【ここでしか見れない彌生さん】松本市美術館と懐かしいパン屋
23年末に長野方面へ帰省のついでに松本市美術館へ。
前回松本へ行った時(2021年頃?)は大規模なリニューアル中で松本パルコ内に美術館の所蔵品が出張していた。
今回は念願の本館へ。
入り口から草間彌生の圧がすごい。
出身地の芸術家ということでプッシュしている。
ではまず、常設の草間彌生展示室から。
「草間彌生 魂のおきどころ」
これは楽しい!!
インスタレーション型の作品を惜しげもなく展示。
各種地域美術館が目玉として所蔵する草間彌生作品が1箇所で全網羅できるような、そんな展示室。しかもコレクションなのでいつでも見れる確率が高い訳で…。
カボチャ、ソフトスカルプチャー、ナルシスの部屋系などなど。
この部屋は海外からの来場者も多く賑わっていました。確かに松本まで来て見る価値はある。
彼女の作品の魅力はなんだろう?と考えた時
徹底的な反復、という言葉が浮かんだ。
必用に繰り返すうちに見ている側がリズムを感じられるような、そんな魅力があるのかもしれない。ちょっとしたトランス状態を目で感じるというか。
でも単調な規則性ではなく、このリズム感が大事、なのだろう。
上條信山記念展示室「現代書道二十人展・謙慎書道会展出品作を中心に/張廉卿生誕200年記念展示」
「書」を展示する美術館もなかなか珍しい。
しかし、フォントとして見るとすごくカッコよくて、やはり文字って情報だなと思うのだ。作品の中に「見た目は鬼で心は仏」という意の書画がありあらー母さん見たいじゃん!と長男に言ったら「お母さんは逆じゃない?」と言われました。おい、ちょっと待て。
「須藤康花 ー光と闇の記憶ー」
重くのしかかる生きること、死ぬことという大きなテーマ。
そのテーマと絵画が結びついた時、作者は苦しみながらも筆を取った。美化しようのない、正直な展覧会だった。
松本市立蟻ケ崎高校 書道部展示
書道甲子園で優勝の経験もある蟻ケ崎高校の書道部の方の展示が行われていた。
上階の展示にあった、日本の書道教育の復活に尽力した上條信山氏の志は現代へ脈々と続いているのだな、と思うと感慨深い。
ただの部活の発表会、だけでは無く書体の歴史なども知れる面白い展示内容でした。
顧問のおじいちゃん先生が部員から愛されてることがよくわかった。
現役の部員の方が丁寧に説明してくれて「楽しいところ、難しいところ」をきちんと言語化できて、聞いている方もとてもタメになった。
盛りだくさんだった松本市美術館
ファザードがあまり大きくない印象の美術館だったため、油断していたが奥行きのある、広さのある美術館だった。
人の集う場所、展示室の広さのバランスが良く過ごしていて心地が良い。
また松本に来たときは絶対に寄りたい場所になった。
おまけ・旅の楽しみ、美術館周辺の散策
ちなみにこのあと、駅前の小木曽製粉所で立ち食い蕎麦をお昼に食べ、私は松本駅周辺を散歩。子どもたちは国宝・松本城へ。
松本城の床が氷のように冷たかったと言っていた。そりゃぁ12月末の板床は冷たいよね。前回来た時は夏だったからよかったものの。
私は街を散策中、懐かしいお店の名前を見つけてアレ?っとなった。
その名も「アンゼリカ」。あれ、同じ名前のパン屋さんが昔、下北沢にあったな、と思ったら「名物・みそパン」の文字。一緒ではないか。
思わず入店しみそパンを購入したが、お店の方に下北沢のお店との関わりがあるか聞いてみた。
「あ、そうなんです、暖簾分け店なんですよ」
えー!!そうなんだ。。暖簾分け店が存在していたのかー!
下北沢のお店は2017年に閉店してしまい、みそパンはもう食べられないと思っていた。松本でまさかの再開。嬉しい!
しかもショップの袋が昔のデザインのまま。この黄色い袋!懐かしい。
「電話番号とか、下北沢店のままなんですよね…笑」と笑いながら受け渡しをしてくれた。
私は学生の頃、下北沢の老舗喫茶店ZACでアルバイトをしていた。アンゼリカから数百メートル程度の距離のお店。しかし53年近く営業していた喫茶店ZACも2023年12月20日をもって閉店してしまった。
そんなZACの話もすこしお伝えしたら「よく休憩でZACさん行ってました」とのことで。もしかしたらコーヒーの1杯でもお出ししてたかもしれないなぁ、と思いつつ。
そしてこんな逸話もあったのですね。↑
年末の透き通った空気と青空の松本。
23年の締めくくりにちょうどよい旅になった。