『サフラジェット: 平等を求めてたたかった女性たち』

サフラジェットとは、投票、参政権を意味する “suffrage” という英語と、フランス語の接尾語で小さいということを意味する “ette” をくっつけた造語で、参政権を求めて闘う女性を指した言葉です。矮小化する目的で考えられた名称ですが、そう呼ばれた女性たちが気に入ってしまい、自ら名乗るようになりました。小さいって、悪いことばかりではありませんもんね。

この本は、イギリスで何十年も続いた女性参政権運動の歴史の本です。最初の女性が政府に手紙を書いてから、多くの女性が地道に、時には過激に、健康を害し、命を落としながらも参政権を求めたその長い道筋を、美しい絵と明快な文章で辿ることができます。本編はイギリスのみの話ですが、最後に世界中のサフラジェットが紹介されていて、その中に日本の市川房枝氏をみつけました。

女性が、またすべての男性が参政権を得られてから、まだ100年も経っていません。先人が苦闘の末に獲得した権利を、今、私たちは大切に守ることができているでしょうか。日本では、なぜか政治の話をすることをタブー視する人が多く、芸能人が政治的立場を明確に表明すると批判に晒されます。これは異常です。政治は生活に直結します。

まずは、家族と、次に友達と、大事な政治の話をしましょう。批判をするのではなく、疑問を投げかけ、耳を傾けましょう。一緒に考えましょう。そして、次の衆議院議員選挙には投票に必ず行きましょう。民主主義を国民の手に取り戻すために。

ところでこの本、日本の画家で言えば、安野光雅さんのような色使いのとても美しい挿画で、絵を活かすために大判になったんだろうという想像はつくのですが……大きすぎます。縦がもう5㎝くらい小さければ気軽に買えるのですが。(いや、でも、あの絶妙な空白の使い方と絵の大きさからいって、あのサイズが最適か?)

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