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note創作大賞 恋愛部門応募作。『50代からの生き方、恋愛についてのあれこれ』その6。高校時代の彼氏との再会。一番多感な時期を一緒に過ごした相手との再会。

 お久しぶりです。覚えていますか?佐藤です、佐藤孝太です。
 胸が激しくドキドキしていた。
 すぐに承認した。この機会を逃さずに、同窓会こないの。と入れた。
 同窓会とか苦手で。
 あの頃から団体行動が苦手やったもんね。と入れ、返事を待たずに、というか、頭よりも心が先に反応し、久しぶりに会いたかったな。と入れてしまった。入れてしまってから、なんてことをと思ったけれど、入れてしまったものは仕方ない。実際に会いたいのだ。孝太も私に会いたいと思っていてほしい。そう願った。
 次の返事までだいぶ時間があった。もう、返事はないのかなと思った。やはり、久しぶりに会いたいはまずかったかと思った。でも、友達同士でもこの会話はするレベルの会話だと思い返した。変なことは言っていない。
 そして、かなり間が空いてから、僕も会いたい。と来た。私は飛び上がりそうになった。嬉しい。孝太も私を何十年たっても忘れていない。
 私が返事を返すよりも早く、
 でもなぁ。と短い文章が来た。私は、
 二次会からでも参加すればいいのに。自分にお前は必死か、とツッコミを入れたくなった。
 二次会誰が来るやろ。
 誰やといいの。
 喜多川さんに決まってるやん。今は朝井さんか。
 やった。どんな表情で今、これを打ち込んだんだろう。孝太もまだ私を忘れていない。
 私だけ!!それ二次会じゃないやん(笑)と冗談っぽく入れた。
 まあ、他のメンツにも会いたいけど、一番はやっぱり、喜多川さんに会いたいな。とずっと思ってた。
 このLINEを見て、もう、遠慮は止めることにした。
 私もずっと会いたいと思っていた。
 でも、これだけやとあまりにも直接すぎると思って、
 同窓会おいでよ。と追加した。
 朝井さんは人気者やから喜ばれるけど、俺は、違うから。私は、更に一歩踏み込んで、
 そんなことないよ。おいでよ。私も孝太に会いたい。と高校時代の呼び名で打ち込んだ。またしばらく間が空いた。
 じゃ、頑張って行こうかな。僕も雪乃に会いたいし、でも、仕事が終わるの遅いからやっぱり二次会からになるかもしれへんけど。
 雪乃。高校生のときのように名前で呼ばれるだけで胸が疼く。
 それでも、おいでよ。会いたい。
 ありがとう、時間が分かれば連絡する。LINEは終わった。
 ドキドキが止まらない。孝太と会える。二次会で再会する以上の気持ちがお互いにあったとLINEを読み返して思った。

 同窓会

 同窓会当日。
 やはり同窓会には来ていない。
「孝太来てないね」と悦子が言った。
「うん、二次会には参加するって言ってたけど」
「会いたい」と悦子が聞いてきた。
「そりゃ会いたいよ」
「二次会で会えば二人で抜ける気」
「さあ、わからない。向こう次第かな」
「雪乃はもう、その気やん」と笑われた。
「でも、ちゃんと帰るんよ」と釘を刺された。
「わかってるよ。家庭は大事にするよ」スマホを見た。孝太からのLINEは入っていない。ヤキモキする。
 一次会に孝太は来ない。よし、飲もう。久しぶりに会うのに素面では緊張しすぎる。少し酔わないと。来ないのは逆に都合良かった。私は普段よりも早いピッチで呑んだ。あまりにもピッチが早すぎるので
「酔っぱらってせっかくの再会が台無しになるで」と、言われたけど、いくら呑んでも酔わなかったので更にピッチが上がってしまった。
 久しぶりに会う同級生も居たのに、ひたすら飲むだけで一次会が終わってしまった。
「二次会は駅前でカラオケです。参加する人はこっちに集まって」と飯山君がみんなをまとめていた。その時今から向かうとLINEが入った。悦子に後でカラオケ行くからと言い置いて、孝太に、カラオケの場所の連絡をした。仕事終わりにそのまま車で行きます。私は場所を説明し、駅前の商業施設が共同で運営している駐車場があるので場所を教え、迎えに行って上げる。と入れた。いいよ。場所わかるからと返事が来たけど、カラオケにいきなり一人では入れないでしょ。と入れると、確かに久しぶりの人たちばかりやから入りにくいね。と返事が来て、私は迎えに行くことになった。二次会の前に二人の時間が少しだけどある。初体験前のようにドキドキしていた。
 車か、二次会の後、どうなるのだろう。誘われたら二人でどこかへ行ってしまうのかな。この今の想いは期待なのだろうか、それとも不安なのだろうか。それとも自意識過剰なのだろうか。普段から飲むと遅くなるので、夫には、遅くなるのはいいけど、あまり酔っ払わないでね。とだけ言われた。
「なにボーとしてるん。孝太から連絡が来たの」と悦子に言われた。
「もうすぐ着くみたい。仕事終わりでそのまま車で来るから駐車場まで迎えに行ってくる」悦子は笑いながら、
「やっぱり緊張する?三十年以上やもんね再会は。頑張って」と送り出してくれた。スマホを見ると、駐車場に着きました。三階に止めます。屋上だから外に出ると少し寒そう。と連絡が入っていた。私は荷物一つだけ小さいハンドバックを持って小走りで孝太のもとに向かった。


#創作大賞2024 #恋愛小説部門

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