
『基礎ランナー』の作り方
以前に「基礎ランナー」というタイトルで記事を書かせていただきましたが、今回はどのようにして「基礎ランナー」といえるフォームを手に入れたのか、というお話をさせていただきます。
きっかけは1冊の本
2020年、たまたま本屋で『ランニング革命』という本を見かけました。
(著者:ニコラス・ロマノフ、カート・ブランガート 露久保 由美子 訳)
当時、なかなかランニングのタイムが戻らず、どうしたら元のタイムに戻れるのか、と悩んでいた時期でした。
(注:2017年に交通事故で1ヶ月半の入院の後、1キロ歩くのが精一杯、と
いう状態からの回復途上の頃。30代ではサブ3だったのに・・)
ランニングのフォームについて、力学的にも理にかなった説明が細かい写真付きでされていたので、『これだ!』と直感し、すぐさまこの本の通りにフォーム改造に取り組みました。
そして、この本でのレッスンの進め方は「最初の1ヵ月は新しい技術を身につけることに専念し、ランニングは加えない方がいい」とありました。これに従い、ドリルばかりをやっていました。
なお、この本で解説されている内容が『ポーズ・メソッド』と呼ばれているものです。

特に推奨シューズとして、「フラット(=ゼロドロップ)で、薄くて柔軟性のあるシューズ」を
挙げていて、今の厚底主流の時代に逆らっているようにも思えますが、フォームを改造する
上では、着地感覚のわかりやすい、筆者の推奨するもののほうが良いように私は思います。
更にもう1冊との出会い
フォーム改造の中でさらに興味深い本と出会いました。
『トップアスリートに伝授した 勝利を呼び込む身体感覚の磨きかた』
(著者:小山田良治、小田伸午)
こちらは腕や脚の内旋、外旋を使った体重移動等、これまで知らなかったことが満載で非常に興味深かったです。この中で『二軸動作』というものを初めて知りました。内旋外旋、その他の身体の使い方次第で、重力等(=外力)を利用することができ、筋力(=内力)だけでは出し切れないパワー、スピードが得られることを知りました。これを機に他の二軸動作に関する本も多く読むようになり、より二軸動作にのめり込んでいくことになりました。そして、この二軸の走り方についてもドリルを繰り返し行いました。

2つの動きの融合
両方の動きの練習をしているうちに、いつしか自分の中で『ポーズ・メソッド』と『二軸動作』が融合してきました。私の中ではこの2つの考え方には矛盾はなく、相互補完する形のものである、という感覚になってきました。
例えば、ポーズ理論においては、骨盤の動きに関する記述はあまりないのですが、実際にポーズ理論のドリルをやったときに、二軸動作での骨盤の使い方を当てはめてみると動きが滑らかになる気がしました。
ひたすらドリル&JOG
2つの動きをミックスしながら、ひたすらドリルを続ける日が続きました。
この頃は体力がまだなく、故障がちだったこともあり、長時間走り続けるのが辛かったため、ドリルをやるだけで「お腹いっぱい」って感じでした。(ドリルは結構疲れるのです。頭も使うし・・)
その後、ドリルにも慣れてきた頃、少し長めに走るようにしましたが、それでもドリルを行い、そのドリルを意識して2-3キロ走る、という形が定番になってきました。ドリル&JOGの繰り返しでトータル10〜15キロとか。
今思えば、この繰り返しが『基礎ランナー』の基礎作りになったように思います。
ちなみに、ドリル後のJOGを最近では「フォーミングJOG」と呼んでいます。
水泳の練習ではフォーミングは当たり前に行われますが、ランニングの練習ではフォーミング、という言葉はあまり聞いたことがありません(私が無知なだけかもしれませんが)。しかし、このフォーミングが動き作りにはとても重要だと最近実感するようになりました。
そして『基礎ランナー』はできあがった
以上のような経緯で周りの方からフォームがきれい、と言われるような『基礎ランナー』ができあがりました。ドリル練習をする以前(=交通事故以前)から一緒に練習していた先輩から、「フォームがきれいになった」と言われたときには嬉しかったですね。
とはいえ、まだまだ発展途上。
実際に走っていると、自分の思い描く理想のフォームからずれている事を感じるときも多々あります。そのときはまたドリルに戻ります。きっと、この繰り返しなんでしょうね。
「進化は続く」と信じてやり続けます。
P.S. この動き作りが今のルグローの始まりなんです。
だから、ルグローの練習会はドリルを重視したものが多いのです。