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noranekopochi
【超短編小説】お直し魔
そこの方、助けてください!
私は今、とんでもない悪魔に襲われて【い】ます。アイツです、「お直し魔」というヤツです!
ほら、見ましたか?今の。
彼はいらない表現とか足りない文字とかをすぐに【正しく】直しちゃう【す】んです。それはもう恐ろしい悪魔ですよ。
正直もういい加減にして欲しいです。
だって、書いて【い】るそばから直されたら
らちがあかないじゃないですか。
「この表現はムダ」【だ】とか、
「『してる』じゃなくて『している』」とか、
本当はどうでもいい事【こと】じゃないですか?
だってここはツイッターのように140字とかいう制限があるわけじゃないし、そもそも私は小説家じゃないので好き【なように】書いたらいいんです。
なのに執筆してるときにも頭【の中】にずっと囁いてくる。誰に言われたわけでもないのにですよ。
一体どうしたらいいんでしょうか…。
ーなに?
悪魔への不満を素早く書き込んでみろ?
そうすればアイツ【悪魔】はついて来れない…なるほど。
わかり【分かり】ました、やってみます。
アホ【馬鹿】らしい。お前は、グズグズに【凝り】固まった考えしかできないのか。趣味で書いてる自分のための文章をお前自身で縛ってどうするんだ。思いついたことを思いついたままに書くんだ。それが一番に決まってるだろ。
どうでしょう。ここまで来れば悪魔もついて来れないでしょうかね。
…あ!もう自由に書けるかも。良かった、本当にありがとうございます。通りすがりだけど貴方に聞いてよかった。
いやあ本当に助かった、なにかお礼をさせていただけないですか。
ーそうだ、私の小説が本になったときには【ら】、絶対貴方にもプレゼントしますからね。
追記 自戒を込めて
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