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トンガ海底火山噴火によって予定が狂った私の1日

1月16日未明に突然スマホが鳴り響いた。

眠り眼をこすり画面を凝視すると『トンガ大規模海底火山噴火による津波警報』とある。

トンガ??どこだっけ?

私の家は海から離れたチベットにあるために特に気にすることなく眠りについた。

翌朝。

それはすでに地球規模で危機的状況に発展していた。なんとも凄まじい噴火だ。

テレビに映し出された日本地図に黄色や赤のラインが添ってる画面はあの東日本大震災の忌々しい記憶を甦らせる。

食い入るようにテレビを見つめていると親父殿がなにやら荷物を持って身支度をしている。

「ちょっくらプール行ってくっからや!」

って何がちょっくらだ。今にも津波が押し寄せて来るかとピリついているのにプールとは呑気な。下手すりゃ地域全体がプールになってしまうかもしれないのだ。

そういえば東日本大震災の時も津波が押し寄せてくるというのに沿岸部にある墓を見てくると原付バイクで出かけていったことを思い出した。運良く津波はそこまで到達しなかったが寺の住職も袈裟を置いて逃げ出しているというのに墓を見に行くとは檀家の鑑である。

親父殿に今何が起きているのか説明をすると不服な面持ちで電話を取り出す。

「やってっかどうか電話するからよ!」

営業しているわけはない。プールは沿岸部にあり、東日本大震災でも津波が到達した場所だ。

電話を切ると

「やってねがったや…」と落胆していた。当然である。

沿岸部の店は軒並み休業状態だ。

我が家は津波の影響は無いが、家には飯がない。親父殿が一人食べる分しかなかった。

豊かな田園の中にある早朝から営業しているラーメン屋に行くかと出向くと駐車場はすでに満車状態だ。普段から混雑している人気店だがその日は有り得ないの混雑具合だ。

10分ほど待ったが駐車場の車は動く気配がない上に次々と他の客がやって来るので諦めた。

なぁに、昼にまとめて食べればよいよいと気楽に構え片道40分の道のりを腹を減らしたまま帰る。

途中立ち寄ったコンビニで買ったラーメン(1000円)雑誌を眺めながら一緒にご飯も買えばよかったのではないかと後悔しつつ昼まで待つ。

もう空腹の限界だ。

ピークをずらしてカレー屋に向かう。片道1時間の道のりだが混んではいないだろう。いつも暇をもて余しているようだったからな。

二台しかない激狭駐車場は満車だったので近くの1kmくらい離れているコインパーキングにとめてひたすら歩いた。

お店に到着し店の扉を開けると中にはギュウギュウと人が詰まっていた。こりゃダメだと思ったが一応メニュー表を持たされ外で待つことに。

まるでカーネル・サンダースのように店の前に立ち待つが一向に席が空く気配がない。

さすがに寒くて限界だったのでお店に断りを入れて片道1時間の帰路についた。

ここまで何も食べてはいない。

普通にコンビニで何か買って食べればいいのだが生来頑固な性格で損をしている。

自分がこうと決めたら貫き通す性分で人生の大切なものをたくさん失ってきた。

日曜日はコンビニの飯を食わないと心に決めているのだ。

結局その日は何も食べずに布団の中へと入り、ただ無駄にガソリンを撒き散らしたことを後悔した。

そういう日もあるさと自分をなだめたが眠りにつく一瞬頭に浮かんだ言葉は

『なんて日だ』であった。

願わくばトンガの人々が1日も早く平穏な日々を取り戻せますように…。


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