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自由詩「春の日に僕は出会いと別れを知った」(改題、改訂)

    こんにちは。ローランです。
    今日は自由詩です。

    以前にTwitterで掲載したものを改題、改訂しました。

    ウッカリさんの私の子どもの頃の思い出です。あははと笑っていただければ、幸いです🤗


春の思い出

「春の日に僕は出会いと別れを知った」


君らと出会ったのは
春の晴れた日の午後
玄関の扉を開け
ランドセルを放り込む
庭に回り込み
東屋に置いてある
虫取り網とバケツを掴んで
走り出す
庭を駆けぬけ
隣の駐車場を越えた先に
その田んぼはあった
水を張った田んぼは
日の光が反射し
キラキラと輝いている
コンクリートの
水路の縁にしゃがみこみ
水面を見つめる
いた!
君らは透明の産着にくるまれた
まだ卵の姿だ
虫取り網でそうっとすくい
バケツに入れて連れ帰った
庭の東屋に並べたメダカや小魚の水槽
その隣に君らの水槽を置いた
それから毎日毎日
君らの成長を楽しみに
水を入れ替えたり
藻を入れたり
世話を続けた
君らはどんどん成長した
最初は小さなおたまじゃくし
後ろ足が出て
前足が出た
しっぽが徐々に短くなって
もうすぐ大人だねというある日
いつものように
ランドセルを玄関に放り込んで
東屋に向かう
今日はどんな姿になっているかな
楽しみにしていたのに
水槽を覗き込んでびっくり!
君らはいなくなっていた
なんでいないの?
うっかりしていた僕は
水槽に蓋をしていなかった
呆然のち寂しさ
あんなにお世話したのに
サヨナラも言わずに
出ていくなんて…
人生には
出会いもあれば
別れもあるんだな…
半べそをかきながら
みんな無事でね!と祈る
ガーデンシンクで
空の水槽を洗う
作業を終えたときには
なぜか清々しい気分になっていた
今もカエルの鳴き声を聞くと
君らを思い出す


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