Big Bang Theory S2Ep19 CSI登場女優が登場するCSIサゲ
この記事のタイトルは、ドラマで取り上げられているネタからつけたものです。ドラマの正式なタイトルはこれ。
The Dead Hooker Juxtaposition:新旧女王蜂の法則
ビッグバンセオリーを見ていて面白いなと思ったオタクネタで自分が知っているネタ、調べたネタをまとめておいておくために作ったものです。ざっくりとした背景はこちらもご覧ください。目次もかねて作成しています。
エピソードタイトルについて
英語版タイトルは「The Dead Hooker Juxtaposition」。「新旧女王蜂の法則」。「Dead Hooker」は死せる娼婦。「Juxtaposition」とは、並列・並置の意味だそうです。このエピソードにゲストで出演した人の役柄が、ドラマの中でも女優であり、さらにCSIという人気のアメリカドラマシリーズに「娼婦訳で出演する」ことからつけられたタイトルです。
そもそも並置・並列にするからには複数の「死せる娼婦」がいないといけません。ですが娼婦役が割り当てられたのは、ゲストの一人のはず…と思ってみていると、エピソードの終盤でそのゲストがペニーを「ビッチ」呼ばわりした上に、「なるほどこれは並置かもな」なストーリー展開になります(笑
一方、日本語のタイトルはゲストが新しい女王蜂、ペニーを旧女王蜂に喩えているのと、実際にエピソードの中でもそのことが取り上げられていますが、英語のタイトルの生々しさは消えている感じがします。
ところで、このエピソードはアメリカでは2009年3月30日に放送されています。ちょっと脱線しますが、この「Dead Hooker」で調べると、「Dead Hooker in a Trunk」(日本上映なし。直訳では「トランクの中の死せる娼婦」という感じでしょうか。)という映画が、2009年4月20日から上映開始されています。
ビッグバン・セオリーのエピソードが最初に放送されたあとなのですが、こんなあらすじな上に、冒頭のシーンではやたらとシェルドンやペニーが「ホラー」を叫んでるのを見れば、この映画のネタを入れてきたのかな?と思うほどです。
4人の友人たちが日常の用事で出かけた先で、トランクに残された娼婦の死体を発見し、命がけの戦いに巻き込まれる。
いや、さすがにこのネタを入れて撮影しようとすると、「Dead Hooker in a Trunk」の撮影前ぐらいになりますから、いくらなんでも偶然だとは思いたいところです。
ところでこの英語のタイトルですが、改めて見直すと最後の最後でダブルミーニングになっているようです。全くビッグバン・セオリーときたら侮れない。
あらすじ
レナードたちの上の部屋の住人が引っ越しをするという。元の入居者はすれ違ったこともなく、住んでいることすらわからないほど静かな人だったらしく、新しい住人が入ってきて騒々しい人だったらどうしようと神経質になるシェルドン。さて、実際に引っ越してきた住人はスラッとしたスレンダー美女、アリシア。レナードは初対面でメロメロになり、ハワードとラージも引っ越しから部屋の整理まで手伝う。あおりを食って放置されるようになったペニーは...
イントロの蜘蛛ネタからの会話:Ravishing
最初の導入部の会話。オタクの4人は小さな蜘蛛がでて、それに近づけないところをペニーが片付ける。シェルドンは激しく動揺しているが、実は蜘蛛のことではなくてテイクアウトのギョーザを間違って蒸したことにショックを受けていただけだったという(笑
レナードが「話題を変えようよ」という。それに応じたハワードとペニーのやり取り。以下の引用部分の訳は字幕からの写し。
Howard: All right, Penny, let me take this opportunity to point out that you are looking particularly ravishing today.
じゃあペニー。この場を借りて言おう。今日の君は格段に美しい。
Penny: Not with a thousand condoms, Howard.
あなたは格段にキモい。
Howard: So, there is a number.
それって褒めてる?
