精神科の薬を服用することは「悪」ではない

こんにちは、抑うつ状態4年生の、ROMIです。

よく、こんな言葉を耳にします。

「精神科の薬は危険だ。」

「依存性が高い。」

「心療内科の医師が金儲けをするために処方している。」


心療内科で処方される薬に対する目線は、今でもまだまだ偏見と憶測に満ちています。

内科で出される薬はほぼすべての人がためらいなく服用するのにもかかわらず、心療内科の薬はなぜ「危険視」されるのでしょうか。

今回は、抑うつ症状4年目の筆者が、心療内科の薬に対する見解を、個人の体験談を交えてお話していきます。


※この記事は筆者の個人の見解を含みます。さまざまな意見がある中のひとつとしてお読みいただければ幸いです。




薬を飲みながら勤務していた双極性障害のAさん


筆者の職場には、かつて双極性障害2型と診断されていたAさんという上司がいました。Aさんは現在は寛解しており、薬を服用しながら支障なく業務をこなしていました。


Aさんは自身が双極性障害に苦しんだこともあり、体調のすぐれない職員を見かけるとすぐに声掛けをする、心優しい上司でした。

私の病気のこともよく理解していただき、当事者ならではのアドバイスをくれたり、もしもの時のために上の人に掛け合ってくれたりと、理解のある尊敬できる上司でした。


双極性障害は、寛解はすれど再発率も高く、簡単には治らない病気です。

一度寛解しても、もしもの時のために薬を持ち歩くというのはうつ病患者にとっめは当たり前のこと。


しかし、そんなAさんを巡って、私は精神疾患についての厳しい目線を思い知ることになります。


きっかけは、同僚のBさんがAさんが置き忘れた薬を休憩室で発見してしまったことから始まります。

Bさんはいつものように私と雑談していました。Bさんは明るく快活で仕事もできる、頼れる同僚。そんなBさんの顔がその日はなぜか曇っていました。


「実はね…Aさんが休憩室出た後に、テーブルの上に薬見つけたの。調べたら、精神疾患系で…」

Bさんは怪訝な顔をしてぽつりぽつりと話し始めました。

私はAさんの双極性障害のことは聞いていたので、「そうなんだ、置き忘れたのかな」と適当に返しました。


すると、ずっと怪訝な顔をしていたBさんが、大きくため息をついてこう放ったのです。


「でも、アレ(精神疾患系の薬)って中毒性あるんでしょ?あんなん薬物中毒と一緒やん。私無理。」


一瞬思考が止まりました。なんて返すのが正解なのか、自分が今どんな気持ちなのか、私はマスクの下で呆然としてしまいました。

だって、薬は私もこっそり服用していたから。

「ヤクチュウ」と一緒だなんて、考えたこともなかったからです。


たしかに、精神疾患の薬は急に量を増やしたり急に服用を中断してしまうと離脱症状が出ます。

薬に頼りながら、何年もうつ病と戦っている人もいます。


ヤクチュウ…薬中…

それでもやはり、その言葉はあんまりなのでは無いかと私は感じてしまいました。

「うーん、そういうものなの?私よく知らなくて」

角が立たないよう、こう返すので精一杯でしたが、やはり自分も似たような薬を服用している以上、モヤモヤせずにはいられませんでした。


薬については、どの病気においても必ず「反対派」が存在します。


コロナワクチンは危険、抗がん剤は危険、そして抗うつ薬は危険。


私は科学者ではないので、これらの考えが間違っていると証明することはできません。

ただ、うつ病を経験した当事者として一つ思うこと、それは、「薬を使ったとしても、生きているならいいじゃないか」ということです。


抗うつ薬は、飲み始めてすぐに効くものではありません。ただ、私は抗うつ薬を服用して数週間、「あれ、前より少し気持ちが楽だ」と感じる瞬間がありました。

上司のAさんも、もしかすると薬は半永久的に持っていないといけないかもしれない。それでも、薬の処方で辛い時期を乗り越え、今他の人と変わらぬ業務をしっかりこなしています。


みなさんは、薬についてどう思いますか?



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