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未来への贈り物

2学期最終日。転出する子がいて、最後のお楽しみに、久しぶりの科学実験レクをやりました。
今回は「野菜ロケット」です。ジャガイモ・にんじん・ごぼう・大根などの野菜をすりおろし、富士フィルム社のフィルムケースに半分ほど入れ、オキシドールを注いで蓋をし、さかさまに地面に置きます。早ければ1分以内に、野菜の酵素を分解して生まれた酸素がケース内に充満し、爆発。作用反作用の原理で、上空へと飛びます。
もうすぐお正月でもあり、東南アジアの正月のお祭りであるロケット祭りなんかの話をしながら。

レクですので、もちろん一番のねらいは「お楽しみ」です。みんなでわいわいきゃあきゃあ作業を共にすることで楽しい思い出作りになれば、というのが、まあ表面的なねらいです。だから、ラオスの正月行事だの、酵素だのカタラーゼだの、小難しい理屈はさらっと説明はしますが、理解は求めません。

でも、本当のねらいはその奥にあります。
私は科学好きで、時折こういう科学実験レクをします。夏には安全な線香花火をみんなで作って、花火大会をしたり。「つかめる水OOHO」を作ったり。静電気を蓄電するコンデンサーで電気の仕組みを体感し、みんなで感電して楽しんだり(もちろん安全です)。
それらは全て、原体験として、いずれ習うことを、無意識化にたくさんすり込んであげたいというねらいがあります。
今回は、「水溶液」「化学反応」「酸素」「分解」というワード、そして化学の魔法みたいな面白さですね。

新しいことを習う時。完全に「へえ~。」な初見よりも。
「あれ?これ、何か知ってる。」
「これ、見たことある気がする!」
「もしかしてあの時のアレ、こういうことだったのか!」
というとっかかりがある方が、関心を持ちやすい気がします。自分と無縁なものではなく、かつて自分と何らかの接点があったことを、思い出せるのですから。
きっとこの先の理科を学ぶ時、何人かは、このレクのことを思い出してくれるでしょう。そしてついでに、みんなで大騒ぎして笑ったことも。ついでに、科学の好きな、だるま担任のことも、ちょっとだけ(笑)。
今は、理解できなくていい。むしろ忘れてしまっていい。「楽しかった!」だけ残ればいい。
そして、いずれ出会い直した時に、既視感がよみがえればいい。その時、理解できればいい。
そういう、タイムカプセルみたいな原体験を、子供たちに刷り込んでいくのが好きです。時々卒業生が遊びに来て、「だるまのアレのお陰で、中学校の勉強が良く分かった!」なんて言われるのが、無上の喜びです。

未来への贈り物、なんて言うと、カッコつけすぎですけどね。

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