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英国レシピの"Self-Raising Flour"ってなんなの?

イギリスのお菓子レシピで息をするように使われる材料。
それが"Self-Raising Flour(セルフライジングフラワー)"。

ホントに超頻発単語として出てくる割に、日本で暮らしていると見たことも聞いたこともない材料名に最初は戸惑うこと間違いなしです。

セルフライジングフラワーってどこで買えるの?
普通のスーパーで売ってるの?
それとも製菓材料店なら売ってる??

――と、ひと通り粉類の棚を探してみても、それらしきものはなし。あるのはよく見る薄力粉や強力粉の類だけ。

どこにあるんだ、セルフライジングフラワー!!


……と、いうことで、謎の粉・セルフライジングフラワーの正体について考えたり、なるべく近しくなるような代用方法を探ったりしました。


そもそもセルフライジングフラワーってなに?

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Self-Raising Flour(セルフライジングフラワー)は、イギリスやオーストラリアでは一般的な粉類です。

意味を直訳すると、「自分で勝手に膨らんでくれる粉」
その名の通り、この小麦粉を使えばベーキングパウダーを入れなくても勝手に膨らんでくれるってわけです。
その秘密は、セルフライジングフラワーには通常の小麦粉の他に「膨張剤」が入っているから。

そして、残念ながら日本の一般スーパーでは取り扱いがありません…。
専門店に行ったとしても、よくて輸入品が置いてあるかどうか、といった感じでぶっちゃけかなりのレアアイテムです。排出率0.2%のガチャみたいなもんです。

通常の丸型で焼くようなケーキやトレイベイク、カップケーキやパウンドケーキなどの高さを出したいお菓子には、大抵このセルフライジングフラワーが使われていることが多いようです。

ただ厄介なことに、薄力粉でも強力粉でもないため、そのまま他の粉に置き換えしようとすると、おそらく生地が膨らまなかったりべちゃっとしたりするはずです。

うへぇ……。売ってないのになんて仕打ち……。


日本に売ってない……なら代用法は?

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セルフライジングフラワーには膨張剤が入っています。
つまり、日本で代用するときには追加で膨張剤を加えてあげればいいということ。

私の敬愛するGBBOのお菓子作り入門本いわく、セルフライジングフラワーがない場合には以下の分量で粉類を合わせれば代用が利くようです。

If you only have plain flour, you can turn it into self-raising flour by mixing in baking powder (you will need 4 teaspoons for 230g of flour).
――GREAT BRITISH BAKE OFF: LEARN TO BAKE: 80 EASY RECIPES FOR ALL THE FAMILY

【小麦粉230gに対して、ベーキングパウダーを小さじ4加える】

これでセルフライジングフラワーに近しい配合の膨張率が得られます。
上記の小麦粉部分をより忠実に読むのであれば「中力粉」で代用するのがベストでしょうが、薄力粉であってもそう大きな問題にはならないでしょう。
あるいは、薄力粉+強力粉を1:1で230gにしてもいいと思います。

他にもインターネット上や文献上では、
【薄力粉100gに対して、ベーキングパウダーを小さじ1】
【小麦粉1カップに、ベーキングパウダーを小さじ1と1/2+塩ひとつまみ】
など、さまざまな代用法が提案されています。
好みの分量を探りながら作ってみるのも面白いのではないでしょうか。


代用セルフライジングフラワーで本場の味は出る?

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「代用方法はわかったけど、じゃあこれで本場の味がそのまま出せるようになるの?」ってところなんですが……

個人的には、残念ながら本場のセルフライジングフラワーを使ったときそのものの味になる!って感じじゃないです。
あくまで膨張率を合わせた代用品って感じ。

レシピを作るうえでは何の問題もないけど、英国で売ってるセルフライジングフラワーをそのまま使ったときとはなーーんか味が違う……って感じる人が多いんじゃないかなあ。
いや、ぶっちゃけその場で食べ比べてみないとわからないくらいの差だとは思うんですが。

そもそも、日本とイギリスで扱われている小麦粉の品種やら挽き方やらも全然違うんで、そのまんまのものができるわけがないよね~という感じ。
シチリア産レモンと広島県産レモンじゃ、そりゃ味も違うよね~。でもレモンはレモンだから何の問題もないよね~ってなわけです。

私としては別に本場の100%コピーを作りたいわけじゃないので、代用品でじゅうぶん満足です。ぜーんぜん無問題!

逆に、本場のセルフライジングフラワーには他に何が入ってるんだ……そっちのが気になってきた……。


結論:ベーキングパウダーを混ぜよう

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セルフライジングフラワーがないときは、小麦粉とベーキングパウダーを混ぜて使用しましょう。

輸入専門店から買ってもいいとは思いますが、まあコスト的にもちょっと看過できないくらい上がりますし、その割に大きな変化も得られないと思うので、身近なもので代用できるに越したことはないと思います。

……あ!
ただし「あらかじめベーキングパウダーを混ぜておいた粉を保存しておく」のはオススメしません!というかやめたほうがいいです!!

ベーキングパウダーは空気中の水分(つまり湿気)と触れ合うと、その瞬間から科学反応が起きてみるみるうちに劣化します。すると、せっかく膨らませるために入れてるベーキングパウダーが、いざというときにまったく反応しなくて悲惨なことになる可能性があります。

小麦粉にベーキングパウダーを混ぜるときは、使う直前に混ぜるようにしてくださいね!

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