Big Bang Theory S1Ep9 ネットでの家電制御と物理学のプレゼンと超能力による破壊と

この記事のタイトルは、ドラマで取り上げられているネタからつけたものです。ドラマの正式なタイトルはこちらです。

The Cooper-Hofstadter Polarization:オタク青年とプレゼンの法則

ビッグバンセオリーを見ていて面白いなと思ったオタクネタで自分が知っているネタ、調べたネタをまとめておいておくために作ったものです。ざっくりとした背景はこちらもご覧ください。目次もかねて作成しています。

この記事は、実は以前すでに投稿済みだったものです。これがその記事。

この記事を書いたのは、noteを開始して間もなくの頃で、アメコミのネタしか取り扱っていませんでした。しかし、途中でシナリオやセリフに込められたネタの豊富さに目覚めたので、前回の記事をもとにさらに追加しての投稿となります。元の記事は、そのまま残していますが、他にもさらにいろいろと取り上げています。

あらすじ

レナードに学会で発表してほしいとのレターを捨てたシェルドン。レナードはそれを見つけて、発表に行こうとするのだが、論文の筆頭執筆者が自分であり発表を禁止すると言い出す。そこで、レナードは自分ひとりで発表しに行くことにするのだが...

エピソード・タイトルの意味

The Cooper-Hofstadter Polarizationとは「クーパー・ホフスタッター分極」の意味ですが、「Polarization」は対立の意味もあるので二人の対立が「示唆された」内容になっています。

そればかりか、二人の論文を発表してほしいという「ボース=アインシュタイン凝縮」が最初に実験で確認されたのは「スピン偏極水素原子」とのことですが、この「スピン偏極=Spin Polarization」ということで論文に関するテーマも含まれています。

さらには「Polarization」には「分裂」という意味もあり、それをネタにした内容まで取り込んでいて、こんな重層的な意味をもたせたタイトルの付け方には舌を巻きますね。

冒頭のシーン:ホームコントローラー X10 

いつもの4人組が居間に集まって、レナードが何かの装置を取り付けたのち、ハワードがPCで操作している。PCで送ったコマンドがインターネットプロバイダを経由して、LA→サンフランシスコ→衛星を経由してリスボン→大西洋海底ケーブルを伝ってカナダのノヴァスコシアに戻り、北米大陸を縦断してLAのインターネットプロバイダに戻り、ランプに取り付けられた装置、X10を操作して、ランプを点ける。

X10と簡単に言っていますが、アメリカではホームコントローラーとして多彩な機器を販売しているようです。

アメリカではいくらでもモデルが販売されているようです。

一方、日本だとAmazonでも1種類ぐらいしか取扱いがありません。

レナードが取り付けたモデルがどれか、ちょっと特定できませんが、アメリカの住宅、確かにこんなの多そうですよね。

ツァラトゥストラはかく語りき

ランプの点灯に成功した4人は、次に同じルートをたどってステレオを操作する。掛かる音楽は、ここでは「もちろん」と言っても良いかもしれませんが、「2001年宇宙の旅」で使われた「ツァラトゥストラはかく語りき」。

この4人にとっては、この音楽がぴったりだったのは共感します。

Et Voilà!

「ツァラトゥストラはかく語りき」をかき鳴らして、「未来」に浸っている4人を現実に引き戻すペニー。「うるさいわよ?」

ハワードが同じ経路を使ってボリュームを下げてみせて、「ほら」といった感じで使うのが「Et Voilà!」

こちらの記事を投稿された方はカナダのフランス語が公用語のケベック州モントリオールにお住まいとのことですが、この「Et Voilà!」または「Voilà!」は、アメリカのドラマを見ていても結構良く耳にします。

一番多かったのが、ザ・メンタリスト。今はアマプラのラインナップからは外れていますが、昔は見まくってました。このドラマの主人公、パトリック・ジェーンが種明かしをするときに、何度も「Voilà!」と言っていました。

インターネットを使ってコマンドが世界を駆け巡った後で家電製品を制御することに興奮冷めやらない4人と、マルチリモコンで同じことができるじゃないというペニーのやり取りは、「これぞオタクと普通の女の子のかみ合わない会話!」で受けます。

