マガジンのカバー画像

2023年美術鑑賞記録

84
2023年に見た美術展色々
運営しているクリエイター

2023年11月の記事一覧

【柔らかな鋼】青木野枝 光の柱 市原湖畔美術館

【柔らかな鋼】青木野枝 光の柱 市原湖畔美術館

彫刻家、青木野枝(あおきのえ)の個展が市原湖畔美術館にて始まった。

氏の作品は東京国立近代美術館のコレクション展示室で見たのが1番印象に残っている。

2023年夏、豊島でも野外展示の作品を見つけ、なぜかホッとした。

非日常な旅の空間に知った作風が現れるとホッとした。神社の脇に設置されたその作品と瀬戸内海を見てしばらくボーっとした時間は良い旅の思い出だ。

今回はシンプルな展示室に青木氏の大き

もっとみる
【己もひとつのパーツ】真空のゆらぎ 大巻伸嗣 国立新美術館

【己もひとつのパーツ】真空のゆらぎ 大巻伸嗣 国立新美術館

とてもシンプルな仕組みなのだが、スケールを大きくすると人は感激する。
そう、影絵、なのだ。行灯と言っても良いかもしれない。

光と影。

ただそれだけなのだが、人をおぉ!と思わせる空間を作れるのだな。

第四室の波の空間にも驚かされた。

第三室で演劇やダンスの表現領域への関わりも展示されていたが、こういう表現ができれば舞台上に波を、海辺を表現することができるのかもしれない。 

シンプルに言うと

もっとみる
【見ないとわからない、ということ】黒田清輝記念館 「智・感・情」

【見ないとわからない、ということ】黒田清輝記念館 「智・感・情」

色々言われている事、研究されている事、物議、アカデミズムとかそういうのぜんぶ放り投げて、絵を見る。
どう思うのか。私は感激が走った。

先日、黒田清輝記念館 「智・感・情」を初めてみた。
湖畔などは重文展でみたのだが、今回はこの「智・感・情」を見れるということで黒田記念館の秋の特別展示に立ち寄ったのだ。

薄暗い展示室に浮かび上がる3体の裸体。
金地に肌色の表現(明度の近さ)なのに浮かび上がる不思

もっとみる
【偶然と必然は紙一重】偶然は用意のあるところに TOTOギャラリー間

【偶然と必然は紙一重】偶然は用意のあるところに TOTOギャラリー間

乃木坂駅からほど近い東洋陶器株式会社こと現「TOTO(株)」のショールーム&ギャラリー&本屋もある施設へ。
このギャラリーは建築や資材関連の展示を行っていることが多く、製図ケースを肩にかけた方々などの訪問者がチラホラ。

今回の展示概要は以下である。

と、あるが、私にとって最も馴染み深いのは東京国立近代美術館(以下、東近美)のリニューアル事業や展示構成等のお仕事である。

以前、東近美の機関紙「

もっとみる
【現代と現在のはざま】イン・ビトゥイーン  /MOMASコレクション特集 須田剋太 埼玉県立近代美術館

【現代と現在のはざま】イン・ビトゥイーン /MOMASコレクション特集 須田剋太 埼玉県立近代美術館

今回の展示概要を一言で言い表すのはなかなか難しい。企画所蔵品展なのか、でも他地方館からの借用作品も結構あった。

公式サイトには以下の記載

上記の内容に「境界」というテーマを軸に作品を展開していく。

出品作家のピックアップ早瀬龍江(はやせたつえ)

初期は日本のシュルレアリスム。古賀春江からの系譜というか脈々と伝わっているであろう大正絵画。キリコやダリの影響がモロにある世代なのだろうなぁ、と。

もっとみる
【28年目の底力】My best exhibition in 2023「クリスチャン・ディオール 夢のクチュリエ」

【28年目の底力】My best exhibition in 2023「クリスチャン・ディオール 夢のクチュリエ」

#マイベスト展覧会2023
こちらの素敵企画に参加させていただきます。

2023年、のベスト展覧会と言われて真っ先に思い浮かんだのは
クリスチャン・ディオール 夢のクチュリエ。
開催場所は江東区木場にある東京都現代美術館。

企画に参加させていただくにあたりアドベントカレンダーのトップバッター12/1を選んでおいて美術館で開催されたけど服飾展示かーい!
というツッコミをいただきそうだがどうかご容

もっとみる