頑張れ小室君
小室君のチャレンジが終わった。試験後には絶望した様子の写真まで撮られるというフルボッコ状態である。私の知る限り2月の試験後、ウキウキの表情を浮かべていた受験者はほぼいない。3度目の正直で合格した私からすると、2回目で絶望した表情を浮かべたのは小室君だけではなかったはずだ。私が受験したカリフォルニア州の司法試験(2012年2月、2013年7月、2015年2月)では、2回目の得点は1回目よりかなり低かった。やはり一回落ちると自信が無くなるし、私の場合はそもそもモチベーションもかなり下がっていたので(カリフォルニア州の弁護士資格を得たところで米国で働ける可能性はかなり低い)惰性で受けた感は否めない。結果的に、自分の得意分野が多く論述試験で出題されたにも関わらず論述試験の点数はかなり低かった。
そもそも小室君は何故LLM (Master of Law)プログラムに入学したのだろう。小室君の経歴を確認する限り、法学とは無縁の世界で生きてきたようだ。法学部出身者でもなく、法学研究科やロースクール出身者でもない小室君がLLM に入学できた経緯は不明だが、絶対にJ.D. (Juris Doctorate)プログラムに入学すべきであった。そもそもLLMとは、海外で法曹資格を有する者が米国の法律を勉強しようとする際に入学するプログラムである。したがって、法律の基礎は殆どカバーされない。ところが、米国司法試験では法律の基礎から出題されることが多いので1年目の授業が非常に重要になる。私はロースクール2年生2学期から日本に留学し、妊娠したためそのまま日本にある米国ロースクールの分校で卒業単位と論文を仕上げ、実習のみ出産後に米国ロースクールに戻ったのだが、特に問題はなかった。やはり最初の1年をLLMで学んだことにより、法的センスを養う期間がなかったのではないだろうか。
小室君のNYバーに関して見解を述べているコメンテイターの多くは、旧司法試験時代に(合格率1〜3%)合格し、エリート街道まっしぐらだった人たちである。4大弁護士事務所所属の弁護士でさえLLM(Master of Law)プログラムを修了後、全ての弁護士が米国司法試験に合格しているわけではない。小室君が優れている英語力を考慮しても、なかなかハードルの高い試験ではある。ただし、不可能な試験ではない。私が受験したCalifornia Barの会場では、受験が5回以上を超えている日本人受験者に結構遭遇した。つまり、諦めなければいつかは受かる試験ではある。