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ここが変わる、”新生活”のニューノーマル

ステイホームで暮らしが突然変わった2020年、そして迎えた2021年。それぞれの年の新生活の話題を比較してみると、2021年はコロナ禍によって生まれた変化がより広く受け入れられる様子などが見えてきます。またステイホームの長期化によりこれまで暮らしの中で意識してこなかった部分までアップデートする動きが現れているのも”ニューノーマル”2年目の特徴かもしれません。(※本テキストは、2021年4月に実施されたライブ配信「新生活フェス2021 ビジネス向け限定アフタートーク」のダイジェスト版です)

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ユーザーの関心は多様化へ

 2020年と2021年にRoomClipで行われた新生活おすすめアイテムを募る投稿イベントに集まった写真を見ると、被写体となったアイテムのジャンルに、二つの大きな変化が見えます。一つは 、ニューノーマルの定番化。もう一つは、デジタルへの関心です。

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 昨年まで新生活イベントでは投稿件数が少なかった「ランドリー用品」「バス・ケア用品」が上昇。衛生に対する人々の意識が定着し、さらに高度になっている印象です。また、「AV・IT機器」が話題に上るのも、昨年までは見られなかった傾向でした。

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 また、投稿された写真を暮らしのどの「シーン」を対象にした投稿か、という切り口でデータを眺めると、より目立った変化が見えました。これまで新生活では「炊事・食事」への関心が比較的集中していましたが、2011年はそれ以外のシーンも幅広く話題となったことがわかります。在宅ワークなど、ステイホームにより暮らしの中のアクティビティが変容した結果、より合理的に家の中を使いたい、合理的に家事・仕事を進めたいという志向が高まっていたり、反面、自分を癒す時間をしっかり作ろうという目線の投稿が増えています。

 こうした傾向は、これまでにもあった「引越しや新年度に必要な優先度の高いものを買いそろえる」という従来からの志向に加え、「長時間を過ごすことになる部屋をアップデートさせる」志向が現れたことが影響していると考えられます。

暮らしのアップデート――ユーザーの事例から

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 まず、玄関に消毒コーナーを設けるなど、感染対策の環境作りが部屋のレイアウトやアイテムのカスタマイズとともに定着しています。

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 また、ワゴンの導入は非常に盛んです。今までは収納家具によって部屋のレイアウトが定められていましたが、住人の動線に合わせて自由に動く収納が一般化しています。各家庭のさまざまな場所でさまざまに用途にカスタムされている様子が数多く投稿されました。

 自動家電の投稿も多く見られます。従来からのロボット掃除機、洗濯乾燥機、食洗機に加え、電気圧力鍋のような自動調理器が定着し始めています。ステイホームにより、さまざまな家電が生活を手助けしてくれることで生まれる余裕の重要さにユーザーが改めて気づいたのではないでしょうか。

 デジタル機器関連の投稿からは、これまで一部の愛好者でしか知られていなかったものが一般層で活用されている、という変化がうかがえました。

 さらに、その他の投稿キャンペーンに集まった投稿からは、さらに、さまざまな空間づくりや時間の過ごし方のアイデアが見えてきます。

投稿イベント「上から撮ってね、我が家のレイアウト」

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 新生活にあたって部屋をレイアウトするときのコツを募集。

 一番多かったのは、「カラーや素材を統一する」というアドバイス。統一感といえば、これまでは「北欧」など具体的なインテリアのスタイルが提案されることが多かったのですが、より抽象的なレベルのアドバイスが多くなったことが変化でした。その他、家具のサイズの統一にまで話が及ぶケースがあったことは特徴的と言えます。

投稿イベント「わが家で活躍、便利な収納アイテム」

 突っ張り棒は特に賃貸住居において定番中の定番と言えるアイテムです。引越し時のおすすめとして、限られたスペースやデッドスペースを活用するノウハウが多数投稿されました。ワゴンも、暮らしの変化にとても対応しやすいアイテムとして言及されています。

 ボックス収納の投稿は、「この用途ではこのブランドのこれ、この素材を使うといい」など、アドバイスが細分化が進んでいる傾向です。素材、サイズ、ふたの有り無しなど、この数年でボックスの選択肢は非常に増えています。

投稿イベント「これはじめました!おうちをキレイに保つ習慣」

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 このテーマで特に話題を集めたのは「浮かせる収納」です。従来は水回り収納のイメージが大きかった「浮かせる収納」ですが、子ども用の踏み台やフライパンなど、大きさや重さがあるものも浮かせるアプローチが増えています。

 床や台の上にモノを置かないことで掃除がしやすくなり、キレイを保つ習慣につながります。新生活の最初の一歩から取り入れることがベスト、というアドバイスが多く見られました。

投稿イベント「植物のある暮らし」

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 インテリアとして室内でグリーンを楽しむだけでなく、ベランダやテラスの空間を作りこむ中で、植物を効果的に取り入れる例が増加しています。ステイホームの時間が長くなり、新しいくつろぎ方としてベランダやテラスで過ごす人が増えた影響と言えます。

投稿イベント「わが家のワークスペース」

 独立した仕事スペースというよりも、その部屋の中で趣味やライフスタイルなどのさまざまな要素と混じり合っている、そんな最新ワークスペースのあり方が見られました。

 L型と分類されるタイプなどを代表として、デスクをただ部屋に置くのではなく、デスクのサイドに背の高い収納を合わせ、デスク空間を立体的に使うケースが多く見られ始めています。また、押し入れリメイクや、2×4材を使ったワークスペース自作など、DIYのノウハウも一般化が目覚ましいです。

キーワードは
「基礎的な快適性」「通信インフラ」

 投稿以外で見られなかったトレンドとしても、いくつか着目したいものがあります。代表として挙げたいのが「基礎的な快適性」「通信インフラ」です。

 家の中で過ごす時間が増えたことで、「暑さ」「寒さ」「花粉」「乾燥」「湿気」など、室内の最も基本的な快適性に、これまでになく人々の意識が向けられていると言えます。

 また、エンタメ用途が主だったネット環境が、仕事のシーンでも必須となりました。総じてオンラインに触れる時間はかなり増え、通信回りの機器の買い換えや通信環境の高速化のニーズが、昨年の夏ぐらいから加速している印象があります。

 2021年以降の暮らしのシーンは、全体の傾向として2020年は様子見していた層が担い手としてトレンドに加わっていくことが予想されます。これまで不便をやり過ごしていたモノやコト、これらにはますます目が向けられるようになるでしょう。新しいトレンドを取り入れつつ、これまでの暮らしをアップデートする――この2つの動きが同時に起こっているという点が、2021年の非常に面白い動向と言えます。

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