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はじめての大腸カメラ検査

5月11日
大学病院にて大腸カメラ検査。

午前2時まで
下剤を飲んではトイレに行き…
を繰り返していたけど
途中で記憶がなくなり
気がついたら
朝を迎えていた。

午前6時。

あたたかいお風呂に浸かり
ゆったりと
体を温めてから
少量の水を飲み
身支度を整える。

「検査の2時間前には
 水も
 飲むのをやめてください」

書かれていたので、
この後
検査が済むまでは
喉が渇いても
何も飲めない。


洗濯をすませ
娘と車に乗り込み
父を迎えに行くと
母も
一緒に出てきて
見送ってくれた。

2人とも
娘が癌かもしれない
ということに
心を痛めているだろうに
にこやかに
いつもどおり
寄り添って歩く。

そんな姿を
遠目に見て
「あぁ わたしは
 いつだって
 こうやって
 この2人に
 見守られてきたのだな」
と思い
ちょっぴり
涙が出そうになる。

実のところ
日常には
こういう
味わい深い瞬間が
あふれていた
ということに
気づかせてもらい、
わたしは
いま
こんな状態でありながら
不思議と
「しあわせだなぁ」
と感じる時間が
増えている。


画像1


受付をすませ
看護師の問診を終えて
大腸カメラを撮る部屋へ。

検査用の服に着替える。

ネットで調べたとおり
おしりのところに
穴のあいたハーフパンツに
ひとり
「ははは。
 ネットで見たまんまや〜 笑」
となる。


こんなときでも
ふとしたことで
クスッと
笑える自分がいるのが、
ちょっとうれしくもある。


一瞬
カメラで撮影したい、
と思ったけど
「バカな女だ」
と思われるのがいやで
やめといた。

別に
バカだと思われたって、
やってもいいんだけど。

そうやって
世間の
常識に合わせて
自分の
「やりたい」
を引っ込めるのでなく、
「やりたいことをやる!」
というのが
わたしの
今回の
人生のテーマ
なのかもしれないな、
とふと思う。

あ、
でも
基本病院内は撮影禁止
ってどこかに書いてあったな。。。
とか思う
真面目な
わたしもいたりして。

・・・・・


部屋には
検査をしてくれる男性と
女性看護師さんと
わたし。

ベッドに横になると同時に
「はあぁぁ〜…」
とため息がもれ、
2人がクスッと笑う。

カラダがしんどくて
少し動くだけで
「はぁ~」
となるのだけど、

わたしの
そんな事情を
知らない二人は

「いやですよね〜
 ため息出ちゃいますよね〜」
と笑った。



うんうん。
やっぱ
人におしり見せるの
やだよ。

そして
おしりに
つっこまれるのも、
いたくてやだ。

気は重い。

はじめてのことで
緊張もする。

そして、
寝不足と
下剤のおかげで、
はじまる前から
すでに
カラダは
くたくただ。



でも
二人が
クスッとしてくれた
おかげで
ちょっと
気が楽になった。

こんな
ちょっとした
他人の振る舞いが
わたしには
あたたかな
愛の波動
となって
伝わってきて
ほっとするし、
うれしくなる。

ありがとう。

・・・・・


カメラスタート。


し「映像ってどこで見えるんですか?」

看「ここですよ」「見ますか?」

し「うん。見たい」

(と言いながら、
「うん。見たい」ってなによ?
「はい。見たいです」でしょ?
と自分に
ツッコミをいれる
おとななわたしがいて、
こんなときに、なんだ、わたし、
と思う。
人間って
ほんとうに
面白い生きものだなぁ)


モニターを
見やすい位置に
変えてくれた。


検査
始まって
すぐに
いた。

見るからに
ワルイ顔した
やつが。

どう見ても、
これはがんだ。
と思えるような
その姿。

素人の
わたしが見ても、
色や形が
やばいってわかる。


し「あーこれ、がんじゃないですか?
 この色とかすごい色してますもんね」

医「あーそうですねー
 今見たかんじだとその可能性はとても高いですねぇ」

し「ですよねー」


非常にあっさりとした会話だった。

ショック
というか
なんというか、
「あぁそうか やっぱり」

深く
うなずくような
感じだった。

がんがある、
ということに
抵抗や衝撃は

わたしが感じているなかでは、
あまりない感じがしている。

でもわからない、
この後、
すごくショックだ
と感じるのかもしれないな。

それでも、
今の段階では
とてもしずかだ。


検査をしてくれた医師は
とても
ハッキリと伝えてくれた。

しかも
さわやかだった。

その誠実さが
うれしかった。

もごもごされるより、
ハッキリと言ってもらう方が
わたしは好きだ。

腫瘍が
良性か悪性か、
また
がんだとしたら
どんな種類のがんなのかを
調べるために、
腸の細胞を
ぷちっぷちっと
3箇所から採取していた。

血が出ているのに、
全然痛くないのが
不思議だった。

腸と言う臓器は
痛みを感じないらしい。

検査がおわり、
内科の医師に呼ばれた。

父と娘とわたし
三人でぞろぞろと部屋に入る。

「やっぱり
 しっかりと腫瘍がありました。
 今日、生検に出すので
 良性か悪性かの結果は
 また1週間後になります」

「手術になりますので、
 ここからは
 外科の担当になります。
 外科の先生に紹介状を書きますのでね」

とパソコンで
かちゃかちゃ書いていた。

見ると
「直腸がんと診断したため、
 なんとかかんとか」
と書いている。


いや、先生、
がっつり
がんて
書いちゃってるじゃん!


あんなに
がんであることを
にごしていたのに、
がんと書いている先生に
笑ったけれど、
もうなんか、
あの画像を見てしまったら
がんということは
まちがいないらしいな、
とわかったため、
腹をくくった。

なるほど。よしわかった。
と。


「今日はもうおしまいです。
 次回の外科の予約をとってから帰ってください」
と言われ、
内科の先生と別れた。


なんだ、もうおわりか。
はやかったな。

という印象。

父と娘に
付き添ってもらったのに
なんか
あっけなくて
「あれま」
という感じだった。

じゃ、
お昼ご飯食べて帰ろっかー
と話しながら、

言われたとおり、
次回の予約をとるために
外科に移動した。

受付で
「いつがいいですか?」
と聞かれ

「できるだけ早くにお願いします」
と答えた。

「わかりました。
座ってお待ちください」
と言われ
待合の椅子に座る。


パソコンで
わたしのカルテを見た
受付のその女性は、
電話をかけて
「ちょっと早いほうがいいかな、
と思うんですけど、
先生これから診ることできますか?」
と言っている。

「ん?」
と思いながら
聞き耳を立てていると、
どうやら今日、
この後
診てくれそうな感じになっていた。

そして
ありがたいことに、
その日のうちに
外科の診察を受けることができた。

「まだ検査結果がでていないので
わからないけれど、
ほぼ、
がんでまちがいないと思います」

とその医師は言った。


でしょうね、
という感じで
「はい」
とこたえるわたし。

まったく動揺がない。

「この後
手術することになるので、
手術に向けて
必要な検査を
今日この後、
できるだけやっちゃいましょう」
と言われ、

追加の血液検査、
心電図、
肺の検査
をすることになった。

「あと、
胃カメラもやったほうがいいです」
と言われたので、
「先生 もし
可能だったら
胃カメラも
今日したいです。
さっき大腸カメラやって、
ちょうど絶食してるんで」
と伝えると、
「そっか!じゃあ予約確認してみるね!」
と言ってくれ、
その日のうちに
胃カメラの検査も
受けられることになった。


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