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【学童野球母】キャッチボールではじめられること〜我が子を肩肘の怪我からの守るために
日本臨床スポーツ医学会から青少年の野球障害に対する提言としてこのようなものがあります。
全力投球数は小学生で1日50球以内、週200球以内
これを知ると、少年野球をそばで見ている人は
「これはまずい!」
「もっと投げてる!心配⋯」
そんなことを感じるのではないでしょうか?
そして、
「そんな少ししかなげれないの!?」
「そんなんじゃ練習にならないよ」
と感じる方もいるのではないでしょうか?
しかし残念ながら、1日全力投球を50球以上、1週間で200球以上おこなっていると肩肘のトラブルが起こるリスクが高まるのは事実なわけで⋯これは変えようがありません。
であれば、練習を変えていくしかないわけです。
キャッチボールって何をする場?
野球のあれこれを練習する前に、一番最初にアップも含めて行うのがキャッチボール。
この後の練習のために、体や肩を温めるために行うキャッチボール。
もちろん投げる、捕るの技術を高めるためにも行っていると思いますが⋯
この最初のキャッチボールで、すでに結構投げ込んでしまっているのが実際だと思います。
だから本来は、このキャッチボールにしっかりと目的を持って1球を大切にして取り組むべきだと思うんですよね。
フォームの確認
キャッチボールの中で、おそらくみんな自分のフォームを確認すると思います。(低学年はこれすら意識せず投げ込んでいる子がほとんどかと。)
下半身の重心移動を確認したり
上半身の使い方を確認したり
握り、手首のスナップ、指のかかり等など
キャッチボールの中で確認していくと思います。
コントロールの確認
また自分が狙ったところに投げることが出来るか?
コントロールの確認もキャッチボールで行うと思います。
この体の使い方で狙った場所に投げれたか?
この意識の持ち方で狙った場所に投げれたか?
この調整でもっと良い場所に投げれたか?
感覚と運動の調整を、実際の結果を見て修正していくことをキャッチボールで行っていると思います。
出力の調整
さらには、ボールの強さ・速さも確認していると思います。
より速くなげれるか?
速くなげた中でコントロールは安定するか?
速さをコントロールできるか?
キャッチボールの中で球のスピードをコントロールして、自分の感覚と合っているか調整をしていると思います。
距離と投球の種類の確認
短い距離であれば、ノーバン送球でスピードの遅い球で投げる。
中距離であれば、ノーバン送球で速い球を投げる。
長い距離になると、ワンバンで速い球を投げる。
このように距離もしくは相手によって投げる球を変えることが野球では必要だと思います。
そのような少し応用かつ実戦に沿ったことも、キャッチボールで確認していると思います。
全力投球50球以内で練習を終えるために
まぁ色々なことをキャッチボールで確認していくと、沢山投げ込んでしまうのが実際かと思います。
それでも「全力投球1日50球以内、週200球以内」
これを目指していかなくては、我が子の肩肘を守ることが出来ないんです。
どうすればよいのか?
投げなくても確認出来ることは?
我が子の肩肘のために、我が子が投げる1球を大切にしたい!
であれば無駄な時には投げさせないようにする必要があると思います。
最近、ドジャースの山本由伸選手の練習風景をテレビで見たのですが、なかなか投げないんですよね!
ひたすら左右の重心移動の練習・確認を行っていたり、上半身の使い方を投げずに確認していたり⋯
投げたかと思えば、矢を投げたり、野球のボールとは違うボールを軽く投げフォームの確認をしています。
もちろん最終的には実際の野球ボールを使ってフォームの確認に入る必要がありますが。
このように、キャッチボールを行う前に、投げずにフォームを確認するトレーニングを入れれば、キャッチボール時の球数を減らすことが出来るのではないでしょうか?
全力しか知らない子もいる
少年野球を見ていると、時々常に全力!な子がいます。一見素晴らしいんですけどね。
そういう子にゆっくり球を投げさせると、超山なりのボールになってしまったり、そもそも投げられない⋯なんて子がいる。
野球は技術力のスポーツです。
いろいろなボールを投げれた方が技術力が高いと言えると思います。(その技術が高いから勝つか負けるか?は別の話です)
自分の中での30%、60%、80%⋯と、あらゆる出力で投げる技術を身につける必要があります。
自分の中で出力をコントロール出来れば、キャッチボールで無駄な全力投球を減らすことが出来ると思います。
指導者はもしかすると「すべての球を全力で投げなさい!」と言うかもしれませんが⋯⋯、そんなバカなことあるか?
技術を磨いているのに、バカみたいに出力を出すことだけしているのは、それは技術が向上することには繋がらない。
出力がコントロール出来た上で、出力が必要なときと必要のないときとを調整したキャッチボールが出来れば、肩肘を守ることに繋がると思います。
本当に難しい問題は…
頭では分かっています。
投げすぎることが良くないこと。
全力投球数を減らすような、メリハリのある投球をするべきこと。
前述したように、キャッチボールを変えていく必要があること。
だけど、それを既存のチームに浸透させていくことが一番難しいことも分かっています。
全力投球数の制限=練習量の低下
と解釈して納得できない大人たちは多そうですよね。
何事も、
・古くに良いとされてきた考え
・既存にあるシステム・流れ
を変えるのは難しいものですよね…
まとめ
・我が子の肩肘を守るために「全力投球1日50球以内、週200球以内」を守る。
・無駄な全力キャッチボールはさせない
・そもそものキャッチボールの目的を理解する
・投げなくても出来る確認は投げずに行う
・投げる出力をコントロールできるように
・全力が必要な場面か?そうでないか?理解し必要に応じた力を出すようにする
・本当に難しいのは「肩肘を守るための理論」を理解した上で、既存のチームに浸透させていくこと。