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Fuoco Infernale / LINARI

フォーコインフェルナーレ。
和名、煉獄の情景。この世とあの世の狭間はどんな匂いがするのだろうと興味を持った。

肌に吹き付けた瞬間は燃え上がるような鮮やかなカーネーションとグリーン、そしてバーチやラブダナムなどが燃える木々を連想させる。微かな苦味と煙。
徐々に肌に馴染むと、オリバナムやトンカ、アイリスの柔らかい甘みがじんわりと顔を出す。いわゆる寺系の部類ではあるが、ナッツのような芳ばしさが珍しい。
公式のノートから引用させてもらうと、

Top:カーネーション、マートル、ワイルドマジョラム、ブローアブソリュート、ラブダナムエッセンス、シナモン、ウォームウッド
Middle:アイリスアイロン、トンカアブソリュート、オリバナム
Last:レザーノート、ムスク、アンバー、シダーウッドアトラス、ガージュンオイル

樹脂を主体にウッドにレザー、かなり渋めな印象かと予想していたが、いい意味で裏切られた。
ミドルは苦味よりほろ甘く柔らかく、やはり少し苦く煙たい、これがメインの香りではあると思う。
が、ここからラストに向けてかなりふんわりと繊細に、とても優しい印象に変化していく。
まるで炎が全て燃やし尽くした後の熱のようなムスクの温もりに包まれる、切ないほどに柔らかい。

もし手に取る機会があれば、香りの変化に注目して鼻を澄まして見て欲しい。
あらゆる物語を連想させるような、非常に奥行きがある香り。

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