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20代 米国で失敗してよかった

私の20代は失敗の連続だった。
最初の失敗は、歴史学科を専攻したことである。私は小学校の頃から歴史が大好きで、将来は歴史学者になりたいと思っていた。米国の場合、専攻を決めるのは入学後であったため私は2回生の時に軍事歴史を専攻することにした。20歳の頃、私は就職や将来などを考えず、ひたすら好きな学問に没頭した。卒業時期とリーマンショックが重なり、自分の学問を活かせる場所は極めて限定されていることに気づいた。歴史学科の場合、(1)大学院(博士課程)へ進学し研究者となる、(2)中学校・高校の教育となる、(3)別の分野でキャリアを仕切り直す、の3つの選択であった。当時、私の母校でも歴史学科において非常勤講師の求人があったのだか、年に数コマのポジションに100名近くもの応募が殺到したのをみて、研究者として生活するのは厳しそうだなあと感じた。そもそも子供が嫌いだったので、教職は考えておらず必要な単位も取得していなかった。消去法で、最も生き残る可能性が高い文系の職種として考えたのが弁護士になることである。

米国で弁護士になるためには、(1)Law Schoolを卒業し、(2)就労を希望する州にて司法試験(Bar Exam)を受験し、(3)登録手続きを行うというプロセスなのだが、私はLaw Schoolを受験するために何の準備もしていなかった。Law Schoolを受験するためには、LSAT(Law School Admission Testロースクール入学共通試験)を受ける必要があるのだがこのLSATで私は過去最低点(145点)を出してしまった。

金にならない勉強をしたこと、入学共通試験で沈没したこと、この二つの失敗が私の20代を最高に楽しいものにした。まず、好奇心から勉学を追求できる期間は限られている。仮に研究者となった場合でも、研究費を得るには社会のニーズに応えた成果が求められるであろう。社会人となった後の勉強は、キャリアアップの為に行われることが多い。最近は実務に役立つ勉強を優先する傾向にあるが、若い頃こそ思考能力の基礎となる教養を吸収するべきだと考える。


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