Big Bang Theory S1Ep7 優秀なゲーマー・ペニーによるヘイローナイトとダンシングナイトのせめぎあい

この記事のタイトルは、ドラマで取り上げられているネタからつけたものです。ドラマの正式なタイトルはこちらです。

The Dumpling Paradox:4-1=0の法則

ビッグバンセオリーを見ていて面白いなと思ったオタクネタで自分が知っているネタ、調べたネタをまとめておいておくために作ったものです。ざっくりとした背景はこちらもご覧ください。目次もかねて作成しています。

今回のエピソードのタイトルも日英ではそれぞれ当て方が異なっているが、お話をうまく浮かび上がらせている。

The Dumpling Paradox (焼売の矛盾)はいつも4人で行っていた中華料理店の餃子が一皿4つで出てきたのに、ハワードが抜けたせいでうまく割り切れなくなってしまった点。実は餃子だけでなく、ゲームのチーム編成やらダンスのパートナーにまで、いたるところにこのテーマが仕込まれている。

「4-1=0の法則」は、ハワードが抜けたことで何事もうまく回らなくなってしまったこと。

あらすじ

ペニーの地元から友達だったクリスティがLAにやってきた。ペニーの家に転がり込んできて、ネブラスカでの男性遍歴を語り続けるクリスティに辟易してレナード達の部屋に避難してきた。その話を聞きつけたハワードが会話の隙にペニーの部屋でクリスティとねんごろな仲になっていて...

ケータイの音声認識

エピソード冒頭の導入シーン。ハワードが「これ面白いぞ!」と言って、ケータイ電話に話しかけているのだけれども、本当にこのレベルの音声認識なら、まったく役に立っていない(笑

Howard: Watch this, it’s really cool. Call Leonard Hofstadter.
Howard’s phone: Did you say, call Helen Boxleitner?
Howard: No. Call Leonard Hofstadter.
Howard’s phone: Did you say, call Temple Beth Sader.
Howard: No.
Leonard: Here, let me try. Call McFlono McFloonyloo. Heh-heh.
Howard’s phone: Calling Rajesh Koothrappali. (Raj’s phone rings).

2007年の音声認識状況は、さすがに知らないけれども、ググってみたらこんな記事がありました。

日本でも2007年にはそれなりの精度を持った音声認識ソフトができているようです。

ヘイロー・ナイト

ハワード、レナード、ラージがケータイ電話の音声認識で遊んでいる間に(大切な)ヘイロー・ナイトの時間である8時はとうに過ぎ、8時6分になったとみんなをせかしている。

律儀なシェルドン。短くなった6分をゲーム、トイレ、ピザのそれぞれの時間のどこで埋め合わせをするかさっそく心配。

ラージは、単純に2分ずつ削ったら?と言い、ハワードはピザのアンチョビーを食べたらトイレの時間を削れなくなるぞと「マジレス」(笑

彼等の会話は大真面目にふざけているのが笑いのツボ。

という会話をしていると誰かがドアをノックする。シェルドンは、「また邪魔が入った」と不満顔。やってきたのはもちろんペニー。

ペニーを拾ったら、幸運な日となる

ペニーが入ってきたのをみて、ハワードの一言目の挨拶がこれ。

Howard: See a Penny, pick her up, and all the day you’ll have good luck.
(字幕)1ペニーを見たら拾え 幸運な日となる

うんざりしたペニーが、「(幸運になど)ならないわ」と切って捨てる。

だが、ちょっとまってほしい。シェルドンだけでなく、ハワードのセリフも侮れないのは、「The Hamburger Postulate:オタク青年とお似合いカップルの法則」でも見た通り。

なので、このハワードのセリフを調べてみると、やっぱりありました。

しかも、この後のセリフまで含めるといくつかのバリエーションまである模様。

突き抜けているシェルドンのセリフに目が行きがちですが、ハワードの一言も、超有名なセリフをさりげなく持ってくるところは侮れない。

本当に侮れない。今まで素通りしてきたセリフももう一回、見直す必要があるかもしれないと思いました。

ハワードとクリスティが聞いている曲は?

