年のレッズは以下のような戦略を持っていると考えている。
超大物選手を獲得できない代わりに若手や中堅どころのレギュラークラスの良いプレーヤーをロースターがパンクするレベルで集めよう
そういった意味では、2024年シーズンに故障者続出した先発陣の層を強固にする動きは理にかなっているように思える。
また、シンガー自体もレッズで伸びる可能性があるのではないだろうか。
シンガーは典型的なシンカー・スライダータイプの投手であり効果的なオフスピードのピッチを持っていない。
一方でレッズはスプリットやチェンジアップなどのオフスピードピッチの使用を重点的な戦略としているチームだ。
もし、シンガーがレッズの戦略を組み入れて有効なオフスピードピッチを身につけたとしたら、シンガーの成績はもっと向上するかもしれない。
一方、放出したインディアは十分主力野手として計算できる選手ではあるが、シーズンが始まる前から余剰戦力でトレード候補だと言われていた。
ポジションがかぶるマット・マクレインはエリー・デ・ラ・クルーズとともにチームの核となる可能性がある選手であるし、三塁には昨年獲得したジャイマー・キャンデラリオやいろいろあったノエルビ・マルテがいる。そもそもインディアは肩が弱い。そして、控えには控えとしては十分すぎるレベルのサンティアゴ・エスピノルが控えている。
今年はマクレインの怪我やマルテが突然消えた影響でレギュラーとして一年活躍したが、結果シーズンが終了して改めてトレードされることになったのである。
・ロイヤルズ視点で語ろう
まずシンガーの評価がロイヤルズの中で世間の評価よりも低かったんじゃないかと思う。
その理由はカウフマンスタジアムとの関係性だ。
ここでは今のロイヤルズの先発陣との比較で考えていこう。
信じられないレベルでさまざまな球種を投げているセス・ルーゴは置いておくとして、コール・リーガンスは4シームとチェンジアップを武器としているし、マイケル・ワッカはチェンジアップを武器に4シームとシンカーを織り交ぜるタイプであり、また、シーズン中に獲得したマイケル・ロレンゼンもワッカと似たタイプの投手だ。
つまり、シンガーのようなゴロを打たせるグラウンドボーラーと反対のタイプの投手で成功しているのである。
外野が広いカウフマンスタジアムがフランチャイズのロイヤルズからすれば、グラウンドボーラーよりもフライボーラーの方が評価が高くなるのは当然だろう。
もう一つ、ロイヤルズとしてはこの2年の成功体験も大きいのかもしれない。
ロイヤルズはこの数年の再建期にシンガーなど多くの先発投手のプロスペクトを獲得したがシンガー以外に先発で結果を残した投手が出てこなかった。
その一方で、この数年でトレードでリーガンスを、FAでルーゴとワッカを獲得し大成功をおさめている。
ロイヤルズとすれば、先発は昨年のルーゴやワッカに続く三匹目のドジョウを安価で狙いにいき、その一方で戦略に合わないシンガーで戦力が足りない野手を獲得するというのは理にかなったトレードだろう。
・・・ところで、レッズ視点の方でシンガーがオフスピードピッチを覚えたら面白いと書いたが、ロイヤルズがこの戦略だったらロイヤルズもシンガーにオフスピードピッチを覚えさせようとしたんじゃないか?
よしっ、この点については考えるのをやめよう。
次に獲得したインディアについてである。
今年のインディアは選球面でMLBトップクラスの数字を残しており、このオフ出塁力がある野手を狙っていたロイヤルズにとってはピッタリのターゲットだったであろう。
ここで面白いのは今まで守備力や長打力のある野手に重きを置いていた印象のロイヤルズのフロント(デイトン・ムーア、J.J. ピッコロ)が、ここに来て出塁力を重視し始めたことだろう。
今回のトレードで「貴重なイニングイーターでインディア程度の野手を獲得するのはもったいない」という意見をそこそこ目にしたが、実はこの投手力が向上し、出塁が難しくなった時代では出塁する能力が高いインディアこそ貴重な存在だとロイヤルズは見ているのではないだろうか。
ちなみロイヤルズはさらに別の出塁力の高い野手の獲得も目指していると噂されている。ここにきて野手の評価軸が変わってきたかもしれないロイヤルズ、来年も注目のチームになるのかもしれない。
語るの忘れてた
あっ、ウィーマー?
外野守備は素晴らしいので外野の広いカウフマンにピッタリ。
それでは、これからはフィリーズだけでなくレッズもよろしく。