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【参加レポート】サンフランシスコの起業家ネットワークを育む「ODF」とは

こんにちは。

サンフランシスコにある日本人起業家シェアハウステックハウスに滞在し、起業準備中の石原と申します。

この記事では、私がサンフランシスコで参加した起業家支援プログラムODF(On Deck Founders)について、参加レポートを綴りたいと思います。

(なぜ私がサンフランシスコでの起業を志すようになったかはこちらの記事をご覧ください。)

ODF(On Deck Founders)とは

ODFとは、サンフランシスコを拠点とするフェローシッププログラムの一つです。

ODFのエントリーページ

フェローシッププログラムとは、起業を志す人やアイデア段階の人々を主な対象とした、起業の最初期段階の支援に特化したプログラムです。アクセラレーターとは異なり、株式を取得されることはなく、参加者は参加費を支払います。

サンフランシスコにはフェローシッププログラムがいくつか存在しますが、ODFはその元祖とされており、募集ごとに世界中から数千人の応募が集まる人気プログラムです。

<サンフランシスコのフェローシッププログラム>
ODF
South Park Commons
Menlo Fellowship
Founder University
Inception studio

ODFの主な支援内容は、コファウンダー探しとサンフランシスコでのネットワーク構築であり、最初の一週間はオンボーディングウィークと位置づけられ、サンフランシスコ現地でさまざまなアクティビティが用意されています。

今回私が参加したODF23期は約80名で、約半分がエンジニア。そして約半分が海外勢です。ヨーロッパ、南米、インドなど世界各地からこのプログラムの参加のためにサンフランシスコにやってきていました。

オンボーディングウィークが終わると、参加者はODF独自のSNSに招待されます。ここには過去の卒業生全員が参加しており、週の事業進捗を共有したり、マーケティング戦略を相談したり、プロダクトのβ版の使用者を募集したりと、日々活発にやりとりされています。

ODFの参加方法

年4回メンバーを募集しており、定員は各回約80人。合格までに以下3つのステップを経ます。

①書類審査
②ビデオ審査(特定のお題に対する回答を録画して送る)
③オンラインインタビュー

どれも決してボリュームがあるものではなく、インタビュー自体も10分ととても短いです。ただし、合格率は6%と狭き門のようで、具体的な合格基準は正直わかりません。(応募は何回でもできます。)

英語が得意でない自分が合格できたのは、おそらく日本でのIPO経験を買ってくれたのと、ODF卒業生であるキヨさんの紹介が大きかったのでは、と推測しています。

合格すると、約1,000ドルの参加費を払い、プログラムに参加します。

ODF参加レポート

ここからは、私が参加したODF23期のオンボーディングウィーク(2024/11/9〜11/15)の様子を写真とともに綴りたいと思います。

1/8日目

この日は前夜祭。

ポーカー、ボードゲーム、自転車ライド、レストランディナー、BBQの5つのアクティビティが用意されており、各自希望のものを選択します。

私はBBQを選びました。各自担当の食材や器材を買い出し、5時にゴールデンゲードブリッジのたもとに集合。BBQと会話を楽しみました。

ゴールデンゲートブリッジのたもとでBBQを楽しむ

2/8日目

朝はサンフランシスコの港を5kmほどランニング。

ランニングは自然と2~3人に別れてじっくり話せるので、友達作りにはおすすめです。(ODF主催者のJulianは毎週末SFのどこかでランニングイベントを開催しています。)

ランニング参加者で記念撮影↓
(手前がODF主催者のJulian)

午後は市内のコワーキングスペースにて、キックオフイベント

まず主催者のJulianから、ODFの意義や行動指針についてのお話。印象的だったアドバイスの一つが、「コファウンダー探しにおいては、事業アイデア以上に、自分自身について語れ」というものでした。これは事業アイデアはどんどん変わっていくものだから、まずは自分に興味を持ってもらうことが大事、という趣旨でした。

その後、80人全員が自己紹介。

各自が自分のキャリアや趣味について説明

次に、4~5人のグループを組み、特定のテーマについてディスカッション。これを×3回。テーマは例えば、「自分の人生におけるinflection pointsは何か」とか。

3/8日目

3日目は80人全員でサンフランシスコ西側をハイキング

朝9時に集合し、夕方4時まで歩き続けるというハードスケジュール。最初は「なぜハイキング?」と思ったものの、歩きながら多くの人とじっくり話すことができ、ネットワーキングという観点では一番有意義なイベントだったと感じています。今後も継続的にコミュニケーションしたい、気の合う仲間に出会うことができました。