うーむ。ハワードの最初の字幕は大体、元のセリフの通りなんだけれども、それに対するペニーの返事からはだいぶ異なっているように見える。たぶんこれは「ravish」という単語のせいなんだと思います。
ravishには「夢中にさせる、うっとりさせる」という意味もありますが、あまり表に書けないような意味もあって、そのニュアンスに対して「ゴムが1000個あってもないわ」と返事をしているのですが、字幕の制限で訳しきれないので、単にキモいという訳になったのかなと。
ちなみにこのravishという単語ですが、ジョン・ダンのソネットに使われているのですが、ソネットのタイトルと内容があってないように感じるのも英語の実力がないせいなのか。この韻を踏む感覚を美しいと感じるにはあと1万光年ぐらい進まないといけない感じ。
話をビッグバンセオリーに戻します。
さらにこれに対して、ハワードが「数字が入っているね」なのは、「1000個ならダメでも、じゃあその10倍ならどう?」みたいな感じなんでしょうか。(どなたか正しい解釈があればご指摘いただけると嬉しいです。)
2024年11月16日追記:Masashi Hasegawaさんからのコメント
昨日(2024年11月15日)にMasashi Hasegawa さんという方から、こんなコメントをいただいていました。
Masashi Hasegawa 2024年11月15日 14:27
自分もハワードのso,there is a number.という答えがどうしてもわからなくてここに辿り着きました。「ってことは、(コンドームの)数の問題なんだね?」みたいなニュアンスなんですかね? ワンチャンいけると、ハワードの性格なら考えますもんね(笑)
アメリカのサブカル事情に疎いもので、他の解説も非常に参考になりました。丁寧なリンクもありがとうございます😊
この記事は2021年3月14日の投稿で、当時はビッグバン・セオリーの記事を書き始めたばかりでした。ハワードの「So, there is a number.」の表現も良く分からないままに投稿したのですが…
改めて辞書を調べてみると、「a number」には「相当な」という意味があるとのこと。
ハワードは「 a number 」と言っただけで、その後は省略されています。しかし、会話の流れを考えると、ペニーの「コンドーム千個でもダメ」の「千個」の「number」にかけて「相当数ある」ってことだね?みたいな返事にしたんじゃないかな?と思います。
推測ですが、それならまあ話は通じますが…
英語って難しいですね。
この場面でこんな切り返しができる気がしません。笑(ハワードみたいな切り返しがしたいのか?というと、そんなつもりは全然ないのですが...)
PS3
さて。冒頭のシーンに続いて、いつもの主題歌が終わった後の5人組。
5階の部屋が空くんだったら、ハワードが入居しよう!と言い出します。(そして改めて、ハワードがペニーに、それってどういう意味か分かるよね?とかダメ押しで嫌われに行く面の皮の厚さに関しては説明省略。)
それでハワードが引っ越しをすることになり、レナードとシェルドン、ラージがその手伝いに行きます。(不動産契約はどうしたんだとか、細かいことは省略されてます。それを言いだしたら別な物語になってしまう)
ハワードの家の玄関先でのシェルドン。「引っ越しのような大変なお手伝いをしてピザをおごってもらえるだけなんて納得いかない!」と不満そう。
ラージが「PS3かマウンテンバイクだよ」と茶々入れして、ご機嫌になるシェルドン。「絶対、PS3だよ」。引越しの手伝いのお礼がPS3とは、ハワードも太っ腹ですね。(本当にくれるかどうか知りませんが)
PS3は2006年に発売されたもので、2009年にも絶好調だったのでしょうか。あんまりゲームやらないので、詳しくないのですが。
結局、いつものハワードが母親ともめて引っ越しはとりやめに。そうこうするうちに5階にあたらしい入居者が入ってくる。
スレンダーで長身のアリシア。シェルドンの奇妙なテストにも合格し(笑)、なぜかレナードがご機嫌に。お近づきにと引っ越しの手伝いを買って出る。
アクバー提督
アリシアの引っ越し荷物を抱えて階段を上がっていくレナード。ちょうど4階でペニーとすれ違う。スウェットパンツにTシャツのペニーに対して、ちょっとおしゃれなアリシア。
ジョギングに行くところよ、と言い訳するペニーに余計なツッコミを入れるシェルドン。その会話の後でペニーに向ってアリシアのセリフ。
Alicia: Please, you look cute. I’m dressed like a slob today, too.
キュートよ。私も今日はダサいし。
普通のTシャツ(2008年の大統領選挙で、ヒラリーが民主党候補選挙を戦っている時代のもの。当時はオバマが選出されて、副大統領候補としてバイデンを指名し、共和党のマケイン・ペイリンに勝利しました。そんなTシャツなのが時代を感じさせますね)を着ているだけのペニーに「キュートね」と言ってさや当てをするアリシアと、アリシアについて荷物を運んでいくレナード。
その二人が去った後で、わざとくさいセリフの物まねをしながら、地下の洗濯室に行こうとするペニーに、シェルドンがモノマネをしているペニーに茶々入れします。
Sheldon: Oh, mimicry. I enjoy mimicry. I’ve been working on Admiral Ackbar from Return of the Jedi. “It’s a trap.” You have to imagine me with a giant squid head.
僕もモノマネを練習中なんだ。「ジェダイの帰還」のアクバー提督さ
”ワナだ!”
(ペニーが意味不明!という表情を見て)
僕をイカ頭だと思って
ジェダイの帰還でアクバー提督が「ワナだ!」と叫ぶシーン、セリフは非常に人気が高く、今でもTシャツが売られています。
スターウォーズ エピソード6。今は「旧3部作」と呼ばれる最初の3作品のうちの完結編
こちらのエピソード6だけ貼っても仕方ないので、全9話のコンプリートボックスも置いておきます。
ちなみに、シェルドンのアクバー提督をイカ頭と呼んでもまったくピンと着てなかったペニー。
その後、レナードだけでなく、ハワードもラージも総出でアリシアの手伝いに行ってると聞いたペニーが、「典型的ね」と発言します。
ペニーの典型的ね、というのは「全く男共と来たら、きれいな女性が来たら鼻の下伸ばしてホイホイついていっちゃって」、という意味での「典型的ね」なんですが、そんなニュアンスを理解するはずのないシェルドンの返事が面白い。
「アリシアとあったこともなかったし、今まで5階に行ったこともないのに、典型的なんて間違いだ」と頓珍漢な回答をシェルドンが返します。それを聞いて、「イカ頭に見えてきた」と突っ込むのは、今回の笑いのツボの一つ(笑
ヘイロー?ギャラクティカ?化学実験?
