「恋愛」とはなにか【おもし論文】
一度は考えたことがあるのではないでしょうか。
「好きってなんだろう」
「付き合うって何だろう」
「なぜ自分は女性を好きになるのだろう」
「なぜ自分は男性を好きになるのだろう」
深く考えれば考えるほど、わからなくなっていきますよね。
そこで今回ご紹介する論文は、
「恋愛のイメージと好意理由に及ぼす異性関係と性別の影響」
(著:金政裕司、谷口淳一、石盛真徳)
です。
この研究では、「恋愛とは何か」「最も身近な異性への好意の理由」について、178名に自由記述のアンケートを実施しています。
近頃はLGBTといった恋愛対象の多様化も浸透していますが、今回は異性を対象とした恋愛について焦点を当てています。
女性は恋愛を成長の場、男性は複雑や苦悩と考えている
自由記述を分析し、「恋愛のイメージ」では15カテゴリー、「好意理由」では9カテゴリーに分類されました。
「恋愛のイメージ」に関するカテゴリーのひとつ「相互的」を見てみると、
『成長』は女性で使用頻度が高く、
『複雑・苦悩』では男性の方が使用頻度が高くみられました。
ただし、男性は「相互的」な関係で『複雑・苦悩』をより強く感じる一方、女性は「相互的でない」関係において『複雑・苦悩』をより強く感じるようです。
女性は内面、男性は外見を重要視する
「恋愛のイメージ」における『付加価値』『活力&パワー・支え』『相手を思うこと』で女性の方が有意に高く、
「好意理由」においても『やさしさ・思いやり』『人柄の良さ(やさしさを除く)』は女性の方が重要視していることがわかりました。
「好意理由」における『外見的魅力』では、男性の方が重要視していることが示されています。
そこから相互的な関係を築いた後では、『外見的魅力』からほかの要因に好意理由が移り変わっていくのではないかと考察されています。
やさしくおもしろい男性がモテる?
「やさしさ」や「思いやり」と聞くと、女性のやわらかい印象を抱きますが、女性の男性に対する好意理由として「やさしさ・思いやり」が挙げられやすくなっています。
そして、それは関係性が「安定的」になるにつれて「信頼性」や「自分への誠実性」といったものへ派生していくということが述べられています。
また、関係性が「変動的」な時期において、女性が『楽しさ・おもしろさ」を多く記述していました。
このことから、まだ関係が固まり切っていないような状態において、楽しさやおもしろさといった要素を男性は期待されていると考えられています。
「恋愛」とはなにか
結果から述べると、『人それぞれ』です。
男女の違い、自分が今好きな人との関係性の段階などによって多くのカテゴリーに分けられるほど意見が多くありました。
また、恋愛経験によっても「恋愛のイメージ」や「好意理由」は影響を受けると考えられています。
上に述べた事柄も、すべての人に当てはまるものではなく、あくまで統計上のものです。
恋愛が多様化するなか、このような研究も常に最新の研究を進めていく必要があると筆者は考えます。
ちなみにこの論文は2001年に発表されたものですので、恋愛の多様性ついてはいまよりもまだ世に浸透していなかったと考えられます。
日々移り変わっていく人間の考え方や感性について、様々な研究が行われていますので、楽しみに拝見していきたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
参考文献
「恋愛のイメージと好意理由に及ぼす異性関係と性別の影響」
(著:金政裕司、谷口淳一、石盛真徳)
https://ir.library.osaka-u.ac.jp/repo/ouka/all/11688/jjisp01_147.pdf