「The Hamburger Postulate:オタク青年とお似合いカップルの法則」で、レナードやレズリー達が練習していた曲がわかりませんでした。

こちら第7話でハワードが首尾よくペニーの部屋に転がり込んだクリスティを口説き落として聞いている曲が、何なのか分かりません。

「Music from The Big Bang Theory」という便利なサイトがあるのですが、ここでもリストに上がっておらず、視聴者も「あの曲はなんだろう?」と質問がされていますが、今のところ誰もしらない様子です。

ただ、その質問への回答に面白いのがあります。しかも、下記のとおりなんとたったの2か月前。

JAMUARGAURANG 2 months ago
Don't worry Fluffy, have patience. We will find it someday.

12年たってまだわからなくても、そのうち分かるとは。いや、確かにそれはそうなんでしょうけどね。

ヘイローのゲームと実際

ハワードがクリスティに惹かれていってしまったせいで、2対2でヘイローができなくなってしまった4人組。

暇なペニーが自分もやるといいだすが、「そんな簡単に女ができるゲームじゃない」と却下するシェルドンを後目に、シェルドンを連続撃破してしまうペニー。

尻に火が付いたシェルドンも必死にたたかうけれども、しばらくゲームをやった後のシーンがこちら。

Sheldon: Okay, that’s it, I don’t know how, but she is cheating. No-one can be that attractive and be this skilled at a video game.

ペニーみたいに魅力的な人が、こんなにビデオゲームが上手な訳はない、というセリフには笑ってしまいます。

この捨て台詞を残して去ろうとするシェルドンにペニーが畳みかけて曰く。

Penny: Wait, wait, Sheldon, come back, you forgot something.
Sheldon: What?
Penny: This plasma grenade. (Explosion.) Ha! Look, it’s raining you!
Sheldon: You laugh now, you just wait until you need tech support.

忘れ物よとシェルドンを呼び戻しておいて、プラズマグレネードを雨あられと浴びせるペニー。ペニーでなくても笑いますね、これ。

ところで、FANDOMのこのエピソードには、ヘイローについて3点ほど指摘しています。

There are several inaccuracies in this episode regarding Halo:

これまたすごいな。

しかも、よく読むとシェルドンが見ようとしていたドクター・フーのエピソードまで、その効果音から特定している。(後述)

ここまで書いてあっても、上記のハワードとクリスティの音楽についての言及はないのか。(謎

腱鞘炎?

シェルドンが引きこもってしまったので、それじゃといって部屋に戻るペニー。シェルドンが、あえて一言、反撃しようとでてきたところにはいなかったのだけれども、すぐにペニーが戻ってくる。問題が起きたと。

それを聞いたシェルドンのセリフがこれ。

Penny (entering again): Okay, I have a problem.
Sheldon: It’s called carpal tunnel syndrome, and quite frankly you deserve it.

Carpal Tunnel Syndromeは正確には「手根管症候群」だそうで、ウィキペディアの説明を読む限りは腱鞘炎ではなさそうですし、ゲームをちょっとやった程度でかかりそうな病気にも思えません(笑

とはいえ、字幕で「手根管症候群」などと出したら、視聴者は混乱するので、腱鞘炎と訳したのは妥当なところかもしれません。

さて、ペニーがいう問題は「手根管症候群」でも「腱鞘炎」でもなく、なんとペニーのベッドでハワードとクリスティがいたしているとのこと。

背理法によるシェルドンの説得

レナードが、(喜んで)部屋のカウチを使ってよいと言って、ペニーはレナードの部屋で休むことに。

もちろん、シェルドンは反対するのだけれども、その理屈として今地震がおきたら非常食のセットが想定していた期間である2日間は持たなくなる、というもの。そこで、レナードが、「カニバリズムを心配しているなんて馬鹿げている」ということで

