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『7人の聖勇士の物語』第17章 フランスの勇士、聖デニスの死

こんにちは。
いつもお読みくださりありがとうございます。

おかげさまで帯状疱疹の後遺症も出ず、元気に年の瀬を迎えています。
あれもこれもとやるべきことはたくさんありますが、無理せずに、できる範囲でやればいいかな、と思っています。

今日は午前中にピアノの調律をしていただきました。
この頃はピアノを弾く機会もあまりなくなってしまいましたが、年1回の調律を済ませてきれいな音が出るようになったので、来年は時にはピアノを楽しめるような、余裕のある暮らしができればいいな、と思います。

『7人の聖勇士の物語』はもうすぐお終いです。
豪腕を振るった騎士たちが一人一人年老いて死んでいくのは寂しいですが、なんとか最後まで訳し終えたいと思っています。

ここまでお読みくださり、どうもありがとうございました。
来年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
どうぞ良いお年をお迎えくださいますように。

※ピアノの写真はフォトギャラリーからお借りしました。
 ありがとうございました。

『7人の聖勇士の物語』の続きです。
勇敢な聖勇士たちも年老い、最期の時を迎えます。今回はフランスの聖デニスの死の物語です。

『7人の聖勇士の物語』
第17章 聖デニスの死

フランスの聖デニスも、仲間の勇士たちと同じく、長らくの遍歴の後、美し国フランスの晴れやかな野原をもう一度見たいと強く望みました。そこで彼も、忠実なル・クラポウに付き従われて、故国を目指しました。時は彼にも霜のように白い足跡を残し、雪のような髪とたなびく髭は人生の冬が遂に彼を捕えたことを十分に物語っていました。

まだ武具を身に着けておりましたが、縮んでしまった体は中で武具にぶつかってガタガタと音を立てることも多く、凍るような突風が武具の隙間から入ると、彼の体にまとわりつきますので、お年を召した紳士によくあるように、肘掛け椅子や部屋着、室内履きが欲しいと思わされることもしばしばでした。老齢の紳士というものは、我が身を引きずりながら一族の若い世代のための不確かな利益や楽しみを探して世界中をまわるかわりに、暖炉のそばにいらっしゃるほうがずっと賢明というものです。

旅の道中、聖デニスは故国に伝えれば人々の利益となりそうなことを怠ることなく数多く見出してきました。彼は人々に葡萄の栽培のしかたや舗道のつくり方を教えました。もっとも舗道のほうはなかなか満足いくものはできませんでしたが。とはいえ、数多くの巧みな技術や製造方法を彼は遠い東の国から伝えました。しかし、今はそれらについて語る時間はありません。

彼が故郷の人々に教えたなかで最も役立ったのは、料理という重要な技術でした。フリカッセやラグーは彼の伝えた方法によって完璧の域に達したのです。さらに、彼は蛙や蝸牛の下処理の方法を教えましたが、この技術は彼の時代の以前には全く知られていなかったのです。フランス人が料理法の中でも重要なこの技術を知らなかった時代があったなどと誰が想像できたでしょうか。百戦錬磨の英雄聖デニスが忠実なル・クラポウの手伝いを得ながら蛙を捕まえて料理して食べたときまで、フランス人は蛙が食べ物として用いられようとは知らず、思いもよらぬことでした。

しかし、人々の恩知らずぶり、群衆の移り気ときたら。偉大な聖デニスはかくも長きにわたって戦い、実に多くの異国の地でフランスの名を高めてきたのに、ある裏切り者の騎士によって異端と大逆、そして人々の間に邪悪で誤った慣習を広めたかどで告発されたのです。

彼は年をとり、もう長い間武具を脇に置いて身に着けてはいませんでしたが、若い頃の気力が内心燃え上がり、悪意ある告発者に決闘を挑みました。

勇士と不正な騎士は相まみえました。しかし、後者は、邪悪な魔術師の魔法の護符に守られて闘いに臨みましたので、聖デニスのいかなる技も勇気も彼を倒すことができませんでした。

何度も何度も年老いた勇士は、若者のような敏捷さと勇気で突撃しました。鉄の面覆いをつけてあの重い槍を振るっているのが80回近くもの冬を見てきた白髪頭の老人であるなどと、誰も思わなかったことでしょう。今一度突撃したとき、槍は砕け、彼はなすすべなく地面に転落しました。

勝ち誇る残酷な敵の企みは邪悪そのものでした。聖デニスは死を宣告されました。救援は来ませんでした。彼は、武具をまだ着けたまま、断頭台へと連れて行かれました。勇敢な面持ちで彼は頭を横たえました。ところが、残酷な処刑人の斧が彼の首めがけて振り下ろされるや、突然、猛烈な大風が吹き付けました。首切り役、裏切り者の騎士、そして喜んで処刑を手伝っていた全ての者が地面にたたきつけられ、恐ろしい稲妻の閃きによって黒い灰の塊となりました。そして、人々は公正と正義は勇者の側にあったのだとわかり、それが真実であると認めたのでした。

その後、聖デニスを記念して記念碑が建てられ、教会が建立されました。そして、彼は以後ずっとフランスと全フランス人の守護聖人として尊崇されたのです。

今回はここまでです。
お読みくださり、ありがとうございました。

次回をどうぞお楽しみに!


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