カメラ付きラジコンカー3台

レナード達の家の家電の制御を「パブリックアクセス許可」にしたおかげで、中国の四川からランプの点灯がされ、テキサスやイスラエルからカメラ付きラジコンカーが操縦される事態に。

一代目はテキサス州オースティンから操縦されたモンスタートラック。

モデルは違いますが、こんな感じ。

二代目は、イスラエルのテルアビブ近郊からダッジのブルーバイパー。

本来はこんな感じのセダンですが、ラジコンはモンスタートラック風にデフォルメされた製品でした。下の写真でペニーに迫っている3台の車の右端がモンスタートラック、左端がブルーバイパー。

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そして、真ん中の赤いコルベットを操作していたのは、期待を裏切らない同じ部屋のハワードでございました。

モンスタートラック

モンスタートラックとは、こんな感じの文字通りに「モンスターなサイズのトラック」なんですが、アメリカのドラマでたまにでてきます。こういう、文字通りモンスターなパワー全開のトラック、好きですよね。アメリカ。

「デートでモンスタートラック見に行かない?」っていうセリフまで見た記憶があるほど。

この後、主題歌クレジットパートを挟んで、本編スタート。将来は脳を保存する時代、あるいはアンドロイドに自分の脳を移植する時代になったら、自宅の家電製品をパブリックアクセスに開放して遊んだ8時間を後悔するというシェルドン。そんな会話の横でゴミ箱から、実験物理学会から論文発表の招待状を発見し、シェルドンが捨てたと知って激怒するレナード。

ちなみに、レナードに論文の発表を依頼してきたテーマはボース=アインシュタイン凝縮に関するカンファレンスとのことですが、こういう物理学的なテーマはガチなのはご存じの通り。(物理学者が内容や会話のセリフまでチェックしている。)

シェルドンはそんなところ(実験物理学会)でスピーチしても意味がないと言い、レナードは自分の専門である実験物理学のメインなのでスピーチを一人でも実施すると主張し仲たがいしてしまう。

スキャナーズ

レナードが学会の発表に行くためのスーツをペニーと一緒に選ぶシーン。ペニーは、レナードが今でもシェルドンと絶交中なのか尋ねると、シェルドンは「レナードに念を送って、頭を爆発させようとしているさ。SF映画のスキャナーズみたいに」と返事。

1981年に日本で公開された映画のようです。紹介文にこんな記載がありました。

走査(スキャン)開始!
彼ら(スキャナーズ)は思考するだけで人間を破壊する。

なんと2Kレストア特別版が今年の8月に発売されるようですね(笑

これが、タイトルに込められた「Polarization=分裂」の意味で、この後のわずか13分の間に何度もでてきます。

ボトルの町キャンダー

引き続き、レナードの服をクローゼットで見繕うペニー。

小さなおもちゃをクローゼットから取り出して、ペニーがなにこれ?と尋ねると、レナードが「ボトルの町キャンダー。キャンダーはクリプトン星の首都だった。敵が小型化したけどスーパーマンが奪還した」と説明するけど、ペニーはあんまり反応しない。レナードが「男にはウケるんだけど」と愚痴を言う。

これはスーパーマンの原作コミックの設定を踏まえたセリフ。
特に、このシーズン1が放送された2007年には、「ボトルシティ・オブ・カンドール」という小説が発売されたので、それを受けて作られたミニチュア。

レナードが持っていたのは、この小説の表紙とほとんど似たような形状だけども、レナードのはボトルの外側にケーブルのようなものが付いていた。いろいろと探したけど、見つからない。当時のキャンペーン商品なのだろうか?

ちなみに日本語翻訳「ボトルの町」は、英語のセリフと画面から訳したものと思われます。

キャンドーという首都をボトルに再現した町と思って訳したのでしょうけれども、首都カンドールが敵によってボトルシティに縮められてしまったので、ボトルシティそのままにするのが正しいのではないかと思います。

また、Amazonプライムの日本語字幕では「キャンダー」となっていますが、元の綴りはKandorで、アメコミの翻訳本などでは「カンドール」と書かれることが多いはずです。

敵=ブレイニアック

おなじくレナードのセリフはAmazonプライムの字幕では「敵」と訳されていますが、原文ではBrainiac。これもコミックで登場するスーパーマンの敵。クリプトンで作り出された人工知能で、スーパーマンのドラマではゾッド将軍やダークサイド、ドゥームズデイなどと並んで、必ずといってよいほど登場します。

DCのスーパーマンには多少思い入れがあるので、こういう部分には反応してしまう(笑

オリジナル・ギャラクティカのフライトスーツ

クローゼットから、なにやら妙な服を見つけたペニー。ギャラクティカのフライトスーツだそうです。

Leonard: Oh, careful. That’s my original series Battlestar Galactica flight suit.

