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おばあちゃんがスマホを持つ話vol2
おばあちゃんがスマホを買った。
90歳だが、ピンク色のスマホに花柄の手帳型ケースを付けることにした。なんとも派手なスマホだ。
携帯ショップで今までのガラケーから新しいスマホに変えるとき、店員のお姉さんは親切丁寧に対応してくれた。僕みたいなデジタルネイティブな世代からすると携帯を買い替えることはなんら難しいことではない。
だけど、僕のおばあちゃんみたいな世代にとってはとても難しいことなのだ。自分1人では出来ない。
だから僕はついて行った。
買い替えるのに1時間半ぐらいかかってしまったが、終わって新しいスマートフォンを手に入れたおばあちゃんはとても嬉しそうな顔をして、僕に手伝ってくれてありがとうと言ってくれた。
その「ありがとう」という言葉がとても嬉しかった。
また新しいスマートフォンを持って嬉しそうな顔をするおばあちゃんを見るのも嬉しかった。
おばあちゃん孝行が出来たのだと思った。
同時に思ったことがある。
この世の中はどんどんデジタル化が進んでいる。
IT、ICT、DXというワードが飛び交うように、やり取りの仕方、決済方法、働き方など様々なものがデジタル化されていっている。
僕らからするとどんどん世の中が便利になって嬉しいと思っている。しかし少し上の世代からすれば変化の流れについていくのがやっとの人たちが多い。その更に上の世代は変化に対応できずに、取り残されている人たちが多い。
そういった、変化の流れについて行くのがやっとの人、流れに取り残されている人たちがもっと新しいことを始めやすい世の中にするにはどうすれば良いのだろうか。
僕はそう思ってしまった。
世の中は全ての人たちに優しい世の中でなければならないのではないか。平等という言葉を盾にして変化を嫌う訳ではない。変化することを推進するあまり、みんなに優しくない世の中になってしまうのは如何なものかと思った。
みんなにとって優しい世の中に変化していくのが理想だろう。変化とは本来そうあるべきものだ。
世の中のみんなにとっていい変化とは何なのか僕は模索し続けたい。