【世界を見渡すバードアイ!】Beautiful Japan 吉田初三郎の世界/ 府中市美術館のコレクション展 府中市美術館
府中市美術館で開催中の吉田初三郎の展覧会へ。
この作家さんは、世田谷美術館で数年にわたり特集展示されていた「沿線物語」のチラシなどに使われていた絵の作者である。
今回は10歳になった次男と、初三郎の生きた時代にややかぶる80歳の母と3人で行ってきた。場所や地域、沿線によっては昔の駅名がわかるかもしれないので楽しめるかな、と。
次男はまだかすかに鉄オタ風味があるのと地理的なものが好きなのでだいぶ乗り気。
と、いうわけで路線図を基準に観光パンフレットなどを手掛けた作家の回顧展。
今まであまりこういうジャンルの展示は見たこともなく、良くぞこの時代まで残ってくれたな、と嬉しくなる。
実はわたくし、路線図というものも大好物で、路線図や地図帳などなどずーーーっと眺めていられた。高校生の頃持ってたあるメーカーの手帳裏に付属していた「関東近郊鉄道路線図」のデザインが大好きで、手帳を買い替えてもその路線図を切り離して貼り付けて愛用していた。頭の中でエア乗り換えしながら遠くへ行くのが好きだった。授業中に。
営団地下鉄(現東京メトロ)の路線図も好きすぎて染色の授業でモチーフにした。周りが美しい花柄に布を染め上げる中、線と◯の組み合わせの謎な布が出来上がった。染色の先生は、笑ってくれた。
数年後、手ぬぐいブームがきて路線図の手ぬぐいを見かけた時、あながちズレてなかったなと思ったものだ。
そして都営12号線と呼んでいた路線はいつの間にか都営大江戸線と呼ばれるようになっていた。
そこからそれは見えるか?
今回、展示室内撮影禁止のため、作品の写真はない。
作品を見て面白いのは、鳥瞰図なのだが、地図ではないので方角が決まっているわけではないところ。
必ずしも図の上が北を示すわけではない。
更に興味深いのは、かかれているシンボルが広範囲。
例えば九州の路線図を基本に書かれた鳥瞰図に遥か離れて見えるはずもない富士山が描かれていたりするのだ。
最初は面白いねと笑っていたけれど、見ていくうちにその「ありえないシンボル」が図の中で示されることで、どちら側から見た図なのかがわかるようになった。あ、なるほど、ここからこっちを見ているのか、ということがここが太平洋側で…などなど。
しかし遥かも遥か、「サンフランシスコ」と書かれていた図を見つけて次男は「いくらなんでも遠すぎる」と大笑いしていた。
京王線の旧駅名
私の祖母が京王沿線にくらしていた(大正期)縁で馴染み深い京王沿線図。
現在の駅名と違う駅が多く時代の流れを感じる。
母の頃(戦後すぐ)にはもう現在の駅名だったようなので割と早い段階での駅名変更だったのだろう。この旧駅名というのもグッと来るのだ。
他の路線も今よりカジュアルに駅名変更していたのだろうか?
駅をたどっていくだけでも楽しい路線図&鳥瞰図。すごろくみたいな世界だな、と思って展示室を出たら京王線すごろくが用意されていた。
次男、ご満悦である。
コレクション展
吉田初三郎のゆかりある鹿子木孟郎を前半で特集。
東京都現代美術館の常設展でもまだ鹿子木孟郎の関東大震災図が展示を続けている。
母に「あの絵の人」と話したがピンときていない様子。
震災図が社会科の資料集にスタメンになったのはカラー印刷が一般化した後の話か。だとしたら馴染みがないかもしれない。
意外と近代日本の絵画より、海外の絵に馴染みがあったりするから通ってきたラインによって人のスタンダードなんて簡単に変わるのだなぁと思う。
その括りで絵を飾るのか
展示室は何パターンかにテーマで括られている。
が、その括り今まで出会った事ないテーマがあって、3人で「えっ?えー?」となって右往左往し、ちょっと笑ってしまった。
なんというテーマかというと
「多摩霊園に埋葬されてる府中ゆかりの作家たち」
えー!お墓でまとめんのかい?新しいな!
まあ多摩霊園は府中市のかなりの範囲を占めているし…重要な地域だけども。
キャプションを読むと作者によっては丁寧にお墓の番地まで記されていた。
お墓カテゴリー爆誕である。
こうなったら埋葬地まとめとかできるかもしれない。うーん、お彼岸のシーズンの展示にいかがだろうか。
というわけで企画展としっかりコレクション展も楽しめる府中市美術館。
駅からは遠いので歩きやすい靴でどうぞ。