32.ゆびきり
指を切った。
いたい。
あーあ、朝から早起きしてがんばったのに。
心の奥。シャワーの音がしみる。
今日はシャーペンの芯もよく折れる。力みすぎてる。
白線だけを踏んで歩く自分だけのルールで
少しまわり道するのもたまにはいいでしょう。
月だと思っていたものは遠くでゆるゆると光る街灯で、
蜘蛛の糸がうっとおしくて切ると、
こわれた蜘蛛の巣から蜘蛛が落ちないように上の方にちょこちょこと避難している。
それを見て、この蜘蛛も一生懸命蜘蛛の糸を張ったのかと思うと私って嫌なやつだなあって悲しくなった。
思いつくことは全部駄作で
同じ言葉をなぞっている気分になる。
出来事って単純そうで複雑だし複雑そうで単純。
考えるだけ無駄なのかも。
悲しい気持ちは連鎖してとことん悲しくなっていくのに
天邪鬼は大人になった今でも治らない。
いつだって苦しいし、上手に泳げない。
すべてを指切りして約束してほしいよ。
こんなヘンテコなうざったい世界だけど
それでもいつだって私は立ち漕ぎのまま
この世界を見ているんだ。
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