Sports Performance Summitに登壇して、スポーツ界で働く専門職のお金とキャリアについて語ってきました
2024年6月15日、16日に 東邦大学医療センター大橋病院にて行われたSPS(Sports Performance Summit)で登壇してきました。
一般社団法人スポーツパフォーマンスサミットの代表理事である大塚さんから熱いリクエストを頂いたことがきっかけの今回の登壇。
普段自分のコミュニティで専門性を持って活動する個人事業主の方々にお伝えしている内容を凝縮してお届けした時間。
多くの方にとって見て見ぬふりをしてきた問題であるということが認識されたり、目から鱗だったというような感想を多くいただきました
誰もが課題とするマネタイズ
スポーツ界に限らず、治療家やセラピストなどの専門家業界は多かれ少なかれマネタイズの問題に直面します。
それなのに見てみないふりをして、本来真っ先に考えなければならないはずの収益化や、継続的な利益を上げていくことをないがしろにしている側面があります。
個人でやっているだけなら、「それはあなたが好きでやってるんだもんね」で済む話かもしれませんが、業界としてそのような状態が続いているとなると結果的にその業界にいるもの全体が貧しくなっていきます。
お金をしっかりと稼ぐということを後回しにしているのに、プロ意識であるとか、技術や知識の向上を半ば強制的に刷り込んでくる。
結果としてやりがい搾取、貧乏暇なし、と言われるような状況を作り出してしまっているのが現状です。
好きな人が自己犠牲をしているから成り立っている業界とも言えます。
でもその状態で存続していくか、発展していくかと言うと正直厳しいですよね。
今回も登壇後に個人で活動されている方はもちろん、崇高な思いと共に社会に還元すべくNPO 法人を立ち上げていたり、会社を設立したけれども継続的なマネタイズができないという方々からご相談をいただきました。
しっかりとした考えを持ってこうした団体を作って活動されているような場合でもマネタイズの壁に当たるのですから個人で活動しているのであればなおさら真剣に考えなければいけませんよね。
稼げないのは業界や組織のせい?
専門性と志し高く活動し、日々専門的な知識や技術の研鑽にも余念がないのにも関わらず、稼げないのは業界や組織のせいなのでしょうか?
もちろんそういった側面もあります。
ただこの業界を変えようとか組織を変えようというのは空振りに終わる可能性が非常に高いです。
1人の力で変えられるものではありません。
それよりも自分の人生をより充足させようと思うのであれば、自分が満足できる環境を選んでいくという方が成功率は非常に高いです。
その業界を目指すものがいなくなればそこは衰退していくことになるので、結果的にそこに関わっている人たちが真剣に考えるようになっていきます。
問題は個人事業主として活動しているにも関わらず、そもそも個人事業主とは何なのか
専門家として活動していく上で収益化をしっかりと考えていなかったり、業務委託と労働契約の違いを認識しないままに進んでいたり、3年・5年と人生という大枠を考えないままに進んでしまっていることが問題なのです。
スポーツ業界に限らず多くの専門家業界はやりがいがあります。
僕自身もスポーツ業界で長く働いていましたし、その後はセラピストとして活動をしてきました。
僕が自分のペースで仕事を作って十分な収益を上げることができ、さらに自由な時間の確保もできていたのは業界の当たり前の働き方をしてこなかったからです。
業界の当たり前から離れていくことでより自分の働き方、ひいては人生を満たしてきた経緯があります。
その働き方でいくら稼げる?
誤解のないように言っておきたいことは業界の批判をしたいわけでもないですし、稼げていればそれでいいというわけではありません。
ただ頑張っているのにそれが対価として反映されていないのであれば、また自分の生活が経済的にも時間的にも精神的にも豊かになっていないのであれば、それはどこか修正するべきポイントがあります。
忙しかろうが、貧しかろうが自分の好きなことをやっているのだから自己犠牲万歳!
そう心から思ってやってるのであればそれはもうその人の人生ですからそれでいいと思います。
でもどこかで本音はもうちょっと稼げるようになりたいなって思っている人が多いのではないでしょうか?
あなたはどうですか?
