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私の冬アニメ2023

地獄の2023年冬アニメが進行中ですが、私的には結論出ている作品について書き留めておきます。

便利屋斎藤さん、異世界へ行く
ノーマークだっただけに驚きと共に安心感ある作りで好感が持てます。一途なヒロイン、無双しすぎない主人公はなろう系クソアニメには無い物語の質感が感じられます。
主人公のスキルとしては鍵開けなので盗賊枠となるのですが、盗賊としては罠感知なしトラップ系技能なし短剣技能なし、なのでストーリー展開が厳しいのでは?と思いましたがタンクや火力というロールプレイだけではパーティは成り立たないと言う方向に持って行くのは盲点でした。
ストーリーの脇を固めるのはいろいろなパーティ。ストーリーがバラけがちな要素なのですが、上手くまとめられています。それぞれは分散しているところから始まり、集積して行く事でクライマックス感の演出。少し強引な感じもしますが許容範囲ではないでしょうか。ただ、まだ話数があるのでずっと魔神戦をやるのかどうするのか、これは監督の手腕が問われますね。
2月23現在では大きな問題はないのでこのまま行って欲しいです。原作未読勢に優しい作品です。原作原理主義にとってはどうなんでしょう?最終話まで見続ける候補作品のひとつです。

とんでもスキルで異世界放浪メシ
第一回放送でみんなの胃袋を掴んだ作品。異世界の食材などは空想の産物なので実際には食べられないですよね。当然味の想像もつきませんし、噛みごたえや食感、喉越しなどは全くわかりません。猪の魔物の肉ならなんとなく豚肉に近いのかな?など想像は出来ても臨場感があるとまではいかないのが現状。それが薄切りにしてエバラ生姜焼きのタレで漬け込み、千切りキャベツを添えて生姜焼き定食に!となるだけで味の想像がつき、ああ、これ食べた事ある!となるとは思いませんでした。食べたことがあるからこそとんでもなくリアルになる。見ている側の食体験がアニメの補完をするというある意味反則で販促な作品です。一瞬ですがエバラの生姜焼きのタレが売り切れたそうです。
今までのグルメ系作品と大きく違う点は軽く塩胡椒した肉を焼いて既製品のステーキ醤油をかけるだけって、恐らく誰もやらなかったんじゃないかな。今まではニンニクオイルを作ったり、大根は自分でおろして肉を焼いた油でソースを作る等でしたが、生姜焼きのタレやのステーキ醤油をぶっかけるだけっていう単純だが安定した味の保証はリアルで納得させるのに充分な力があります。
また、史上最高レベルの料理作画。グルメ系作品は今までもありましたが、本作品はいずれの作品も凌駕した圧倒的な料理作画で海外視聴者まで巻き込んだ"飯テロやめろw"コール。実際の商品やネットスーパーを登場させるには各メーカーやサービス提供会社の協賛を取り付けるなどの場外活動が必要であり、このような活動の重要性を具体的に示唆する作品でもあります。ただ、これが進み過ぎると販促なのかアニメ作品なのかよくわからない作品も出て来ると思います。
作画や脚本などのアニメスタジオの中だけではアニメは作れない事がわかる貴重な作品。ただ、基本的には孤独のグルメ枠なのでアレに反応出来ない層は別のアニメを見た方が良いでしょうね。

お兄ちゃんはおしまい!
圧倒的な作画力と日常系にあるまじき動き。こんなに動くアニメは久し振りです。アニメーションは動いてなんぼ、がよくわかる作品です。
本筋とはあまり関係ない料理作画も手を抜かない仕事っぷり。チャーハン作りでは横からのショットで頭も身体も動かず、手だけが動く演出がされるのですが、フライパンをあおった際には実際は上半身も動くのです。本作ではまさに実際に作っている姿を撮影して、そこから作画したかのような丁寧な演出がされていました。で、そんな丁寧な作画や演出がそのシーンだけではなく、というか全てにおいて丁寧な作り込みをしていて感嘆を禁じ得ません。ちょっとした服のシワなども姿勢が変わった時にシワの寄り方も変わるなど想像を絶する出来です。何というか本当の職人が作っている感じがします。
しかもそれがさりげなくされているところがニクイじゃないですか。高カロリーな作画は他作品にもあるのですが、いかにもな演出で「な、この作画すごいだろ!フヒヒ!」感が酷いです。もう本当に鼻につきますしクサ過ぎます。確かに苦労したのかもしれませんが、だからと言って演出で押し付けるのは制作側のエゴです。作品性とは何の関係もないですから。ぼーっと見てたら気付かないような所まで丁寧に作り込まれているのに押し付けがましくない。まさに玄人の仕事です。
OPがよく動く作品はたくさんあります。ですがOPはまだしもEDがこんなに動くのはちょっと見た事無かったです。まあ、あの一期D×DのEDを手掛けた方の仕事なので納得です。しかも手書きだそうです。もう何から何まで技術的に凄すぎる作品です。脳が、震える。

最近のアニメ雑感
大爆死したチェンソーマンの例を出すまでもなく、どういう訳かアニメ製作者は原作をぶっ壊す頭おかしい連中が多数いるので、作品に対して忠実な誠意を持って当たって欲しいですね。
このクールはなろう系作品が20以上あったのでそれも関係していると思われます。そもそもは小説なので絵も音も無いのですから、アニメにするだけである意味原作に無い要素を付け足しているのです。なのでやろうとしている事が必要な事なのか余計な事なのかわからなくなるのも理解は出来ます。理解はね、だがしかし、プロとして仕事を受けている以上、甘えた言い訳は通用しないのも事実。
昨年の秋アニメの覇権、ぼっち・ざ・ろっくの監督は原作に寄せるだけでは原作の良さが引き出せないジレンマがあったと言っています。そこから大胆な改変でその場面で表現したかった"表面に現れない肝の部分"に迫る事ができ、結果、原作者をも唸らせる作品をまとめあげました。
確かにやってる事は原作改変なんですよ。同じじゃんって思うのは素人なら良いですが、アニメでメシを食ってる奴は許されません。オリジナルアニメしか関わらないというのなら話は別ですがね。少なくとも原作付き作品に関わるべきではありません。
良いエンジニアが良いマネージャーになれるわけではないのです。良い薬剤師が良い管理職になれるわけではないのです。アニメも良い原画家や良いアニメーターが良い監督になれる訳ではないのでしょう。業界に長くいて歳がいったからと言って安易に監督にするのは粗製濫造を加速させるだけでアニメという業界が朽ちて行く一里塚です。
とは言え、製作委員会の出資者は儲けるためにアニメ制作に出資してるのであって業界が滅べば別のところで稼ぐだけなのですよ。恐らく出資意欲が一定以上あって、でも監督や制作スタジオが抑えられない事情から素人監督やクソアニメスタジオにも仕事が振られているのではないかと推察しています。

では、またお会いしましょう。

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