はじまりのはじまり ~その弐~
5月1日
はじめて行ったクリニックからの帰り道。
泣きじゃくりながらも
ちゃんとお腹はすく。
帰宅し
お昼ごはんを食べ、
そろそろ仕事にでかけようかという時間に
大学病院から電話がかかってきた。
診察日の連絡だった。
「最短でお願いします」
と頼んでいたため、
大学病院受診日は
GW明けの5月7日に決定した。
仕事に行き
そのことをすぐに
職場の人に話して、
7日はお休みをもらうことにした。
そこから怒涛のネット検索をはじめる。
「大腸がん」
という文字を打ち込んでは
関連する記事を読みあさる。
こわさや不安
その他さまざまな感情を感じ、
友人に相談して
泣いたりしていた。
・・・・・
ちょうどその頃
離れて暮らす息子から
高熱が続いてカラダがつらい、
と連絡が入る。
インフルエンザのような症状だと話すが、
もしかしたら
新型コロナウイルスに
感染しているかもしれない。
一瞬
「息子が しんでしまったらどうしよう…」
と動揺するが
そのすぐあとに
「たぶん大丈夫」
と直感的に感じた。
もし感染していたとしても
大事にはいたらないだろう、
(根拠は 何もない 笑)
という自分の直感を信頼して
採用することにした。
そうやって
意識的に採用するものを
選択すると
ココロのざわざわは
静かになる。
・・・・・
そこから高熱が4日続き、
そろそろ受診した方がよさそうだけれど、
まさにGWまっただなか、
病院はやっているんだろうか?
かかりつけの病院に連絡を取ってみたら
受診できることになり
PCR検査も受けることができたとのことで
少しほっとする。
PCR検査の結果は陰性で
処方してもらった薬のおかげで高熱はおさまり、
身体もすこしずつ楽になってきているとのこと。
息子も身体がしんどいのに、
いまこんなことを伝えるのはどうだろう…
と
なかなか言えないでいたが、
いずれはつたえること。
意を決して
「こんな時に話すのもなんだけど、
わたしがんかもしれんのだよね」
と息子に話す。
息子「え。なんで~」
し「痔かもしれないって言ってたじゃん?
あれが痔じゃなかったんだよね。
今度大学病院行くことになった」
息子「へ~ そうなんだ」
「でも治るんでしょ」
かるい。
かるすぎる!
笑
息子は動揺していなかった。
(ようにかんじた)
ほんとうのところはわからない。
ただ
彼 曰く
「まったくしぬ気がしない」
らしく、
いたって冷静だった。
彼も
瞬間的に
自分の直感を採用したんだね。
相手の反応に関係なく、
わたしは話しながらよく泣いたし、
よく笑った。
感情を抑制するシステムが
すべてぶっこわれたんじゃないかと思うほど、
ポロポロと涙がでるし
腹が立つことがあったらぷりぷり怒るし
どん底のように落ちこんだと思えば、
がははと笑ってしまう。
友人や職場の人たち、
息子や娘の言葉に
感謝があふれまくって
大泣きしたり、
大笑いしたり
とにかく大忙しだった。
そして、そんな大忙しのわたしを
すこしはなれた場所から
静かに見ている
もう一人のわたしの存在も
ずっと感じていた。
不思議だったのは
様々な感情を体験している
一瞬一瞬が
とても色鮮やかで
そんななかに在って、
わたしは
心底
しあわせだったということ。
たくさん泣いたけど
ずっと
しあわせだったのだ。
がんかもしれない。
ということに
動揺はした。
でも
そんな自分のことを
ちっとも不幸だと
思わなかった。