「山本宗平絵画展 -この国のかたち-」の開催に協力しました
2021年10月16日(土)〜31日(日)の間、東京・お茶の水「アートギャラリー884」にて開催の「山本宗平絵画展 -この国のかたち-」の開催に、当法人が企画協力をいたしました。
アートギャラリー884のオーナー・佐野加代子氏の依頼を受け、画家・山本宗平氏を代表の清川と馴染みの深い職人たちの紹介・案内のお手伝いをさせていただきました。
代表・清川より、山本宗平絵画展「この国のかたち」に寄せて
「生の煌めき」を描く画家
「山本宗平さんが職人をテーマに作品を描くことになった。ついては京都の職人に橋渡しをしてほしい。」
アートギャラリー884の佐野加代子氏の依頼を受け、私は馴染の職人たちに声をかけ、宗平さんを連れて彼らを訪ねる段取りをした。
はるか昔、鳥海山の大噴火で地中に埋もれた神代杉で黙々と風炉先をつくる指物師、工房で胡坐を組んでひたすら般若の面を掘り続ける能面師、代々伝わる機織りを操り美しい生地を紡ぐ西陣の織物師、なやし、くろめと言った昔からの技法で樹液から光沢のある漆を精製する漆職人、宗平さんは、彼らの話に耳を傾け、立ち振る舞いをカメラに収め、黙々と京都の街を歩き続けた。
私と宗平さんとの出会いは今から3年ほど前になる。佐野さんが主宰するアートギャラリーで初めて彼の個展を見て、卓越した筆さばきと、画の中に表現されている物語性に、私はすっかり魅了されてしまった。
山本宗平さんは単に人物を描写するのではなく、その人たちが生きてきた証を描く。
職人たちの眼差し、豊かな表情、さり気ない仕草を鋭い観察眼で捉え、彼らが過ごした時を、彼らが背負ってきたものを、彼らが抱えてきた喜怒哀楽を、「生の煌めき」に変えて作品に刷り込んでいく。
全てを描くのではなく研ぎ澄まされた感性で余計なものを削ぎ落とし、職人が放つ「生の煌めき」を抽出することで、彼の画は私たち日本人の心象風景に同化していく。
そうして描かれた煌めきの数々が、この度の絵画展「この国のかたち」に結実した。
私たちは、宗平さんの連作を「懐かしい想い出」で終わらせてはならない。
宗平さんが捉えた職人たちの風景が消えることのないように、彼らの生の煌めきが続くように、伝統工芸を未来へ繫がなければならない。
そのために成さねばならないことを、私は今、模索している。
またいつか、宗平さんが職人を題材に、再び「この国のかたち」を描いてくれることを願って。
2021年9月
初秋の京都にて
株式会社漆芸舎、NPO法人ROLE代表
漆芸修復師
清川廣樹
取材のご協力をいただきました工房・寺院
・指物師 大谷普賢 様
・西陣有職織物 株式会社のむら 様
・西陣手織り織物 野崎織匠株式会社 様
・能面師 長澤重春 様
・印職工房 スギシタ 様
・漆問屋 株式会社加藤小兵衛商店 様
・妙光寺 芳賀由宗住職
展覧会概要
アートギャラリー884
東京都文京区本郷3-4-3 ヒルズ884 お茶の水ビル1F
電話:03-5615-8843
営業時間:11:00 - 18:30
定休日:毎週月曜日、展示会以外は日曜日・月曜日・祝日