ペニーが4人に中華料理を買いだしてきて奢っているとき、ごはん食べながら何する?「ヘイロー?ギャラクティカ鑑賞?化学実験?」とペニーが聞くが、「ヘイロー」はxBoxのゲーム。
ギャラクティカはバトルスター・ギャラクティカ。
化学実験?と言ってる部分は、実際はこんなセリフ。
Penny: Drop some mentos in diet coke?
メントスをコーラに入れるのは泡が噴出してくるので、YouTubeに山ほど動画があります。こちらは猫に見せるという新しい(?)動画。
アリシア、CSIに出演
ペニーが4人に中華料理を買いだしてきて奢っているときにアリシアがやってきて、CSIに出るんだけど車が故障したので連れて行ってとレナードにお願いをする。
アリシア役のヴァレリー・アズリンは2006年にCSI:NYに出演しています。
ですが、CSIに2009年には出てないようですね。
ビッグバンセオリーの設定で出てたら最後のオチまで本当らしくなってしまうのでしょうが、それにしても扱いがすごいのはビッグバンセオリー。こういうところは全くブレないですね。
スタートレックのシールド
アリシアが露骨にレナードたちを利用するのを見て、ペニーが洗濯室で「彼らは純粋でシールドを持ってないのよ」と語りかけます。
「シールド?」と意味不明なアリシアに「スタートレックで出てくるでしょ?」とつい反応してしまったペニー。なんで?と自分でも当惑していました。いわゆるディフレクター・シールドかと思います。
グリーンランタン
今回の英語と邦題タイトルが重なる最終版のシーンの「新旧女王蜂」の対立であり「Dead Hooker」が並立するシーンの直前。4人がグリーンランタンの弱点について話をしています。曰くグリーンランタンは黄色に弱いとか、彼は木に弱いとか。
「それなら黄色い鉛筆なら?」ときくラージは受ける。
グリーンランタン、アメリカでは人気が高いですし、シェルドンも「ランタン」をもって登場したりする回もありますが、初代とか2代目とか日本人にはなじみが薄いです。
じっさい、DCで映画化したら大ゴケして、主演のライアン・レイノルズが後にマーベルのデッド・プールに出演した際に黒歴史扱いするというネタになったほど。
英語タイトルのダブルミーニング
呑気にグリーンランタンは黄色い鉛筆に弱い、などと語り合いながら入って来た四人組の前に現れたのは、「死せる娼婦」の役割を演じたアリシアと、アリシアから「ビッチ」呼ばわりされたペニー。
ハワードはなんと、どちらにも気があるレナードが止めに入るかもしれないと危惧して、ハワードを羽交い絞めにしてしまうというシーンがさしはさまれます。
それも解決したのか顔に殴り合いの痕だらけのペニーといつもの四人組が部屋で食事をするシーン。
冒頭のシーンで、ハワードはペニーが「Ravish(うっとりさせる)」と言ったのですが、今度は「Comely(顔立ちの良い、魅力的な)」という単語でペニーを褒めるのですが、どう見てもペニーが顔立ちが良いようには見えない。その後のハワードのセリフで、これはラージが「ペニーは壊れてるね」とささやいた事を受けてのセリフだった模様。
Howard: May I say you look very comely tonight?(今夜はとても美しい)
Penny: Thank you.(ありがとう)
Howard: You’re right, this filly’s been broken. (ラージに向って、キミの言う通りだ。じゃじゃ馬、壊れたわ)
伏線の回収はここから。
Howard: According to Alicia’s facebook page, she’s hooking up with one of the producers on CSI. (アリシアのフェイスブックを見たら、CSIのプロデューサーと付き合ってるらしいよ)
Penny: Well, dead whore on TV, live one in real life.(じゃあ、TVでは死んだ娼婦で、実際は生きたそれってことね)
ハワードがいつものごとくに女性の個人情報を集めまわってて、フェイスブックでアリシアがCSIのプロデューサーと付き合ってる(この単語がHook)と見つけてきて、それを聞いたペニーがTVでも実際の人生でも、Hookerなのねと語る。
もちろん、実際の人生では死んだ娼婦ではないのですが、「死んだ娼婦と生きた娼婦」の並置のニュアンスは置かれていると思います。
それにしても、改めて見返してみて、CSIのプロデューサーには筋を通してあるんでしょうが(もしかして同じ人?多分違うよね?)、よくこんなきわどいネタのエピソードを流すものですね。
この記事も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
本エピソードで他に見落としているネタがありましたら、コメントいただけると嬉しいです。