臨月の妊婦
臨月になった。臨月というのはいわゆる10ヶ月目のことで、医学用語ではないらしい。
出産予定日は40週0日目を指す。ただ0週0日目というのは「最終月経日」のことで、つまり胎児が存在していない段階から妊娠カウントは始まっているのだ。なんとも不思議な話。
不思議な話といえば、妊娠出産で見聞きするアレコレは本当にオカルトレベルの話が多い。
「昔はこう言われていましたが、今はそれは違うのが通説です。〜だと言われています。ただ人によって違います。」とか平気で言ってくる。フワッフワで根拠が怪しい。
そんなのばかりだから妊婦ハウツーみたいなのはだんだん話半分で聞くようになった。おばあちゃんの知恵袋的な感覚だ。
そもそも妊娠は病気ではないし、出産は数ヶ月待ってれば産まれてくるじゃんとなれば、本腰を入れて研究するこたぁない。
女性なんて人類の半数しか存在しないし、妊娠する女性に限れば割合はもっと少なくなる。存在がさほど重要視されていないのだろうか。
里帰り前に妊婦健診で通っていたのは、町の小さな産婦人科で、先生はいろいろな経歴を経て余生を過ごしているらしい。数千人の赤ちゃんを取り上げたと言っていた。
先生をひとことで例えるなら「大学に1人はいる変わった教員」という感じで、ユニークさが人を選ぶようだが経験と知識は豊富だ。
先生はエビデンスの無いことを口にしたがらず、強制もしない。検査結果はこうなっていて陰性だね、とか、こういう予防接種があるから受けるかは自分で調べて判断して、とか。体重に関しても管理されたことはなく、運動しろも言われたことがなく、言われたことといえば、浮腫みには塩分控えるといいよ、くらい。胎児の性別を見たときすら、エコーを見せてくれはしたが性別を断言せず、「どう判断するかはお任せ」と言った。
このスタイルがどうやら合わない人には合わないようで、Googleマップなんかは賛否両論になっている。けど、きっと産婦人科というものは追究すればするほどそうなっていくんだろうなあと初産妊婦ながらに思う。