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『7人の聖勇士の物語』第19章イタリアの勇士、聖アンソニーの死

こんにちは。
いつもお読みくださりどうもありがとうございます。

京都での仕事帰り、河原町三条のBALに寄りました。地下1,2階にある丸善に行くためです。ランチ時を少し過ぎていたからかもしれませんが、丸善の店内はそれほどでもなく、静かに本を探すことができました。

この書店にはゆっくり腰掛けて試し読みができる椅子が幾つも備えられていますが、嬉しいのは椅子だけではなく机もあるので、気になる本を何冊も机の上に積み上げたり、ページを開いたりして、どれにしようか選んでいるお客さんもありました。

私は買いたい本がすんなり見つかったので、地下2階のカフェに行き、以前から食べてみたかった梶井基次郎の『檸檬』で名高い「檸檬ケーキ」と紅茶を注文しました。

生クリームを少し絞り出した上に縦半分に切って実をくりぬいた檸檬の皮を置き、この皮を器にして檸檬ゼリー、その上に檸檬風味のスポンジケーキと、異なるお味と食感が楽しめます。檸檬の香りがとても爽やかで、食べ終わったあと先刻買った本を読みながら約1時間滞在しましたが、その間ずっと上の口蓋から鼻にかけて檸檬の香りが残っているように思えました。

店内には最初私一人だったのですが、その後4,5組お客さんがいらっしゃいました。遅めのランチなのか、有名なハヤシライスやカレーライスを注文する方が多かったです。お料理の良い匂いが食欲をそそりましたが、私は檸檬ケーキで大満足でした。でも、次回は多分ハヤシライスを頂くかも、と思いました。

『7人の聖勇士の物語』の続きです。
勇敢な聖勇士たちも年老い、最期の時を迎えます。今回はイタリアの聖アンソニーの死の物語です。

『7人の聖勇士の物語』
第19章 聖アンソニーの死

仲間の騎士たちが戦歴を終えたのとほぼ同じ頃、聖アンソニーと忠実な従者ニッコロも同様に、そして同じ理由から、故郷へと向かおうと心を決め、生まれ故郷のローマへと向かいました。

ローマはキリスト教の都市でしたが、その近隣地域にはまだ多くの異教徒がおりまして、キリスト教の寺院と元の異教の寺院を見分けるのが難しかったので、敬虔な聖アンソニーはたいへん苦労しました。このことは彼の心をとても悲しませました。聖職者たちと一緒にいるときですら、彼らがどちらの信仰に属しているのか必ずしも見分けることはできませんでした。聖職者たちは長々と熱弁をふるい、古の昔から続く由緒ある宗教的慣例を民衆が一番気に入りそうな形へと発展させることが彼らの切なる望みなのだ、と述べるのでした。

聖アンソニーは素朴な心持ちの人でしたので、こうしたこと全てにひどく困惑しました。そこで、古の都、世界の首都であるローマにおける複雑な状況を理解しようとむなしく努力した後に、彼はとある庵へと隠遁し、そこで余生を送り、二度と再びローマへは立ち入りませんでした。

こうして、聖性のかぐわしい香りのなか、彼は亡くなりました。老いてなおかくしゃくたる頃のことでした。

短いですが、今回はここまでです。
お読みくださり、ありがとうございました。

次回をどうぞお楽しみに!


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