<あな病19>精神発達:善悪の認識と二極化思考の治し方
前回の記事では、対象関係論の中で「分裂ポジション」という言葉を紹介しました。今回は、分裂ポジションがどのように心の成長に影響を与えるのかを詳しく解説していきます。
分裂ポジションでは、子どもは自分や他者を善悪に分けて考えます(前ブログ参照)
この過程で無事愛情を受け、適切に発育すると、子どもは善悪の違いを認識し始め、現実の人間が善悪の要素を持っていることを理解し始めます。
分裂ポジションが進み終わると、子どもは自分や他者を理想化したり、非難したりすることが減ってきます。これは、子どもが善悪を統合し、他者をより総合的に捉える能力が発達するためです。
この現象が起こるのは、他者の精神を吸収して精神形成をするためです。つまりうまく親と子がやり取りできると、親の接し方のスタイルや生き方が子供の精神に吸収され統合されます。こうして「都合」を理解できるようになります。大人になっても二極化思考をやってしまう場合は、それに対処するのではなくここをケアすると解決します。
しかし、分裂ポジションに囚われたまま大人になると、自分や他者を極端に良いか悪いかで評価し続けてしまいます。これは、ストレスや自己否定、人間関係の問題に繋がることがあります。
そこで重要なのが、「抑うつポジション」への移行です。抑うつポジションでは、善悪を統合(親の精神を吸収する)し、他者をより総合的に捉えることができる成熟した心の状態を指します。
分裂ポジションから抑うつポジションへ移行することで、自分や他者を柔軟に捉え、寛容な心で接することができるようになります。
次回は、分裂ポジションがメンタルヘルスに与える影響と、それを克服するための方法を詳しく解説していきます。お楽しみに!
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