稼いでる金額が多ければ偉いというわけではありません。
稼げていないからダメだという話でもありません。
自分が望んでいるものがあるのであれば、それを得るための努力をしていく必要はありますよね。
業界の常識を疑うべき理由
そう考えた時に、その業界の一般的な働き方ではどれくらいの時間を仕事に費やし、それに対する対価がどれぐらいなのかということを認識しておく必要はあります。
収入というのは能力で決まるわけではありません。
働いている業界で決まります。
例えば全く同じ能力、同じ年齢であっても介護業界で働いている人と外資金融業界で働いている人とでは収入が大きく異なるということは想像に難くないと思います。
「この業界の、こういった働き方はこれくらいだよね」
それが大前提とはなっていて、それに自分のライフスタイルや人生設計がマッチしているかどうかです。
またライフスタイルや人生設計は年齢は重ねるにつれて変わってきます。
20代の時のそれと30代になってからは、多くの場合、結婚・離婚・出産・子育て・介護などを自分以外の誰かのためにお金も時間も費やすケースが生まれてきます。
それにもかかわらず、先のことを考えていなかったばっかりにその時になって身動きが取れなくなってしまう
次に何をしたらいいかわからなくなってしまうという方は非常に多いです。
スポーツ業界で働く専門家
話をSPSに戻します。
今回、登壇をしてから今現在各種スポーツのプロで働いている方々がお話をしに来てくれました。
「まさに今日お話しされたことは今の自分が直面している問題です…」
「でも日々の業務が忙しくて何かしなければいけないとわかってはいるけれど何をしていいのかわからないのです」
多くの人が憧れを持つプロの世界で活躍している方でもこうした部分には頭を悩ませているわけです。
契約の話
またどのプロにおいても契約はトレーナー業務であればほとんどの場合は業務委託契約です。
長期間の拘束
長時間の労働時間
決まった報酬
(契約内容によっては勝利やプレーオフ・優勝などでボーナスが出る場合もありますがこれらは自分でコントロール不可な不確定要素でしかありません)
いつ首を切られるかわからない不安定さ
ビジネスの感覚が磨かれないまま過ぎていく年月
これって個人事業主としてやっているのであればリスクでしかないんですよね。
仮に1000万円を超えるような報酬をもらっていたとしても状況はより悪くなります。
その待遇でそのチームにずっといられるのであれば給与面ではあまり不安はないかもしれません。
でも1000万円を超えてきたら消費税を支払う必要が出てきます。
それを超えていなくてもインボイスの問題は出てきますよね。
またチームに所属しているということは他の個人事業主のように経費にできるものがほとんどないわけです。
そうなるとその収入の多くを税金として納める必要が出てきますし、収入が上がれば国民健康保険料も高くなっていきます。
その状態でシーズン後にどんなに好成績を収めていても監督交代などで突然首を切られたら…
そう考えると怖くありませんか?
しかもその間、家庭を築いているのであれば大切な家族とも離れて過ごす時間が多い中での結果がそうなってしまう。
これって僕だったら怖くてできないです。
スポーツの世界は楽しい
スポーツ界に身を置いてきたものとして間違いなく言えるのはスポーツの世界は楽しいです。
長くいればいるほどその裏側を見ることもあり、正直スポーツの熱狂的なファンでいられるかというとそうではない側面もあります。
それでもスポーツが持つ力というのは絶大です。
あの興奮や、選手からもらえる勇気を間近で見させてもらえるということは日常生活ではありえません。
またそうした環境に身を受けることは自分自身を成長させてくれる部分も大きくあります。
スポーツの世界に関わってきて良かったかと言われれば「よかった」と自信を持って、胸を張って答えることができます。
ただそれは自分は自分が望む道を日本でもアメリカでも歩んでくることができたし、そこから離れてもしっかりと自分のビジネスを成り立たせることができているから。
もちろん自分も全てが順調だったわけではありません。
何をやってもうまくいかなくて自暴自棄になっていた時期もありました。
その時は正直アメリカで必死になってキャリアを積んでいたことを後悔した時間もあります。
行き着くところは「あなたはどうしたいの?」
結果論であれば、相手を批判するために誰でも何でも言うことができますし
単なる妄想を語って若者の夢を食い扶持にすることだって可能です。
残念ながらそういうことをしている人たちはどの業界にもいます。
冒頭でもお伝えしているように業界を批判するとか、変えるとか
そうしたことにはあまり意味がないと思っています。
それよりも「あなたはあなたという一人の人間としてどういう人生を過ごしていきたいのか。」
そして
「その人生をどのように終わりたいのか」
ということに付きます。
自分の夢であるスポーツ業界で働いて、その実態は家族に負担をかけている。
そういったものがあなたの求めているスポーツ界での働き方だったのでしょうか?
はっきり言って正解は人の数だけあります。
やり方も星の数ほどあります。
ただあなたはどうしたいのか
そして、なぜそうしたいのか
その答えを出せるのはあなたしかいません。
だから考える必要があるのです。
そして正しく考えるためには、きちんと知識を入れる必要があります。
今の自分には何が足りないのか。
専門的な知識や技術だけで自分一人の人間の人生を支えていくことはできません。
その専門的なものをきちんとお金に変えていくというプロセスが必要になるから。
個人で仕事をするというのは専門的な部分を伸ばしていくのはもちろんですが、それをきちんとマネタイズしていくまでの仕組みを作ること
これをやって初めて仕事として、個人事業として成立していくのです。
それをしていないのであればそれは個人事業主ではなく、個人「作業主」ということになります。」
そして過去の自分もその状態であったために大変な思いをしました。
もしもあなたが専門的なことだけをやって、マネタイズの部分は自分でやらないというのであれば、一生安泰するような企業や組織に勤めていくことの方が賢明です。(そんな企業や組織があるのであればですが…)
これから先も自分が人生の舵取りをしていける仕事を作っていく、本当の意味での「個人事業主」になりたいと思うのであればお金のことから逃げずにしっかりと向き合っていくことをおすすめします。
何から始めたらいいかわからないという方へ
過去に販売をしていたnoteの有料記事およびSPSでお話した内容の一部である「リテラシー」についてカバーしているオンラインの講座をご紹介します。
これからもちゃんと活躍していくために、育もう3つのリテラシー
こちらはSPSでもお伝えをした、個人事業主として培っていくべき3つのリテラシーについて。
・情報リテラシー
・ビジネスリテラシー
・マネーリテラシー
この3つについてお伝えをしています。
こちらの講座は通常価格10780円(税込)となっていますが、期間限定で【5000円オフ】の5780円(税込)となっております。
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noteの有料記事
このあたりから取り組み始めていくことで、考え方がシフトしていきます。
今のままで大丈夫かな…
ちょっと見てみぬふりをしていた所がある…
そんな人は手にしてください。
個人で活動するからこそ、考えなければならないこと
やらなければならないことがありますから。