衰退期に入った乃木坂46。運営の打った起死回生の一手に賛否両論が噴出。
2月20日の深夜に放送された「乃木坂工事中」の中で29枚目シングルの選抜とフォーメーションが発表された。
ファンは固唾を飲んで発表を見守ったが、肝心のセンターについては「5期生」とだけ報告し、誰が務めるかは21日から放送される「乃木坂46時間TV」の中で明らかにするとのこと。
今回は一連の流れとアイドル界の潮流について見ていきたい。
主力が抜けて衰退期に入った乃木坂46
まず前提としてあるのは乃木坂は衰退期に入ったという点だ。
CDの売上が4割以上も減ったのはコロナ禍で握手ができないという事情が大きい。ただ、それ以上に衰退を感じさせるのはファンの熱の無さとグループに「顔」となるメンバーが少なくなったことが深刻だ。
ファンの熱が無くなった理由は非常にシンプルで、前述の握手会が無くなったことと、トップをひた走る乃木坂に危機感を与えるようなライバルグループが居ないことに尽きる。
分かりやすい例で例えると、戦国の世が終わって安定期に入った徳川幕府の中期と言ったところだろう。奇しくも、地盤を築き上げた先人たちが居なくなったという点も似ている。
グループの「顔」というものは非常に得難いもので、各グループに1~2人生まれれば良い方だ。筆者が見るところ、AKB48と乃木坂に3人、欅坂とモーニング娘。に1人ずつ居る。
AKB48:前田敦子・大島優子・指原莉乃
乃木坂46:白石麻衣・西野七瀬・齋藤飛鳥
欅 坂46:平手友梨奈
モーニング:後藤真希
指原と後藤以外の全員が1期生という点については、偶然というよりも必然なのかもしれない。ある意味で「顔」となるメンバーを得ることができたグループだけが名を遺しているという見方もできるだろう。
乃木坂以外のグループは全ての顔が居なくなってしまい、現在は昔の栄華を偲びつつ細々と活動を続けている。つまり、顔となるメンバーの卒業は短期的よりも長期的な影響の方が大きいと言わざるを得ない。
結局のところ、一般の人に「乃木坂のメンバーで顔と名前が一致する人いますか?」と聞いて出てくるのは白石や西野、齋藤の名前が大半で、それ以外のメンバーが出て来ることは多くないだろう。
顔が居なくなる危機感、そしてグループとファンの間に蔓延するマンネリ感を打破するために打った手が今回の「センター・5期生案」だろう。これは2013年11月に発売された7作目のシングル【バレッタ】での堀未央奈以来の抜擢人事となる。
ただ、堀の起用は更なる飛躍を目指したいという意図が伺えるが、今回の5期生案からは焦りと混乱が見て取れる。さらに、ネット上で噂されているセンター候補の過去も賛否に拍車をかけている。
言ってみれば今回の5期生案は再び上昇気流に乗せるための「起死回生」の劇薬の意味合いが強い。実際、SNSを中心に良くも悪くも今までに無いほどの激論や発信が行われている。
今回の抜擢が乃木坂にとって吉と出るか凶と出るかは分からないが、澱んでいた池に大きな波紋を起こしたこと、そして追う背中が無くなった乃木坂とファンに新たな熱を抱かせたことは間違いないだろう。
(敬称略)