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『7人の聖勇士の物語』第13章(2) 聖ジョージが魔術師オズモンドを成敗し、異教徒の軍勢を打ち負かすお話。

こんにちは。
いつもお読みくださりありがとうございます。

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「ちいかわ」グッズにつられて、私も一度飲んでみようかなと思っています。

『7人の聖勇士の物語』の続きです。

『7人の聖勇士の物語』
第13章 聖ジョージ、魔術師オズモンドを殺す(2)

キリスト教軍と異教軍との間で行われた血なまぐさい戦闘の様子を全て物語ることは時間が許しませんし、残酷な魔術師オズモンドがキリスト教軍を罠にかけようと死力を尽くした魔術のことや、彼がどのようにして土、空気、火、水から悪霊の軍勢を召集したか、その上、いかにしてすさまじい大嵐を起こしたかについても同様です。その嵐は、樫の巨木を根こぎにし、家や寺院の屋根を飛ばし、人馬もろとも空中高く持ち上げては地面に叩きつけ、粉々に砕いたのです。

嵐が荒れ狂っている間、異教徒たちはキリスト教軍に燃える剣を携えて攻め込み、馬のたてがみに火をつけ、馬具を燃やし、軍旗を焼き払いました。しかし、聖ジョージと6人の勇士たちに率いられたキリスト教軍はひるまず立ち向かい、ついに異教徒軍は屈服し、戦場から撤退を余儀なくされました。

しかし、魔術師の魔術はまだ終っていませんでした。彼は巧みな魔術で魔法の天幕を建てました。その内部は大きな国のようで、庭や畑、果樹園、宮殿などがありました。彼は配下の悪霊のうち6体に6人の美しい王女の姿をとらせ、馬上槍試合に出場する6人の勇敢な騎士たちを捜して国中を旅しているふりをさせました。偽物の王家の姫君たちは、聖ジョージの仲間の6人の勇士たちを巧みな策略によって説き伏せ、魔法の天幕へと連れて行きました。「そこでは勇士たちに敬意を表して王侯にふさわしい宴席が用意されています。」と彼女たちは言葉巧みに言いました。

6人の勇士たちは悪巧みがあろうとはつゆ疑わずに出発しました。しかし、日一日と過ぎていきましたが彼らは帰ってきませんでした。次第に兵士たちは、指揮官不在のまま置き去りになっていることに不満を訴えはじめました。この件を調査した聖ジョージは、これは魔術師オズモンドの何か巧妙な企みかもしれないと賢明にも考えました。

奴隷の例の巨人オークスに問いただすと、思った通りであることがわかりました。6人の騎士たちは魔法の天幕の中に捕われていたのでした。聖ジョージは兵士たちに事の真相を話しました。すると、皆は、大きな叫び声を上げて、どこへでも聖ジョージに従うことを誓いました。

兵士たちは気高い勇士である聖ジョージを信頼していましたので、魔術師の呪文も炎を吐く獰猛な竜も、不気味な閃光も彼らは恐れませんでした。また、魔法の天幕への行軍中、燃える剣で武装した恐ろしい怪物の一群に取り囲まれたときも、彼らはひるみませんでした。

もっと危険だったのは、彼らが魔法の天幕を包囲した時に耳に響いてきた甘美な音楽の調べと目に入ったうっとりするような光景でした。しかし、聖ジョージは騎士道の誉れを思い出し、剣で天幕に激しく切りつけて粉々に切り刻みました。すると、残酷な魔術師オズモンドが鉄の岩の上に腰掛けて、彼の意に従うおぞましい悪霊どもを血の滴で養っている様子があらわに見えました。

聖ジョージと兵士たちは魔術師に向かって猛然と突進しました。ふいを襲って捕まえると、枯れた樫の木へと連れて行き、その根元に鎖で縛り付けました。オズモンドは魔術によっても、かつて意のままに働かせていた悪霊によっても、自身を解き放つことはできませんでした。

そして、聖ジョージは囚われの6人の騎士たちを解放しました。すると美しい王女たちは元の6体のおぞましい悪霊の姿に変わり、かん高く叫んだりシューシュー言いながら空中を飛んで逃げていきました。

魔術師はあらゆる魔術と企みが無駄になったと叫びながら、自分で自分の両目をつかみ出し、舌を二つに噛みちぎりました。その舌で実に何度も呪いを発したからです。また、銀の杖を握って多くの害悪を引き起した両手を切断し、最後には自らの内臓を喰らって自分の命を終りにしました。このように死ぬことで後の世の魔術師たちに対する戒めとなったのです。

この冒険が首尾よく完了したので、キリスト教軍はエジプトとペルシャに向かって進軍しました。これら古の帝国の転覆が成し遂げられるまで、勇士たちは二度と剣を鞘におさめたり武具の留め金をはずしたりすることはありませんでした。

これが成し遂げられると彼らは休戦し、キリスト教圏へと凱旋行進を行いました。その途上、彼らの勝利と英雄的偉業を記念する壮麗な記念碑を数多く建立しました。また、行進が通過した全ての国々では無数の異教徒の群が集まってきました。彼らは聖ジョージに従ってキリスト教圏へと行きたいと願っていました。彼らは異教の神々を捨てることを公言しました。異教の神々の礼拝者たちは流血と残虐行為を主要な喜びとしていたからです。彼らの願いに聖ジョージはすぐさま同意し、望みを叶えただけでなく、王者らしい表情で笑顔を見せ、彼らを礼遇しました。

再び勇敢な勇士、聖ジョージは忠実なド・フィスティカフとともにイングランドへと帰りました。今回は他の6人の勇士たちに同行するよう招きました。

イングランドでは、彼らへの敬意を示して豪華な祝祭行事が行われました。その様子や、彼らが再び各々の冒険へと出立するまでそこで過ごした楽しい時を、ペンによって十分に描写することなどとてもできないでしょう。

ところで、語るのも悲しいことですが、サブラ王女は病気になって亡くなってしまいました。悲しみと苦悩のなか、聖ジョージは彼女の思い出のために立派な墓碑を彼女のお墓の上に建立しました。それから、3人の年若い息子たちを抱きしめた後、彼は再び旅立っていきました。

※異教軍をキリスト教軍が撃退する、というテーマは、歴史上の十字軍を想起させますが、お読みいただいている『7人の聖勇士の物語』の原典である『キリスト教国の7人の勇士たち』が書かれた16世紀頃も人気のあるテーマでした。キリスト教軍が大勝し、異教徒たちがキリスト教への改宗を望む、という結末が多いのも特徴です。

今回はここまでです。
お読みくださり、ありがとうございました。

次回をどうぞお楽しみに!


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