Leonard: Penny, if you promise not to chew the flesh off our bones while we sleep, you can stay.
(字幕)寝ている間に僕らを食べないなら泊まれる

レナードとシェルドンの会話を、ほぼそのまま翻訳したような内容を伝えてもペニーに伝わるわけもないのですが、そんなペニーにシェルドンが押しまくる。

Penny: Hu.. what?
Sheldon: He’s engaging in reductio-ad-absurdum. It’s the logical fallacy of extending someone’s argument to ridiculous proportions and then criticising the result, and I do not appreciate it.
(字幕)背理法を使った発言だ。人の論拠を拡大解釈し、結果を批判してる。僕は認めない

背理法の英語表記には、いくつかあるようなのですが、その中でシェルドンが実際に発言したのはラテン語の表記のもの。「Reduction to Absurdity」といった言い方もあるようですが、そこはシェルドン。ラテン語もマスターした彼としては「正しい表現」での発話をしたのでしょう。

枕が玄関より遠い方とかの話題については、うちのネタではなさそうなので割愛します。

取り残されたラージが可哀そう、とは書いておきます(笑

シェルドンが見ようとしたドクター・フー

さて、一晩明けて土曜日の朝。シェルドンがアパートに引っ越してきて以来、土曜日の朝の習慣というドクター・フー。

上述のFANDOMの記述では、効果音からシーズン3の第12話「鳴り響くドラム」か、第13話「ラスト・オブ・タイムロード」らしいとのこと。

おや?ドクター・フーのシーズン3はアマプラの対象じゃなかったのか。

シェルドンがもう見ないという絵本

一晩を過ごしたクリスティーとハワード。ハワードが上機嫌でレナード達の部屋に入ってきて会話をしていると、クリスティーがハワードを探して追いかけてきます。その時のやり取りがこちら。

Christie (voice off): Howard?
Howard: In here my lady.
Christie (entering): Mmmm, there’s my little engine that could.
Howard: chka-chka-chka-chka-chka-chka-chka (they kiss).
Sheldon: Well there’s one beloved children’s book I’ll never read again.

シェルドンが二度と読まないという絵本ですが、この本は実在するようです。日本のAmazonでも買えます。

この後、なぜかコミック系のネタ以外は番組の創作になる傾向があるようです。たとえばシーズン2の第13話で、いかにもありそうな絵本は完全な創作でした。

この「The Little Engine That Could」ですが、キンドル版もあるのに版権の問題で日本では書籍しか買えませんでした。

ハードルが上がると買いたくなる法則とやらで、ポチってしまいました。届いたら読んでみよう。

ということで、本が届きました。本を読んだあとの感想はこちらをご覧ください。

Loofah/へちま

ペニーが常用していて、ハワードが「利用」した「道具」がどんなものか知りませんが、今までLoofah=へちまを知らなかったので、メモ代わりにかいときます。

ユダヤ人の「成人式のご祝儀」

ペニーが、クリスティはモノを買ってくれる人となら誰とでも寝ると聞いて、逆に火が付いてしまう。そのセリフがこちら。

Howard: Yay! If you’ll excuse me, I have some Bar-Mizvah bonds to cash.
(字幕)成人式のご祝儀を引き出してくる

でました、Bar-Mizvah!

