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『7人の聖勇士の物語』第20章スコットランドの勇士、聖アンドルーの死

こんにちは。
いつもお読みくださりどうもありがとうございます。

久しぶりにラーメンが食べたくなったので、神座さんに行ってきました。
私の定番の「おいしいラーメン」を注文しました。待っている間にもお店のあちらこちらから麵をおいしそうにすする音が聞こえてきて、期待感が高まります。自分が「おいしい」と思っているものを待つ時間は、待ち遠しくもあり、もっと待ちたくもあり、心楽しいものですね。

麵は中細のストレートタイプで、スープは澄んだ黄金色、歯ごたえを残しつつも柔らかく煮た白菜がたくさん入っています。食後は胃もたれもせず、「おいしかった!」という爽やかな満足感がずっと残ります。

時々食べたくなる大好きなラーメンです。住んでいる地域にはお店がないので、食べたくなったらわざわざ出かけて行かねばならないのですが、その「特別感」がまた良いのです。

『7人の聖勇士の物語』の続きです。
勇敢な聖勇士たちも年老い、最期の時を迎えます。今回はスコットランドの聖アンドルーの死の物語です。

『7人の聖勇士の物語』
第20章 聖アンドルーの死

7人の勇士中、聖ジョージと聖アンドルーが最後の二人となりました。両者は互いに武芸の偉業で競い合っておりました。

生涯の仕事を大方なしとげたと思われるとき、故郷に戻って広々としたヒースの生い茂る丘の空気の香りを今一度かぎ、峨々たる高地に登り、豊饒なる谷間を歩き回りたいと欲しないスコットランド人がいるでしょうか。帰郷への欲求がスコットランドの勇士の心を強くつかみました。しかし、彼は槍と剣を手放しませんでした。年老いてはいましたが、まだ武具に身をつつみ、軍馬にまたがり、忠実なマードックに付き従われて、毎日北に向かって休まず旅を続けました。

真の騎士はかくあるべきです。勇敢な聖アンドルーがよく知っていたように、人生とは最初から終りまで闘いなのですから。死が戦士をこの世から召し出す弔鐘を鳴らすときまで、武具も槍も剣も脇に置かれるべきではないのです。

聖アンドルーと忠実なマードックは旅の途上、数多くの冒険に出会いました。老騎士と忠実な従者がスコットランドの美しい海岸にたどり着くまでに、何人もの巨人が殺され、多くの不幸な人々が屈従から解放され、多くの地域から野獣が追い払われました。

彼らの偉業の評判は彼らが到着するより前に先立って広まりましたので、スコットランドの貴族全員と大勢の群衆が彼らを称賛するために集まりました。年老いた聖アンドルーにとって誇らしい一日でした。彼は着古した武具を身に着けて馬に乗り、エジンバラの通りを進んでいきました。傍らではマードック・マッカルパンが彼の槍を運び、聖アンドルーを賛美して歌う歓喜した人々の叫び声が彼の耳に響きました。

「聖アンドルー万歳!聖アンドルー万歳!その名が知られる所ではどこででも、我々スコットランド人は、我らが聖アンドルーと、彼がなしとげた勇敢な偉業を、そして彼が勝ち取った名声と栄誉とを誇りにするでしょう!」
至る所から彼の耳に聞こえてきたのはこのような叫び声でした。

聖アンドルーの名誉を称えて盛大な馬上槍試合が開催されました。年老いた騎士は審判の座につきました。彼の心はこの機会に武具を身に着けたいと強く思いましたが、賢明にも試合場を駆け回ることは慎みました。

このすぐ後、武芸の勲しはもはや自分には似つかわしくないことを確信しますと、聖アンドルーは故郷の人々に重要な知識を教えようと心に決めました。それは彼が異国を旅しているときに得たものでした。この新たな仕事の準備をするため、彼は山腹高くに建てた庵に隠遁しました。しかし、ほどなくすると、知識を得て、賢者から教えを受けたいと望む志の高い若者たちが皆、彼を訪ねてそこへ通うようになりました。こうして、時が経つうちに、この粗末な小屋は学識と敬虔で名高い場所となりました。

そこで、人々の幸福と役に立つことにいそしみながら、何年もの間、年老いた戦士は衰えゆく日々を過ごしました。

しかし、ああ!いかなる徳、いかなる敬虔が人を敵や誹謗者の罠から救うことができるでしょうか。年老いた聖人は、魔術やその他の悪事のかどで告発され、数人の厳格な裁判官の前に連れて行かれました。裁判官たちは直ちに彼に死刑を宣告しました。しかし、彼の首が切り落とされるやいなや、彼の無罪が明らかにされました。彼を記念して教会が建立され、以後ずっと聖アンドルーは、故国が誇るべき勇士として、何ものも恐れず非難も受けぬ騎士として、スコットランド人の称賛を込めた記憶の中にとどめられています。

それにしても、世の中とはこうしたものなのですね。

短いですが、今回はここまでです。
お読みくださり、ありがとうございました。

次回をどうぞお楽しみに!


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