アイドルは恋愛しない

「アイドルは恋愛しない」

女性ファンだけどそう思っている。

そもそも
アイドル＝恋愛禁止
ではない。

事務所との契約時に恋愛禁止を取り決められ、同意した上で活動しているのであれば、契約違反にあたる。でもそれは歌手でも役者でもダンサーでも同じだ。職業を問わない。
一般人である私も「恋愛は禁止です」と社内規程で定められた企業に入社したなら、恋愛が違反行為になってしまう。
この場合、アイドルだから恋愛禁止、なのではない。恋愛禁止の契約に合意したから、恋愛が禁止なのだ。
契約にないのならば、恋愛も自由だろう。

私にとって、アイドルは夢を見せてくれるものだ。
アイドルの世界は、私にとってはテーマパークのようなもの。非日常を求めたい。ストレスを発散しに行きたい。憧れの対象を見つけ出し、私もあの子のようにと奮起したい。また会いに行けるように明日からもまた頑張ろうと勇気をもらいたい。

着ぐるみの中には人間がいる。
アトラクションの建物は上空から見ればプレハブ小屋。
地下に社員食堂があって、社食は普通。

そうであっても構わない。
事実なんか関係ない。

着ぐるみの隙間から人間は見えないし、
建物の正面からプレハブは見えないし、
スタッフルームの入口なんて見つけられないから。

着ぐるみの中に人間はいない。
サンタクロースはトナカイに乗ってやってくる。
赤ん坊はコウノトリに乗ってやってくる。

それと同じくらい、
アイドルは恋愛をしない。
一心不乱に目標に向かって努力するひたむきな姿が勇気を与えてくれる。
ファンはアイドルを見つめて、アイドルはファンを見つめてる。一緒に頑張っていこう、と思う。
「恋人はいません。」
「今はこのお仕事に集中したいから。」
「ファンのみんなとの空間を大事にしたい。」

わかってる。
ファンが、アイドルは恋愛せず、仕事とファンに集中していると思い込みたいだけ。
心優しいアイドルが、事務所が、それに応えて着ぐるみの中身を見せないようにしてくれているだけ。

でも、事務所が恋愛を公認した時点で、恋愛しないと思い込みたいファンは夢を見れなくなる。
「高みを目指して一心不乱に向かって努力する」偶像が崩壊する。どうしても崇拝できなくなる。
私はそれを怖がっている。

恋愛が発覚してアイドルを辞めていく人たちは、世界を守ってくれた優しい人たち。
勝手でごめんね。
自由を謳歌させてあげられなくてごめんね。
歪んだ恋愛をさせてごめんね。

もっと不良であってくれたら。
隠し通すことに慣れきっていてくれたら。
開き直ってくれるくらいだったなら。
でも決断してしまうようなところも好きなんだ。
ありがとう。

アイドルとして推すことはどうしても出来ないけど、
これまでのたくさんの感謝と、同じアイドルファンとしての敬意と、
１人の女性として幸せになる未来を
心から願ってる。