戯曲「CLOCK」②


シーン2『政策』

ある国のある城で。

赤ん坊の泣く声。

従者2  生まれ、うまうまうまれましたー!

従者3  もちつけいもちつけい!

従者4  レッツ、パーティー! 

  音楽がかかる。ノリノリ。壇上にシグレ、ツチクレ、ウクイ、登場。

シグレ  ずんちゃずんちゃ!

ツチクレ いいねいいねえ!乗ってるねい。

従者たち いえーい!   

ツチクレ 音楽ストーップ!ナイスミュージック。

従者5  おお、これはこれはシグレノカミ殿。

従者6  そしてツチクレノカミ殿。

シグレ  おお、ご紹介あんがと。

シグレ  さて!この城にあらたな命が生まれた。

ツチクレ 我らの希望の星である。

シグレ  うむう。

ツチクレ シグレ殿。みっともない、泣くな泣くな。あっちで親方様に笑われようぞ。

従者6  本当に親方様をお慕いしておったのだなあ。

従者5  ひそひそでも親方様の一人息子、ウクイ様とはひそひそうまくソリが合わないらいよひそ。

従者6  ああ、あの二人はひそひそなんたって親方様の一番のぺろぺろ相談役であったひそからな。

従者3  それが親方様が突然謎の死を遂げて、この国はウクイ様に任されたのだけどそのウクイ様は天下の放蕩者、お二人の言うことなんて全く聞かないひそ。

従者2  ひそひそー!そこに待望の第一子が生まれて、その子を新たな主として徹底的に育て上げるって息巻いてたからね。そりゃあ喜びもひそしおね。

従者3  さらにシグレノひそ様はスイレン様にほの字だからね。そりゃあ花束ももってくるわ。きもい。

従者たち ひそひそひそひそひそひそ。

シグレ  ・・・・・・。

ツチクレ ・・・・・・。

シグレ  お前らひそひそ話くそへたくそな。

ツチクレ あとお前途中ぺろぺろ言ってたろ。なんだぺろぺろって。

従者6  すみません。 

ツチクレ ぺろぺろおじさんか。まったく。

シグレ  ぺろぺろおじさんといえば。また化け物に食い殺さた者がでたそうで。

ツチクレ なんでも生きたまま肝を抜いて食らうだとかよ。

従者   ひいっ!

ツチクレ お前らも気をつけなきゃいかんぞ。自分の身は自分で守る時代だ。  

シグレ  本来ならば王子であるウクイの役目だが・・・。お子は我々の手でしっかりと守り、育て上げようぞ!なあ、ツチクレノカミ殿。

ツチクレ うむ。もとよりその覚悟よ。この命尽き果てようとも。

シグレ  しかしそんな中よくぞがんばってくれました。スイレンちゃん。愛してますぞ。

ツチクレ うむ。親方様もあちらでよろこんでくれようぞ。

シグレ  親方様のお孫は必ずや私たちが。あとスイレンちゃん愛してますぞ。

ウクイ  うええっくしえっくし。

従者たち ひそひそひそひそ。

シグレ  なんだ、いたんですかウクイ殿。

ツチクレ お子も生まれたのですから、しっかりしていただかなくては困りますぞ。

ウクイ  はいはい分かってますよ。

シグレ  わかってない!全然分かってない!あたしの気持ちぜんぜん分かってない!

ツチクレ それではこれより、御子のお披露目である!いずれこの国をしょってたつお子よ。みな心せよ。

  スイレン、従者1、赤ん坊を抱いてくる。歓声。

ウクイ  おお!ちっちぇえ!

従者1  当たり前っす。

ウクイ  スイレン、よく頑張った!これがおれの息子か。よろしくな。えーっと・・・

ツチクレ なんじゃい、名前もまだかい。

スイレン ゆっくり決めましょう。

シグレ  ぬぬぬ。 

ツチクレ まあまあシグレノカミ殿。わしらは運が良い。今都で最も力のある陰陽師が来てくれている。

ツチクレ 親方さまの不審死・・・あれは呪いだという噂もあるからな・・・

従者2  呪い!?

ツチクレ シー!声が大きいの!

シグレ  セイメイ殿!セイメイ殿!

  セイメイ登場。

セイメイ こちらに。

シグレ  ぬう!イケメンだぜえ。

従者たち イケメン。

女たち  ひそひそひそひそ。

シグレ  だからひそひそへた!

ツチクレ まったくだ。おい、あまり近くに立つな。

セイメイ はい。

  なんかおんなたちに囲まれる感じに。

シグレ  その女に囲まれてる感じもやめろ。腹立つ。

セイメイ 御意。

従者2  しかしなぜ都の安倍晴明様がここに?

セイメイ 仕留め損ねた妖狐がこの地に逃げていると聞いて。    

ツチクレ ほっほ。バケモノ退治とは精が出ますな。

ウクイ  なんでおれ見んのよ。

ツチクレ セイメイ殿。今この国は呪われている。親方さまの不審死も、何かの呪いではないかともっぱらの噂。貴様の陰陽遁で新たなる我が主の行く末を見てくれぬか。

セイメイ お安い御用で。

  セイメイ、巻物を開き、すぐ閉じる。

ウクイ  立派に育つだろ。

セイメイ 憑かれている・・・・。

従者4  ほんとですか?では肩でもお揉み致しましょう。

セイメイ そうそうここんところが凝っちゃってね、てばかー。バケモノに憑りつかれている者がいる!

