新店舗事業構想
それは突然やってきた。
やっと既存店舗の売上も落ち着きを見せ始め、母親のカラオケスナックを浅草に移す計画を考え始めていたときだった。
いつも通り、馴染みの店でお酒を飲みながら、どこかに良い物件落ちてないかないかなあと、たわいもない会話をしていると。
「あるよ。」と店主。
「あんのかい。」と僕。
話をよく聞くとますます興味深い物件だった。
お金が全く無い中ではあったが内容に惹かれ、すぐ内見をすることに。
場所は国際通りから1本入ったホテルが立ち並ぶ一角。現在では閑静な通りだが松が谷の住宅街へ抜ける道、飲食店が並んだ奥の角地だ。
登記簿に記載は無いが、推定築70年ほどの古い物件。元々は土間で油などの量り売りをしていたそうだが、時代の流れとともにタバコ屋へと業態転換、最後は大家さんの娘さんが暮らしていたそうだ。
すぐに気に入ってしまった僕はお金がどうにかならないか真っ先に銀行に電話し相談した。まずは500万円。これだけあれば物件はおさえられる。あとは毎月の家賃さえ払えれば赤字は出ない。1年耐えれば改装費程度のお金は作れるだろう。それほどに離したく無い物件だった。
「やりたいことがあるから、お金を貯めて、物件を探す」
というのが普通と考えている方も多いかもしれない。僕らはそんなことしていたら時間が足りない。時間は有限だ。
やりたいことは常に考えている。いつ何時でも次の一手や5年後10年後、その先のビジョンは頭にある。多少前後しようが横にぶれようが、最後に同じ場所に辿り着けばよい。
物件はナマモノなのだ。
すべての条件が一致する物件と出会えることなどまずない。
その中でもキラリと光る物件はごく稀に現れる。それを僕は逃したく無い。
「良い物件と出会ったから、お金を集めて、何をやるか考える」
今回はまさにこれだった。さて、何をやるか。
この物件は1階が住居で水回りが集中している。2階にはエアコンと押し入れがあるだけ、3階は窓しかない屋根裏物置だ。
元々建築を学んでいたせいか、与条件から計画をしていくのはどうやら得意なようだ。
ここからどんな「場」が生まれるのか楽しみでしょうがない。
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