山登りと手仕事と人生
先週は色々と予想外の事件が多発して心穏やかではなく、物思いに耽る時間が長かった。そんな中で気付いた物事の本質とか、人間の心理とか、人生の真理について書き留めておこうと思う。
ある意味当たり前の話だけれど、何事も一番最初に始めるときはゴールが遠い。でも前進し続ければいずれはゴールにたどり着く。私が好きな山登りと手仕事を例に考えてみた。
山頂を目指す山登りはスタート地点からだとゴールがはるか遠くに感じられる。でも一歩一歩、前に進み続ければ着実に山頂は近づき、いずれはゴールにたどり着く。特別なことは何もいらない。飛んだり跳ねたりしなくてもただ歩き続けるだけで目的の地に行き着く。
手仕事も同じだ。何かを作るとき、最初は元となる材料しかない。最終的な完成品を思い浮かべてひとつずつ作業を進めていく。糸を通したり紐を結んだり、地道な作業をコツコツと続けていく。そうすると少しずつ形ができあがり、根気強く諦めずに手を動かし続ければいつの間にか思い描いていた作品ができあがる。小さいことの積み重ねが大事なのだ。近道はない。
人生も同じだ。一歩ずつ前に進み続ければいずれどこかへたどり着く。面倒でもやる気がなくても進み続けるしかない。気が乗らないときは目の前にあるやるべきことをとりあえずこなすだけでもいいと思う。どんなにゆっくりでもとにかく歩を進めるしかないのだ。
ただ、ひとつ難しいのは、山登りや手仕事と違って人生ははっきりとした目的地が見えづらいことだ。人生で成し遂げたいことがはっきりとわかっている人もいるかもしれない。そういう人には当てはまらない話だけれど、少なくとも私はどこへ向かいたいのかよくわからない。生まれてからこの歳になるまでずっと霧の中をさまよっている。
明確な目標があると人は頑張れると思う。でも逆に目標が見えないと途端に前進するのが難しくなる。だから私は山登りや手仕事は喜んでやるけれど、人生は前に進むのがときに辛くなる。先週はすべてを投げ出して諦めたい気分になった。前に進もうとしているのに押し戻されたり、突然次のステップが消滅したり。そういうことが続くとそもそもの目的地を見失ってしまったりする。でもまあ、そういう時もあるよね。それが人生、と思って少し休憩したらまた歩を進めよう。