シグレ  なんと!

ツチクレ まことか!?

シグレ  どこ?どこにいんの?妖怪?

セイメイ オンアビラウンケンソワカ。

従者4  ぐああああ!

シグレ  この者が!?

ツチクレ いったい何が見えた?

セイメイ 闇の未来。その赤子はいずれ災いをもたらす。このまま生かしておいてはこの国を滅ぼされてしまう!

ウクイ  ちょっと待てって。

セイメイ 正体を見せろ。化け物め。

従者4  そんな、私は・・・私は・・・!

ウクイ  そんなはずない!

セイメイ 滅。

  式神2人が現れ従者4を切り捨てる。

ツチクレ これが噂に名高きセイメイの式神。

  逃げ惑う従者たち。

ウクイ  ちょっと待てって!そんなことねえよよく見てみろよ。

シグレ  ぬぬぬぬぬ!ウクイ殿!やはりバケモノが災いをもたらしたではないか。あれほど人間と妖怪は共存できぬと言ったではないか!

ツチクレ もうよい、シグレ殿。このままではこの国を妖怪に乗っ取られてしまう!我らの我慢ももうここまで。未来のためだ。

  ヤシャ、ヨルキリ、アサツキ、ユウグモ。

ツチクレ そやつらは? 

セイメイ この者たちは私の手となり足となる。ヤシャ丸、ヨルキリ丸、アサツキ丸、ユウグモ丸にございます。腕に間違いはございません。

ヤシャ  悪いな。あんたに恨みはねえけど、妖怪退治ならな。

アサツキ 命令だからやるんだよ。ばかかお前。

ウクイ  だからちょっと待てよ・・・。

セイメイ ウクイ殿からも妖怪のにおいがする。

シグレ  やはりそうか。そうだったのか!我らを欺いていたのか!

ツチクレ 親方さま亡き今!この国を守れるのは我らだ!赤子もろとも、妖怪を退治してくれる!

ウクイ  おれは妖怪じゃない!もちろんこのこもだ!何かの間違いだ!あいつらは・・・!

  斬りかかる4人と二人の式神。ウクイは子を抱いて逃げ回る。

シグレ  この世を総べるのは人間だ!妖怪などには渡さぬ!

ウクイ  そんなこと言ってっから、いつまでたっても分かり合えないんだ。

ツチクレ 分かり合う気なんてさらさらありません!

  ウクイ、斬られる。

  ツチクレ、子を奪いとる。

ウクイ  やめてくれ。

ツチクレ この国の未来の為!

  ツチクレ、短刀で子を殺そうとする。

  スイレン、ツチクレを止める。

スイレン  やめてください!

従者2   スイレン様!

ツチクレ  離せ!この子は災いの子!このまま生かすわけには!

スイレン  そんなことない!このこが災いを起こすわけがないでしょ!

ツチクレ  陰陽師がそういってんだ!そうに決まってんだろ!

スイレン  何を証拠に!

ツチクレ  おい。

セイメイ  滅。

  式神、スイレンへ構える。

ウクイ   やめろ!!

従者1  スイレン様!

スイレン あなたたちも逃げて。

従者2  命にかえても守ります!

  式神、従者を斬る。

従者1  スイレン様、逃げて・・・。

 式神、スイレンを追い詰める。

  

スイレン このこだけは。

    

  ウクイ、式神を蹴散らす。

ウクイ  やめろって言ってんだろ!

セイメイ この国の未来のために、今。その子をお渡しください。

スイレン ・・・未来の為。

シグレ  そしてその男もまた、妖怪に憑りつかれておる。

ウクイ  妖怪を勘違いすんな。

ヤシャ  おれのおやじは、妖怪に食い殺された!

ウクイ  え?

ヤシャ  こいつらもそうだ。俺たちの大切なもんは、理不尽に奪われたんだ。

アサツキ 妖怪と仲良くしてるてめえにはわかんねえだろうな。

セイメイ わたしは都であまたの妖怪を退治してきた。妖怪は人を化かし、脅かし、そして食らう。恐ろしきバケモノぞ。

ウクイ  違うんだって!悪い奴ばかりじゃないんだって! 

シグレ  その妖怪をかばう姿勢こそ妖怪そのもの。スイレン殿、子をおいて離れるのです!

スイレン いやです!

シグレ  スイレン殿!

スイレン たとえこの子が憑りつかれていようと、この人が妖怪であろうと、私の大切な人です。大切な子です!

ツチクレ もういい!やれい!

ウクイ  くそっ。

  ウクイ応戦するがスイレン捕えられ絶対絶命になる。屁太郎現れる。

   

屁太郎  ウクイ、こっちだ。

ウクイ  屁太郎。でもスイレンが。

スイレン お願い!その子を守って!

ウクイ  ・・・・わかった!

ツチクレ ちっ。お前等!

ヤシャ  わかってんよ!

シグレ  セイメイ。あとは任せたぞ。

セイメイ 御意。

  セイメイ追う。

シグレ  さ、スイレン殿。いろいろありすぎてつかれたでしょう?我らはもう休みましょうぞ。

スイレン もうやめさせてください。

シグレ  気が動転するのも無理はない。さ、休みましょう。

  シグレ、ツチクレ、スイレンを無理やりハケさせる。

              To be next・・・

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