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素人の入院

ことの始まり

頭痛だ肩凝りだ筋腫だと、やんわりと不調と付き合っているものの大きなイベントはなく生きてきました。
小さい頃どんぐり拾ったり動物の毛を吸ったりしてたお陰か、ベースは丈夫。
そんなわたしが初めて入院することになりました。
理由は大袈裟なものではなく、大腸ポリープの切除。
検査ついでに切れるサイズじゃなかったから大きい病院行ってね、という流れでした。
きっかけは健診です。健診だいじ。

平日を確保せよ

街のクリニックは土日診療しているところが多いので、そのつもりで予約しようとしたら大きい病院は土日祝休診。
もう一度言おう、大きい病院は土日祝休診。
言い換えると、平日しかやっていない。

こんな当たり前のことに呆然として、以前勤めていた会社でおじさん達が平日に病院行っていたのを思い出しました。
あれ本当だったのか。サボりだと思って悪かったな。
年齢を重ねると、意味不明だったおじさんの不調アピールがわかるようになりましたね。

今後初めて大きい病院にかかることがあれば、平日しかやってないぞということを思い出してください。

関わる職種の多さに目がまわる

これは本当に驚いたというか感心したことなのですが、関わる人が多い。
まず入院受付、こちらは窓口なのでわかる。
病室のあるフロアに行き、そこで受付と部屋への案内。
ナースエイドさんなのか、制服が違う方にベッド周りの説明を受ける。
しばし待つとまず薬剤師さんから普段飲んでる薬の確認。
その日の担当看護師さんから治療計画やら退院計画の書類を確認。
手術を行う医師との顔合わせ。船越英一郎に似てるなぁと思ったので、今はもう船越英一郎でしか思い出せない。
ちなみに最初の外来したときの先生はアルピーの平子さんに似ていた。
4人部屋にそれぞれ訪ねてくるお医者さんが全員男性だったので、がんばれニッポンを唱えました。
顔と名前だけでも覚えて帰ろうとしたものの、3人目くらいで諦めました。

システムすごい

2泊3日なので、
昼・夜・昼・夜・昼
を過ごしたのですが、担当の看護師さんがすべて違ったのです。
昼と夜それぞれ同じ人のつもりでいたら、毎回初めまして。
それで情報共有できるの…? 同じ方がラクじゃない? というのは小さい世界に生きてる人間の考えることで、患者情報は全てデータ登録されているようでした。
これがすごく羨ましくて。いつ誰が見ても同じ判断ができるってイイ。
担当が変わるのは、きっと患者とのトラブルを防ぐ目的があってのこと。
応対はいい感じにドライで、気ぃ遣いのわたしはとてもラクでした。
寄り添ってくれすぎると申し訳なくなったり、心が離れたりすると思うのです。
看護師さんはノートパソコンを乗せたカートと共にやってきて、その場で立ったままパチパチ入力してました。
サインもちっちゃいワコムで記入して、患者控えが必要ならプリントアウト。
いっそPDFでいいぜと思うけど、全員にできないのでここは紙にするのが適当。
デジタルとアナログの使い分けがうまくていいなー、それ真似したいなーとずっと観察してました。
システムっていうのはプログラムじゃなく、使い方含めてのものだと実感。

あっさり受け入れましたが、パソコンを不自由なく使えるのもすごい。
パソコン操作がメインの仕事ならわかるのですが、本業は人と接すること。
人と接することを生業とする人って、パソコンできないじゃないですか。
パソコン好きな人は、人と話したくないからそうしてるわけじゃないですか。
世界はこの二極だと思っていたので、両立できることが新発見でした。
おそらく決まった項目なので入力自体は難しくなさそうなのですが、通路で数分パチパチ操作しているのである程度は自分の意思で操作してるように見えました。
たくさん社員がいて、全員が間違いなく使うためにどんな工夫をしているのか大変興味が湧く。
なんというか、中小企業でパソコン覚えない人に、言い訳すんなって気持ちになりますね。

退屈との戦い

入院ってなんかちょいちょい呼ばれるから意外と忙しいんでしょ、と思ったらまぁ退屈でした。
検査は事前にひと通りしたし、持病もないからな…。
エッセイ1冊持っていったけど全然足りなくて。
読むのがものすごく遅いので十分だと思ったのですが、想像の20倍ヒマでした。
荷物が重くなるからとiPadを置いていったのが失敗。iPadさえあればわたしは最強になれるのに。

別階に売店があって、書籍の文字があったのでワーイと思ったら要はコンビニでした。
ほかには紙コップとか歯ブラシセット、サポーターなどそれらしい品揃え。
環境に合わせた商品が並ぶのを見て楽しみつつ、もう少し彩りがあればいいのにとも思いました。
こんなに退屈なら書店併設の病院があるのではと検索してみたところ、全然ない。
どうやらシンプルに売り上げが見込めないようです。
それでもなんかちょっとこう、補助金とか出して、脳みそを施設から外へ開放できる工夫があるといいのに。
面会者に買って来てもらえばいいんですけど、ベッドにいると全て受け身なので自分で行動できる場があると元気出ると思います。
本読まない人もいるので、ヴィレヴァンかドンキがあったら楽しくないですか。
何かの療養施設だったか、長期滞在の患者さんに植木の水やりを任せたら生き生きしたという話を聞いたことがあります。
人は全部やってもらうと心が死ぬんですよ。自分でなんかやりたいんですよ。

一番考えてたこと

48時間の滞在でずーっと考えていたのは退屈しのぎでも治療への不安でもなく、風呂でした。
お風呂に入りたい、髪を洗いたい。
シャワーは部屋にあるので距離が近いのはよかったのですが、音も気になるし快適とはいきません。
日常で風呂が面倒臭い人は意外と多いようですが、わたしは1日2回入ってもいいくらいしずかちゃんです。
プールも好きなので、水でぱしゃぱしゃするのが楽しいんですかね。
料理、掃除、洗濯など避けられない生活タスクのうちの一つが風呂。
それが得意という、人生に有利なカードが仇となりました。
術後の行動制限はないので、帰宅してすぐ風呂と洗濯。すっきり!

医療ありがたい

こんな呑気な記事を書けるくらい医療に恵まれて、いい時代に生きてるなって実感しました。
二十歳くらいのときは採血すら怖かったですが、相手はプロだと信頼できるようになってから平気になりました。
ちょっと嫌だなぁと感じることも、昔はもっとしんどかったんだろうと想像すると大抵のことは受け入れられる。
カメラない時代なら発見すらされずに変な葉っぱ食べたりしてたわけですよ。
あと嫌がると誰かしらに失礼になると思うのも大きいかもしれません。

これから大きな病気が控えてるかもしれず、大ごとになっても上手な患者になりたいなと思いました。
次は絶対iPadを連れていく。

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