ペニーからしたら、ハロウィーンのコスチュームにぴったり!なわけですが、レナードにとっては「オリジナルシリーズのフライトスーツ」はハロウィーンで身に着けるようなものじゃないらしい。

ま、分かりますが。日本ではギャラクティカはあまり人気があるシリーズではないと思いますが、それでもアルティメイト・コレクションはプレミアがついた値段になってるようです。

素粒子物理学での25人

結局、シェルドンは参加しないことに。レナードとペニーが会場のパサデナのマリオットのローズ・ルームに来ると、ラージが会場の外で待っていて、中からでてきたハワードが、20から25人は会場にいると告げる。

ペニーからすれば学会の発表というからどれほどかと思っていたら、25人?とそんなに少ないことに驚きを隠せない。しかしレナードが素粒子物理学で25人も来たらウッドストックなみと説明。

もちろん、スヌーピーのウッドストックではなくて、こちらの音楽の祭典の方ですね。

バルカン・ネックピンチ

レナードの発表が終わり、質問を受け付けるレナードに「なんでこんな茶番を!」と言い放ったのはなんとシェルドン。

「ウッドストック並み」に集まった参加者の前で大喧嘩を始めてしまい、最初はシェルドンの「スキャナー攻撃」。それで激昂したレナードとシェルドンは取っ組み合いの喧嘩にまで発展してしまいます。

その横で、にやにやしながら携帯でビデオ撮影しているハワード。

レナードはシェルドンを床に組み伏せて、「バルカン・ネックピンチだ!」とシェルドンの首筋をつかみますが、英語のセリフはこれ。

Leonard (getting Sheldon on floor): Vulcan nerve pinch!

ミスタースポックの得意技というのでしょうか。首筋をつかむとその相手は気を失ってしまいます。首筋をつかむのでネックピンチ、それで相手を麻痺・失神させるので「ナーヴピンチ」と両方の呼び方があるようですが、アメリカではネックより「Nerve」の方が一般的なんでしょうかね。動画でも「Nerve」と記載されていますし。

【悲報】会場での大失態がYouTubeに大公開!

レナードは怒ってパサデナの会場にシェルドンを放置して一人で帰宅。険悪な二人のいるところにラージとハワードがやってきて、二人の喧嘩がYouTubeで公開されているぞ!と教えてくれます。

Raj: Somebody got the whole thing on a cell phone and put it on youtube.

ですが、画面を見る限りはYouTubeのようには見えない。

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このエピソードが放映されたのは2008年3月だそうですが、当時はこんな感じだったのでしょうかね。GoogleがYouTubeを買収したのは2006年ですから、この時はすでにGoogle傘下でロゴも同じだったような気もしますが、番組での利用では商標権などもあったので使わなかったのでしょうか。セリフでは堂々とYouTubeと言ってますが。

ペニーによるスキャナーズ攻撃

レナードの発表が全く分からないペニーは途中でハワードに寄りかかって寝てしまいますが、そんな瞬間を見逃さないハワードはきっちり写真に撮ります。

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そして、シェルドンとレナードの大乱闘をYouTubeに公開する傍ら、フェイスブックにこの写真をアップして恋人と書いてしまう。

そんな破廉恥な発言をペニーが許すはずはなく、ペニーによるスキャナーズ攻撃がこれ。

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〆はハワードによるパブリックアクセス攻撃(笑

最後のシーンは、中国人二人がYouTubeでシェルドンとレナードの「超能力」と「バルカン・ネック」での大喧嘩動画を見ているところ。

この二人の家電が外から操作されていて、誰がやってるのかと思ったら、カリフォルニアはパサデナの「ウォロウィザード」

冒頭シーンの回収まできっちりやっていて、草をはやすしかありません。

この記事も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

本エピソードで他に見落としているネタがありましたら、コメントいただけると嬉しいです。

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