異色のゾンビ映画「バタリアン」はやっぱり凄い!衝撃的なエンディングで使われた長距離砲は実在した?
近年でもゾンビ映画の人気は衰え知らずだが、やはり子供時代に見た「バタリアン」を超える作品には出会えていない。もちろん思い出補正もあるのだろうが、やはりバタリアンは不朽のB級映画だ。
最初に簡単な登場人物の紹介
バート:ユニーダ医療会社の社長
フランク:ユニーダ医療会社の古参従業員
フレディー:ユニーダ医療会社の見習い従業員
アニー:葬儀社 (復活の家) の経営者でバートの親友
タールマン:ユニーダ医療会社にあるタンクに閉じ込められたゾンビ。体は半ば溶けているが、歯がやたらと白い。ゾンビは歯が命だ。
オバンバ:老女タイプのゾンビ。ほぼ骨だがモヒカンの男を引き吊り出す腕力を誇る。バタリアン2に登場するオバンバとは無関係。
グローバー大佐:アメリカ軍のバタリアン担当将校。助けを求めたバートたちに核砲撃を食らわせる鬼のような男で、バタリアンよりもよっぽど恐ろしい生き物。好物はラムシチューでサンディエゴ在住。
当時の子供たちはトラウマになった
バタリアンがアメリカで制作されたのは1985年のことで、日本で公開されたのは翌年の1986年。当時は「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」など"ロメロ的ゾンビ"が主流で、バタリアンはコメディー的立ち位置と言える。
公開時の扱いからもB級作品感がプンプンしていたが、日本テレビの「金曜ロードショー」で放送されてからは一気に知名度が上昇。派生して"オバタリアン"という新語が生まれるほど世間に浸透した。
以降は深夜映画枠など地上波でもたびたび放映されて楽しまれたが、自分を含めて当時の子供たちはバタリアンの内容、そしてOPの音楽に恐怖した。テーマ曲は今でもYoutubeなどで再生され続けている名作である。
30代半ばから40代の男性であれば一度は聞いた事がある伴奏で、見たことがある人ならば当時を思い出すであろう楽曲。音楽自体もカッコイイ出来栄えではあるが、やはりこの曲とバタリアンは切っても切れない物だ。
ロメロ作品で描かれたゾンビはゆっくりとした動きをすることが多いが、バタリアンのゾンビは全力疾走で車にも追い付く速さを誇る。この滅茶苦茶な設定をしている時点でバタリアンがB級であることが見て取れる。
また、バタリアンのゾンビは銃で撃っても倒れることが無く、知能も高いので無線を使って人を呼び寄せるなど困った連中だ。基本的に切り刻むか燃やすしか対処法は無いが、燃やした煙で死者が生き返るという始末である。
生け捕られた老女のゾンビ「オバンバ」によれば、生きている人間の脳みそを食べることで痛みが少し和らぐらしい。生き返ってからは体が朽ちて行く苦痛と闘っているらしく、その点に関しては何とも気の毒ではある。
オバンバ女史の「生きている人間」というのが非常に重要な要素で、最初の地下タンクから出てきたタールマンがフランクとフレディーを襲わなかったのは、彼らがすでに生ける屍だったからに他ならない。
エンディングで核砲撃した大砲は実在する?
バタリアンのエンディングはタールマンが閉じ込められていたタンクに書いてあった番号にバートが電話をし、報告を受けた陸軍が事前に用意していた作戦「核砲弾による焼却」を実行して一応の終結を見る。
今から思えば核で砲撃なんて馬鹿馬鹿しい気もするが、あの長距離砲は実際に「M65 280mmカノン砲」として配備されたことがあり、1953年5月25日には実際に核砲弾を発射する試験を行っている。
実際の射程は約30kmだが、作中では134マイル (約215km) とデータ入力しているので「M65」をモデルとした架空の兵器の可能性が高い。ただ、命令とは言え、自国に核砲撃をするジェファーソンは恐るべき存在だ。
なお、作中内の日時は1984年7月3日と設定されているが、肝心の「M65」は1963年に退役をしている。その点からしても、作品に登場した長距離砲は架空の兵器と断言して良いだろう。
バタリアン1と2以降はまったくの別物
バタリアンは全部で「5」まで作られているが、初代と2作目以降はまったくの別物と言える内容になっている。単語や用語の繋がりこそあるものの、ハッキリ言って面白くないので見ることはお勧めしない。
ただ、2作目はコメディー作品として、3作目は恋愛&シリアス系として評価できる点も少なからずあるが、初代と同じような感覚で見ると非常にガッカリした気持ちになり、再び初代を見ることになるだろう。
バタリアン2はYoutubeでレンタル対応されているが初代はされていない。この理由はよく分からないが、内容や版権が影響しているのかも知れない。対応してもらえればありがたいが、実現する可能性は低そうだ。
ゾンビ映画界に一石を投じたバタリアンが生まれて36年。未だにバタリアンを超える作品に出会ってはいないが、今の時代ではB級作品らしいチープさや馬鹿馬鹿しさ、大雑把な感じを作り出すのは難しいだろう。
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