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写真を飾るということを改めて考えてみました
あれはもう何年も前のこと。
私はキッズフォト専門のフォトスタジオに勤めていました。
キッズフォトということで、スタジオにやってくるのは生まれる前(マタニティフォト)から七五三くらいの子どもが居るご家族。
だから写真撮影の理由として多いのは「子どもの誕生日」や「子どもの七五三」という子どものライフイベントが中心でした。
そんなある日、思春期真っ只中の男の子が居るご家族がやってきました。
子ども写真あるあるだと思うのですが、幼い頃はカメラに向かって無邪気な笑顔を見せてくれていた子どもも、成長していくにしたがって「写真に写るのが恥ずかしい」「写真に写りたくない!」とカメラを向けると変顔をするようになったり、カメラを避けるようになったりすることがよくあります。
そうかな?と思う方はご自身の幼い頃の写真を思い浮かべてみてください。
幼少期の写真はたくさんあったのに途中から写真が少なくなって、学生時代は卒アルの写真しかないと心当たりがある方も多いはずです。
そんな写真がちょっと恥ずかしくなる時期が成長の過程のどこかにあります。
思春期の男の子といえばカメラが恥ずかしくなる時期の代表みたいなお年頃です。
だから、その年齢の子ども(子どもだけど、大人と子どもの間のような)が撮影に来てくれたということがまず新鮮だったし、どんな写真が残せるかなとわくわくした気持ちで私も撮影に臨んだことを覚えています。
撮影しながら話をしているうちに「毎年、パパとママの結婚記念日に家族写真を撮影している」ということがわかりました。
そう、その日はパパとママの結婚記念日だったのです。
子どもが家族写真の撮影というイベントの中心になることが多いなか、パパとママにスポットライトが当たっている家族写真。
カメラマンとして日々、たくさんのご家族に出会っていましたが居そうで居なかった家族写真の理由に新鮮さを感じると共に素敵な理由だなと思いました。
思春期真っ只中の彼が終始ニコニコで写真に写ってくれて居たのも、自分が写るということよりもパパとママの記念日をお祝いしている感覚だったのかもしれません。
とっても素敵だなと思ったので、その後「結婚記念日に家族写真いいですよ!」「そんな家族写真の理由、素敵ですよね!」と、他のお客様にも何度も提案したくらいです。
そんなほくほくした気持ちになる撮影から月日が流れ、私は独立してフリーのカメラマンになりました。そして、その数年後には結婚もしました。
独身の時に比べ、結婚すると写真撮影が急に身近になるもので、結婚1年目には前撮りを、そして結婚2年目には結婚式でプロカメラマンに写真を撮影してもらいました。
「プロカメラマンって自分の前撮りどうするの?」なんてよく聞かれていましたが、プロだって自分の節目はプロに依頼します。
そして迎えた結婚3年目。子どもが居る家族であれば、それこそ子どもを中心に家族写真を撮るのかもしれませんが、夫婦2人なので写真を撮るきっかけというきっかけもありません。
そんなときに思い出したのが、結婚記念日に家族写真を撮っていたご家族。
何か特別なライフイベントがあるわけではないけど、ただただ夫婦2人のこの時間を第3者に撮影してもらうのも良い記念かも。そう思って結婚3年目もプロのカメラマンにお願いして夫婦2人の写真を撮影してもらいました。
せっかく撮影してもらったからには、何か手に取って見れる形にしたいと思うのは私がカメラマンだからなのでしょうか。
スマホやパソコンの画面で写真を楽しむということももちろん良いのですが、1冊のフォトアルバムに写真をまとめて開くたびに撮影当時の空気に包まれてみたり、インテリアのように写真を飾ってふと眺めたりしたくなるものです。
写真を撮るときは悲しいタイミングではなく、ハッピーなタイミングに撮影することが多いので、そんな撮影時の良い思い出が写真には直結しているからかもしれません。
ハッピーな時間を写真というコレクションにして両手いっぱい抱きしめたいような、ハッピーな時間に埋れたいような。私にとって写真を手に取れる形にするってそういう状態に近い気がします。
ただ前撮りや結婚式、今回の夫婦での写真など、全てを家に飾るのは自分自分すぎて気持ち悪い。
主張しすぎず、おしゃれに家族の思い出を飾っていくにはどうしたらいいんだろうと写真が増えるたびに思うようになりました。
いろんな人のインテリアが見れるサイトで写真をおしゃれに飾っている人を探してみたり。
インテリアのプロには写真を飾る基準があるのかどうか見解を調べてみたり。
こうして写真を飾ること、形に残すことと向き合うようになりました。
昨年はRomeのオンラインサークルで写真を飾ること、形にすることについて発信してきましたが2022年はまたサークルとは違った形で「飾る」と「形にする」を提案していきたいと思っています!
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