米国司法試験は、簡単なのか?!

眞子さまの婚約者である小室さんが、受験したことによって急に知名度が上がった米国司法試験(Bar Examination)であるが、そもそも日本でも法曹資格を持たない人が米国のロースクールで3年間勉強することによって受かる=簡単だというイメージが浸透しつつあるように思う。最近では、「小室さんと同じ試験受けたんやろ?難しいん?」とよく聞かれる。

厳密にいうと、米国では州によって司法試験の内容が異なるため私が受験したCalifornia State Bar Examinationと小室さんが受験したNew York State Bar Examinationは論文試験内容などが異なる。私は、California州が三日間の試験を実施していた頃に受験したので(2015年)、今年の7月に小室さんが受験したNew York Bar Examinationの内容とはかなり異なる。説明しようとすると30分くらいかかりそうなので、大抵の人には、「うーん、同じような試験かな(*1日は全州共通のMBE試験がある)。いや〜私はアホやし難しかったわ。・・・」と当たり障りのない返答をする。

そもそも米国司法試験の合格率はかなり高いが、論述の内容が日本の司法試験とはかなり異なるため、難易度を比較することが難しい。また、英語のハードルというよりはEssay Writingのスキルがある程度ないと、1時間以内に答弁を構成することは難しいので日本で教育を受けてきた人にとっては難しい。私の知り合いでも、日本の法曹資格を持ち尚且つ米国の法曹資格を持っている人たちの多くはエリート中のエリートである。彼らの多くは、日本的な受験方法(つまり過去10年分くらいの試験のパターンをマスターし、試験問題を分析し答えのパターンを再現できるくらい勉強・演習を繰り返す)で乗り切っているらしい。

では、なぜアホな私や小室さん(受かりそう?)が合格できる試験かというと、中学校・高校の期間に海外の教育カリキュラムで学び論理的思想を構築するトレーニングを行ってきたからである。小室さんは、中学校〜高校をインターナショナルスクールで過ごし、ICUへ進学された。その結果、英語力というよりは英語で文章を書く、英語で論理的に文章を構成できる能力が既に備わった状態で米国のロースクールへ進学されたように思う。米国の司法試験の場合、IRACを制覇することが重要だと言われいる。I=Issue (法的な問題)R=Rule (該当する法律・判例)A=Analysis(法的な分析)C=Conclusion (結論)という構成で、実はA(法的な分析)のところの配点が一番高い。そして、分析する際にはできるだけ仮説を多く含めると高得点に繋がりやすいと言われている。ちなみに間違っても減点されないので、とにかく量を書くように言われる。さらに言うと、採点者が理解できれば問題ないので文法ミスや綴りミスに対する減点はない。

*カリフォルニア州司法試験では、不合格になると試験が返却される。私は、Constitutional Law Essay (憲法問題)でPublic concern(公的な懸念)と書くことろをPubic concern (陰部の懸念)とタイプミスしてしまったが論述点数(65点)への影響はなかった。

そもそも、日本で教育を受けると(1)失敗しないこと、(2)正しい文法や綴りで文章を書くこと(3)正しい情報を正確に伝えること、などに重点を置き教育されるので米国の司法試験で問われる能力とは真逆である。米国の司法試験では、クリエイティブな能力も必要だと言われている。私も該当する法律や判例が思い浮かばなかった時には、この判例をこのように解釈すると・・・、もしこのような法律があったのであれば・・・など自分でルールを作って解答した問題もある。基礎学力を重視する日本では、なかなか難しいことである。

もう一つの目安は、海外の大学院へ進学する際に必要なTOEFLiBTのWriting スコアである。私はこのWritingスコアは満点(30点)を取っているが、このセクションで28点以上を取れる人は米国司法試験も法的な知識を吸収すれば合格するのでは・・・と思う。

結論から言うと、英語で論理的に文章を書ける能力を身につけており、3年間米国のロースクールで学べば、そこまで難しい試験ではない気がする・・・私は、ロースクールを出産で休学し、出産後に復学、そして卒業してから数年間フララフラと人生を彷徨った後に3回目で合格したので、寄り道をせずに卒業後すぐに勉強し受験することが大切な気がする。

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