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保険の不可思議

 保険料の原価は、単純にいうと「被害損失×発生率」できまる。定額型の保険(保険金・給付金が実損填補でなく定額で決まっているタイプ)の場合には「保険金・給付金×発生率」で決まる。
 この理屈から考えると、発生率が増加すると、保険料は増大する。ところが保険の中には、それまで保険事故の対象になっていなかったものを追加して(追加しているから発生率は増加)保障するようにしたが、保険料は変わりません、というものがある。
今回の感染症の生命保険業界の対応がそれである。 

 災害関係特約と感染症

 生命保険業界では災害関係特約について、今回の感染症は対象外だったが、ある時点(4月中旬あたり)から、対象の中に入れる措置をとっている(形としては各社個別対応、実態は業界全体という形態かと思う)。

 災害関係特約というのは、例えば災害死亡割増特約の場合、この特約が500万であれば、主契約の死亡保険金と追加して災害で死亡すると500万円が特約保険金として支払われる。

 今回の感染症は、急激かつ偶発的な外来の事故(つまり災害)として扱うようにしたので、仮にこれを要因に死亡した場合、上記のように災害死亡保険金の対象とするということのようである。
 災害関係特約の保険料は、「災害事故に関わる保険金×事故発生率」で決まる。したがって、本来、対象事故が増加すれば保険料が増大する。しかし、保険料はそのままで結構ですという話になっている。

保険会社が親切だから保険料が変わらないのか?

 これを保険会社の親切という情緒的な話として理解することはできないと思う。対象となる保険事故を追加しても保険料が変わらない要因は二つ考えられる。

 一つは、保険料を最初から高めにとっているため、少しくらい発生率が増大しても大丈夫ということが考えられる。

 もう一つは、今回の感染症の保険事故となる発生率が高くないということが考えられる。

おそらく実態は、両方のミックスということかと思う。
 当然だが保険会社も計算して(予測して)対応しているはずである。消費者である我々も冷静に理解したいものである。


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