【蛙がデカい】特別展「やまと絵-受け継がれる王朝の美-」東京国立博物館
プロローグ
四大絵巻が揃う
今回の平成館の特別展ポスター、敢えてなのかわからないが、まず何が出ているのかぱっと見で分からなかった。
開幕後、ありがたいことにnoteでレビューを見る機会もあり調べると何やらとんでもない事が起きていた。
四大絵巻が全部揃う、という。おやおやこれはちょっとすごい。
と思ったら私より先に歴史好き長男が情報を仕入れてきた。
「教科書に載ってるアレもコレも全部見れる!行こうよ!」と。
(混むよねぇ…でも小学生は無料だし、本物見れるならねぇ…)
と思っていたら「奈良まで新幹線で見に行くより安い」という天の声が。
確かに「信貴山縁起絵巻」は奈良まで見に行こうかとも思うぐらい興味深かったのだ。そう言われたらもうチケット取るしか無いじゃないか。
というわけで「新幹線より安い」というワードに背中を押されポチリとな。
絵巻見学の作戦。
当たり前ですが、みんな見たい!と思うから人は集まる。
だから混む。でもそれだけ興味関心のある方がいるから展示も成り立つわけで。とはいえ、せっかくなのでどうにか見やすい状況で見たいというジレンマを作戦で解決させるべく。
日曜日の最終時間15時-16時入場(見学は17時まで)を予約。これが平日だったらもっと時間帯設定が楽だろう。小学生連れだとどうしても土日になってしまうのが難しい。
金、土曜日ならば夜間開館もしてるのでそれを見るのもよいかもしれない。
2022年の国宝展もその前2021年の鳥獣戯画展もそれで乗り越えてきた。しかし今回はそれができずなので日曜日に行くことに。(鳥獣戯画 甲巻が10月22日までの期間限定展示だった事も影響している。)
案の定、15時ごろの4大絵巻の部屋はすごい混雑だった。
なので、最終入館時間の16時以降、少しでも観覧者が減ったorこれ以上増えないタイミングで4大絵巻の部屋を見よう、という作戦。
第2展示室→第1展示室の順序で見学をした。
(一応事前に誘導スタッフの方へどの部屋から見てもよいか聞いて可能と確認済)
本当は章立て設定があり、「やまと絵とは何か」を順を追って見ながら理解を進めるのが趣旨なのでしょうが、もう今回はまず本物を見るということに注力してきた。
結果的にそれが功を奏し、4大絵巻を見始めた16時15分頃からかーなり観覧者が減り始め、空いた状態でスムーズに絵巻を堪能できた。
面白かった品々
重要文化財「福富草紙」
これは真面目に見ながら様子のおかしさに気が付き途中から文字通り「プークスクス」状態だった。
数ある放屁絵の中から、さらに重要文化財、なわけで。
こういう放屁物の作品見るたびに子どもたちから
「ドラえもんの『メロディいも』みたいだね!」
と言われるのである。
藤子不二雄氏の本歌取りだったのかそれともただの偶然か。
でも数ある下ネタのなかで「おなら」はちょっとだけ下品さが軽減されるという絶妙なネタよね。
と、思うとこの表現のキワ、ギリギリで攻める感じのセンスは嫌いではない。
そしてそれが重要文化財になるのだからこの世の中は面白いもんだ。なんせ王朝の美、ですからね。
国宝 信貴山縁起絵巻
終始とんちきな場面が描かれる絵巻。
何と言っても浮かび上がる倉の表現。
倉の下部分3分の1しか描かれずに場面が変わっていく様子がなんともユーモラスだ。好き。
托鉢のUFOっぽさがすごい。
よく人形劇やアニメで使われるUFO登場の効果音が頭の中で響く。(ひつじのショーンの宇宙人回で鳴ってるあの音…)
「キャベツUFO」という「みんなのうた」で昔流れていた楽曲も思い出した。
そして空飛ぶ倉だけでない、空飛び戻る米俵。
しゅぽぽぽぽぽぽーーと舞い戻ってくる米俵に女房だちも大喜びしている。よかったねー!
わかる。米、大事。我が家も毎月米騒動だよ。食べ盛りが2名いるとね、カレーライスとか手巻き寿司とか米を消費するメニュー怖くて作れないのよ。
だから米が空飛んできたら私もこの描かれた女房の様に小躍りすると思う。
国宝 鳥獣戯画 甲巻
数年前の鳥獣戯画展で一度見ていたのだが、私も子どもたちも今回の展示で抱いた感想は
「あれ?蛙、デカくね?」
だった。
なんか、最初に見た時より大きいのである。筆跡の伸びやかさもしっかり見れるし高山寺の割印もなんだか大きい。
こんなにダイナミック、迫力の作品だったか?と思ったが数年前は次男がまだ小さく展示ケースに届かなかったので抱きかかえて一緒に覗き込んで見ていたのだ。
そういう状況だったからかなぁと考えたが、長男が記憶していた当時の鳥獣戯画展の様子から今回我々が「でかい!」と思った理由が判明。
長男曰く、今回は「とにかく展示品が近い!絵巻に斜傾がつけられていてとっても見やすい!」とのこと。
おそらく数年前とは10センチほど身長も伸びている、という長男側の要素も加味されるが、鳥獣戯画展の時はもっとガラスケースとも距離があった、ということだ。
今回はガラスケースはあるものの、確かにかなり手前に展示がしてある。そして平面である絵巻がすこし起き上がっているがその角度がとても見やすかった。これは甲巻だけの展示だったから可能だったのかもしれない。
なんて言うか、自分が勉強中に教科書を読む範囲の距離感というのだろうか。そんな感覚。
この、目の前で見れる感が「かえる、デカい!」に繋がったのだろうと考えている。
いや、大変ありがたい展示形式だった。
お土産を選びたい
そんなこんなで堪能して閉館10分前。
長男は「もう一度見る」と巻き戻り、貸切で四大絵巻を見直して鼻息荒く5分前に出てきた。
グッズ売り場では目をつけていた、記念メダルと信貴山縁起絵巻のマスキングテープを購入。
今月のこづかい予算は東博で使い果たした様子。
他にも米俵クッションとかありましたね。
ここで17:00。
閉館のお時間でございます。
外にでたら10月の午後5時過ぎはもう暗く、本館はライトアップされていた。
帰り道は、福富草紙のおならの話で持ちきりだった。やっぱり皆んな好きなんだな。