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スペインのトマト祭り、トマティーナはカオスな祭りだった

2024年8月28日
私たち夫婦はスペインのとある村で大量のトマトに溺れていた。

そう、この日はスペインで開催される
「ラ・トマティーナ」と呼ばれる祭りが開催される日。
私たちはそのお祭りに参加していた。

ことの発端は妻のある一言。

「これ、絶対行きたいからチケット取っちゃうな!」

世界一周に行くと決めていた私たち夫婦はその日、
お互い思い思いの時間を過ごしていた。

そんな中、妻は急にハッとしたように立ち上がり、
トマティーナのチケットを購入していたのである。
妻は世界の果てまでいってQで宮川大輔さんが参加されるのをみて以来、
ずっと行きたかったらしい。

そして月日は経ち、世界一周の旅に出た私たちは
無事スペインの小さな村に辿り着き、祭りの日を迎えた。

しかし、まだこの時はただのトマト投げるだけとしか聞いておらず、
どんな体験が待っているのか、私たちは全く想像がついてなかったのである


トマティーナとは

ここでトマティーナについて簡単に

トマティーナ(La Tomatina)は、スペインのバレンシア州ブニョールで毎年8月の最後の水曜日に行われるトマト祭り。
この祭りは1950年代に始まりったらしく今では世界的に有名な祭りとなっています。 最近かと思ったのですが意外と歴史がありますね。

油まみれの柱、生ハムの原木、それに群がる漢達

嵐の前の静けさ

朝9:00
前夜祭から参加していた私たちは早速会場を歩いていた。

会場といっても普通に民家が立ち並ぶ通り。
多分汚れ防止であろうブルーシートが窓を覆い隠すように被さっている。

トマティーナ会場の様子

その前では地元の人たちがビールを飲みながら朝食を食べていた。
楽しそう。地元の人たち以外にも、参加するであろう
白いTシャツを着た人達もちらほら。

白いシャツを着た人たちが続々と集まります

のり遅れまいと手持ちの荷物をクロークを預けに向かった。

大木に油を塗って何かの準備をしているおじさん

朝10:00
荷物をクロークに預け、朝食として買ったパエリアを食べながら
祭りの開始を待っていた。

すると目の前で
生ハムの原木を大木につけ、立てているスタッフの人たちが。

おもむろに掲げられる生ハムの原木

どうやらトマトを投げ合う前に
生ハムの原木を取るという催しがあるらしい。

文字にすると簡単に聞こえるが、大木は建物2階分くらいの高さだし、
何より木にはたっぷりと油が塗りたくってある。

イメージとしてはマリオの第一ステージをクリアする時に出てくる旗。
あれくらいの高さの棒に油がべっとりくっついていて
先っぽには生ハムがくっついている感じ。

無謀だと分かっていても漢にはやらないといけない時がある。

大木が無事設置され大砲の音が響き渡る。

「お、とうとうトマティーナ始まりか!」 とワクワクしていると、
周りの漢達がベトベトの大木を登り始めた。

最初の数人が果敢にも挑戦するが、当たり前のように滑り落ちていく。
マリオだったらジャンプに失敗して根元にしがみついているみたいな感じ。

それはそうだよね、油でベトベトだもん。

果敢に挑戦する漢

初めはみんな恐る恐る挑戦していたが、
だんだんと血気盛んな漢たちが我先にと登り始めていて
気づいたら多分インド人の指揮官と多分インド人の漢達が密集し
大木に突っ込んでいた。

インド人の団結力すごい。

「重いやつは下で円陣を組んで軽いやつは上に登れ!!!!」

指揮官がそう叫ぶと素早く円陣ができ、2段目、3段目が出来上がっていく。
しかし、そんな努力も虚しくみんな滑り落ちていき
全く原木を取れる気配がない。

そんな状況にイライラしたのか、次第に指揮もクソもなくなり、
屈強な漢達がただただもみくちゃになりながら
大木を滑る光景に変わっていった。

とにかく柱に飛び込む漢達

というか男女関係なく、人だかりを駆け上がって大木にしがみつき、
そこにさらに人が登っていくという無秩序な状態。

ただ登っているだけなのにみんな服が破けているし、叫び声が聞こえるし
もうカオス

そしてそんな状況がかれこれ2時間続いた。
流石に長すぎるって!早よ取ってくれや!

そんな状況の中、
気づくと周りには一歩も動けないほど人が集まっていた。

イメージとしては、東京の通勤ラッシュくらいのパンパン具合。
流石に人いすぎ。

人混みの様子

やっとトマト投げ開始

(たぶん)正午
また大砲の音が響き渡った。
そうすると通りの奥から叫び声が聞こえてくる。

「何があったん・・・?」

よく目を凝らしてみると奥から大きなダンプが、
しかもその上には人が乗っていてトマトを投げ込んでいるではないか!

トマトを運ぶダンプ到着

そう、やっとトマティーナが開催されたのである!

それに気づくとと周りの熱狂も最高潮に。
私たちもやっと始まるぞ!!!!とテンションが上がります。

あれ、ちょっと待てこれヤバいぞ

とうとう私たちのところにダンプがやってきた。
投げたるで!!と意気込んでいたがそれどころじゃない。

臭い!!!!

私たちが最初に叫んだ言葉はこれだった。

強烈なトマトの青ぐささを感じる。
トマト大好きだけどトマトが嫌いになる人の気持ちがわかるくらい臭い。

そして臭いを感じたのも束の間、
次はものすごい勢いで大量のトマトが投げつけられてくる

痛い!!!!

私たちが次に叫んだ言葉はこれだった。

トマトは柔らかいからと油断していた。
そこそこの速さでトマトが飛んでくるし、
熟していない硬いトマトも混じっている。
そりゃ痛いわ。

宙を舞うトマト

しかも、参加者達はテンションが上がりすぎて
力加減など完全に無視して投げつけてくる。
痛いって!!!!

もうすでにカオスな状況なのだが、
そんなことはお構いなく、ダンプの荷台が開けられ
道端に大量のトマトがぶちまけられる。

ぶちまけられたトマト達

そこに参加者がダイブしていく。
ドロドロのトマトをすくい上げ人の頭にぶちまけていく。
その頭上では投げられたトマトが宙を舞っている。

なんだこれ

いや、楽しいんですけど全然理解が追いついていない。

映画キングスマンで、
凶暴にされた人たちが教会の中で大乱闘になるシーンがあるが、
イメージはそんな感じです。

やっと終わった

ダンプが来てはトマトが飛び交い、地面にトマトがぶちまけられる。
人々は発狂しトマトを投げたり浴びたりする。

そんな状況が5~7回ほど続き終了の大砲が響き渡った。
トマティーナ終了の合図である。

最高に楽しかった一方、カオスをこれほどかと浴びた私たちはボロボロ。

気がつくと会場の通りはトマトまみれでまるでトマトの川。
参加者もトマトまみれでゾンビみたいになっていました。

感想

噂には聞いていたけど本当にすごいお祭りでした。
今までこれほど熱狂的で、ぶっ飛んでいて、カオスなイベントには
参加したことがありませんでした。

終わってみれば、トマティーナはただトマトを投げる祭りではなく、
予想をはるかに超えるカオスであり、
私たちにとって一生忘れられない経験となりました。

もう一回参加する?と聞かれると言われると
はい、と答える勇気はありませんが参加できたことは良かったと思います。

一方その頃、片付けが始まる会場の奥では
いまだに油まみれの大木を滑っている漢達がいるのでした。

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りょうま | ほぼ初海外で世界一周中
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