80人全員でハイキング
途中休憩を挟みつつ、ゴールの浜辺を目指してひたすら歩く

4/8日目

この日は座学中心。

午前は市内のイベント会場にて、Julianからスタートアップの事業の3タイプついてレクチャー。その後、同じ事業タイプの参加者とグループを組んでディスカッション。

Julianのセッション↓

午後はプレシード中心の投資家(Elizabeth Yin氏)や起業家(Hiten Shah氏)の話を聞きました。

Elizabeth Yin氏のセッション↓
(自身もexitした元起業家で、今はプレシード中心のVCとして活躍。自身の経験を元にVCとの向き合い方について語ってくれました。)

Hiten Shah氏のセッション↓

5/8日目

この日も終日座学。弁護士や起業家の方の話を聞きます。

ODF参加者の半数近くが海外勢のため、アメリカで起業するために必要なビザの説明や、その獲得戦略についてのレクチャーもありました。

各セッションの様子↓

ちなみに、当日のアジェンダはこんな感じ。

  1. ビザ獲得について / Minn Kim氏(Founder of Lighthouse

  2. 会社設立に関して / Mike LaPlante氏(Morrison Foerster)

  3. 資金調達トレンドの共有 / Peter Walker氏(CIO of Carta

  4. ODF卒の起業家のセッション / Jacob Peters氏(Founder of Superpower

6/8日目

この日はややスローダウンして、終日コワーキングデイ

ダウンタウンにあるコワーキングスペースにて、会話しながら各自作業。

希望者はこの日の最後に進捗を発表
(さっそくチームを組んで事業アイデアの進捗を発表している人も)

7/8日目

午前中は一軒家風のイベント会場にて、ODFのアルムナイ達とのネットワーキング

円陣組んで自己紹介

午後はサンフランシスコの海をクルーズ!

最高の天気の下、ドリンク片手にデッキでワイワイ、会話を楽しみました。

虹もかかった最高の天気の下、クルーズを楽しむ
船からサンフランシスコの夜景を望む
クルーズ後は2次会へ

8/8日目

最終日はなんと朝から寒中水泳

有志のみではありますが、「英語が苦手なら気持ちで繋がらなきゃ!」ということで意を決して参加。…したものの、冷たいサンフランシスコの海を夏のように泳ぐパワフルな方々に圧倒されて帰ってきました。。

寒中水泳の様子(自分のつらそうな顔…)↓

そして午後はサンフランシスコの港にあるコワーキングスペースにてクロージングセッション

ODF卒の起業家であるPaul Klein氏の話を聞いたのち、いくつかの観点からアワードが発表。「Most helpful」など真面目なネタもある中で、なぜか自分は「Most likely to be Royal」なる賞をいただきました(単に雰囲気の話..?笑)

8日間の様子を収めたエモい写真が配られました

Momentum is everything.

最終日の締めくくりに、ODF主催者のJulianから、10年、15年と続くスタートアップという長旅に欠かせない要素である、「Momentum」について話がありました。以下は彼のブログからの引用です。

"Most people think companies die because they run out of money. The reality is they run out of hope first. Momentum is everything."

Founders and Momentum

"Momentum is everything."

彼が強調していた言葉です。スタートアップにおいてもっとも重要なのはMomentumを生み出し、それを維持すること。そして最初のMomentumは投資家とのコミュニケーションからではなく、「顧客と向き合った結果」から生まれるべきであるといこうと。その結果として、資金調達や採用などすべての歯車が回っていく…。

この言葉を胸に、これからの長旅を歩んでいきたいと思います。

SFでの起業を目指して、世界中から集まったODF23期のメンバー

最後に

オンボーディング期間中、約80人の参加者ほぼ全員と話をすることができ、今後のサンフランシスコでの活動において大きな支えとなるであろうネットワークを築くことができました。

縁もゆかりもなかった地で、「またサンフランシスコに戻ってきたらコーヒー行こうぜ!」と声をかけてくれる仲間ができたことは、かけがえのない財産です。(ビザの関係で一時日本に帰国中です)

そして、ODF運営メンバーであるJulianNoemieAriの「サンフランシスコでみんなのスタートアップを応援するんだ!」という熱い想いに触れ、自分もこの地で挑戦したいという気持ちが一層強まった8日間でした。

ODF運営メンバーのJulian/Noemie/Ari(写真左)↓

PS:ODFやテックハウスに興味のある方はお気軽にご連絡いただければと思います。X: https://x.com/rish086

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