つい前回(第6話)でもユダヤの成人式=バル・ミツワーがありました。

そのご祝儀としての「ボンド」=債権を積み立てたんでしょうかね。13歳からスタートしていたら、10年以上。ユダヤ人の母親が子供につぎ込んだお金ですし、結構な額になっていることでしょう。

バル・ミツワーなんて、知ってないと聞き取れないですよね。これ。

ここまでで14分経過。ところが餃子はまったく出てこない。半分以上を費やして、まだ前振りか?っていう状態。

焼売の矛盾

長い前振りが終わって、ようやく中華料理店の場面。もちろんクリスティとねんごろなハワードはいない。

メニューを見ながら、シェルドンが嘆いています。いつもの焼売一皿注文して4つの焼売を4人で分けいたのに、ハワードがいないせいで困ったことになったと。最後の1個の焼売をどうすrか問題について、ラージは切って分けたら?と言うけれどもシェルドンは納得しない。

Sheldon: Then it is no longer a dumpling, once you cut it open it is at best a very small open faced sandwich.
切って具が見えたらそれはシュウマイじゃない

「こまけぇこたぁ 良いんだよ」とか言いたくなるセリフですが(笑

それじゃあスープなら?と言われても、具のワンタンをどう分ける?とぜったいに譲らないシェルドン。

ちなみにクリスティはオランダ系

一週間たって、再びヘイロー・ナイト。事前にシミュレーションしたにも関わらず、シェルドンの非常に丁寧なヘイロー・ナイトへのペニーのお誘いは、「ペニーにはダンシング・ナイトなの」で轟沈する。

レナードは、ヘイロー・ナイトを素直にあきらめめて、ペニーと踊りに行けばよかったと愚痴をこぼすが、またしてもシェルドン。中華料理屋と同じく、人数のバランスが合わないと却下。

そこで、しかたなくがたがたになった4人のバランスを取り戻すため、ハワードに電話するも、「二人は忙しいんだ」な録音メッセージを聞かされるだけで電話に出ない。

ちなみに、クリスティの名前からすると、彼女はオランダ系っぽい。

Christie (voice): And this is Christie Van Der Bell.

電話に出ないなら…

ということで、直接ハワードの家に連れ出しにやってきた3人。そこで、ハワードの母親とクリスティが大喧嘩をしている。

ハワードが仲裁しようとするが、女性二人から黙ってて!と言われて、仕方なくスクーターで一周してくると言って出てきたハワード。

それでも家の中で喧嘩は続くのだけれども、そのセリフがすごい。

バビロンに帰りな!

Christie: (voice): You know what, I got better offers, I’m out of here.
Howard’s Mother (voice): That’s right, go back to Babylon, you whore.

知識として、バビロンがバベルの塔を築こうとして言葉がバラバラにされた話とか、大淫婦バビロンだの大娼婦バビロンだのという言いかたがあるのは知っていましたが、露骨にこんなセリフを(たとえブラックなコメディードラマとは言え)使うとは驚きますね。

ところで、このセリフを聴いていたラージが、オマハ出身じゃなかったっけ?っていうのは笑うしかない。

Raj: I thought she was the whore of Omaha?

こんなセリフ、日本のドラマでやると考えるとどうなるのか?

私はテレビ業界の人間じゃないですが、日本ではこんなの絶対無理だよなと思いますね。

かくしてヘイロー・ナイト再開!

ということでスクーターで一周のはずのハワードも、そこに迎えにきた3人に出会ったおかげで、めでたく「ヘイロー・ナイト」を再開する。

レナード達の部屋でヘイローに熱中する4人組。

そこに現れたのはペニーが他の女性3人をつれて、ちょうど4対4になるようにやってきて、「ねえ、ダンスに疲れたから」と言って声をかけるのだけれど、ヘイローに夢中な4人は気付きもしないという。

ペニーが「言ったでしょ」といってドアを閉めて出て行ってしまう。

ダンスしながら、女性に関心がないオトコがいるんだけど、ということで「信じないなら見せてあげる」といって連れてきた様子が見えるのはもう笑うしかないです。

ということで、ヘイローの4人にバランスがもたらされ、「焼売の矛盾」も解消されてネタをすべて回収してめでたしめでたし。

今回もハワードのセリフから始まって、内容モリモリなエピソードでございました。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

本エピソードで他に見落としているネタがありましたら、コメントいただけると嬉しいです。

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