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【秘密は魅力】重要文化財の秘密 東京国立近代美術館


2022年東博の国宝展に続き重要文化財オンリー展(美術工芸文脈)が東京国立近代美術館(東近美)で開幕。
明治以降の絵画・彫刻・工芸で重文に指定されている68件のうち51件を会期中の展示替えを挟みながらですが一気に見ることができる。

今回、心に残ってるのは蟹と鮭。
あれ?北海道物産展の感想かな?

【蟹】

国宝展の時に展示されてた超アヴァンギャルドな蟹🦀の壺と再会した…流石に東博の国宝展よりも人が少ないので今回こそ超じっくり見ました。

鉢から逃げ出すところなのだろうか?
ええと、2匹重なっているのです
すんごいリアル


やっぱりこれ、おかしい。
すごい人が作った真面目な作品なんだけど。

初見の時はひたすら「何だこれ?」の衝撃で作者も作品名も見てなかったのですが、
初代宮川香山作「褐釉蟹貼付台付鉢(かつゆうかにはりつけだいつきばち)」
だそう。
「蟹貼付け台付鉢」ってそのまんまじゃないか。
カニ、貼り付け…声に出して読みたい文章だな。

しっかし、なんで蟹を貼り付けたの?🦀🦀🦀
エビでも良かったのでは無いのか?
解説には工芸の名品である的なことが書いてあったけどなぜ蟹なのか?は解消されなかった。

【鮭】


高橋由一の「鮭」。よく教科書で見るやつ。
今回私は初めて見た。

この縦長の額縁もいい。斜めでスミマセン。


すごく…美味しそうだった。美味しそうな重要文化財、いいな。切り身を切り出した様子、途中経過がよく分かる、というか…なんか味が甦るのです。しょっぱさとか多少の生臭さとか。現在身近な魚だからこそ、見ていて面白い絵画だった。

【結局重要文化財って何なのか?】



今回面白いのは「重要文化財だよ!凄いの全員集合!」だけの展覧会ではなく
「重要文化財って何?どうして?判断基準は?」
と制定された法そのもの、時間の経過について改めて考え直し、結局は「誰か」が決めている重文指定って一体何なのか?
を考えるきっかけ
になるところだ。

そもそも、1982年〜1999年までの17年間は重要文化財の指定なしという空白期間もある。

というのも、重要文化財って何?というの選定側も悩んでいた?期間だったそうだ。故に指定ナシ。

そういうお粗末な部分も包み隠さず年表で開示する東京国立近代美術館のパンク精神。流石やで。

年表中間部分の空白がおわかり頂けるだろうか?



この年表を見ていた次男がポツリ「この間に無くなっちゃった作品もあるかもね…」。
そうだね。
ここ20年ぐらいで急に話題になる作家もいる訳で。再考美術や新版画、若冲もそう。

物の価値って結局誰かが定めたものを見るのが目的ではなく、良いと思ったもの、これ好き、と思ったもの、自分の中で重要文化財ならそれで良いのかも知れない。

だから私の中の重要文化財は先日幕張で見たB'zの93年渚園ライブフルバージョン映像なので早くBlu-ray化して下さい!!!!ということです。

あときっと50年ぐらいしたら赤瀬川原平さんの「宇宙の缶詰」も重要文化財になる、はず。

この状態で展示というのがすごい!
このとぼけた感
いつもは東博でみる老猿さんを近代で。
いつもと違う風景を眺めている様に見える。
下の方の森林部分のリヒターっぽさ。横山大観。

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